"3page"という名前
(文 : yoshiro)
「スリーページ?」とよく言われる。そして「三人じゃないのに、なんで?」とも。
『数字の3に、アルファベットでページと書いて"3page(さんぺーじ)"です』というのがライブ等で自己紹介する際の決まり文句なのだけど、この説明で果たして初対面の方にちゃんと伝わっているのか心もとない。演奏後に「スリーページさん、良かったです」という具合に褒めてもらうことがあったりする(そして、そういうときは褒められた嬉しさが先に立って、たいてい訂正しそびれる)。
この名前は2013年の4月、渋谷の居酒屋でryotaroと飲んでいたときに生まれた。
その夜は「二人でユニットを組んで音楽遊びをしよう」という話をしながら、「まずはユニット名を決めよう」ということで思いつくままにあーだこーだと喋くりながら日本酒を酌み交わしていたのだった。いくつもの名前が提案され、棄却された。不採用の名前たちをツマミに酒を飲んだ。
そしてふと、「僕(yoshiro)もryotaroも横須賀出身なのだから、横須賀にちなんだ名前にしてみようか」という話になり、やにわにryotaroがノートの上で文字を分解し始めた。
横→木+黄
須→三+頁
賀→加+貝
なんだか19~20時ごろの枠のクイズ番組で見かけそうな光景だと思ってその様子を眺めた。ryotaroは暗号を解くかのように書き進めた。
須→三+頁→3page
パッとその字面を見たときに、あ、いいな、と思った。
「これでいこう」
僕は言って、「3page結成に乾杯」と二人でおちょこを鳴らした。(実を言えば、考えるのに飽きてきて早く乾杯したかったという気持ちもあったりしたのだけど。)
「"3pages(複数形)"じゃなくていいの?」という指摘を受けることもあるけれど、なにしろ上記のような下らない由来なので、わざわざ文法規則に従う必要があるだろうか、いやない(←反語法)。
(と強がりつつも、読みが『さんぺーじ』になったのは、『スリーページ』だと『ページズ』じゃないことの違和感が生じる気がした、というのが最大の理由。)
まあ、僕としては"3page"の見た目は結構気に入っている。シャープで、少しとぼけていて、そのくせ抜け目のなさそうなルックスだ、と思う(個人の感想です)。だからできれば複数形にしたくないし、"the"を付けたりもしたくない。「スリーページ」じゃなくて「さんぺーじ」の方が、響きも好きだ。
ryotaroと二人で活動していたときも、yukaさんとruitoに加わってもらって四人体制になってからも、「なんで3page?」という質問を受けることを避けられない。とはいえ由来を説明するのも面倒なので、「いやーまあ」と曖昧な笑みを浮かべてお茶を濁すしかない。
実際、「もっと分かりやすい名前に変えようか」と話し合ったこともあった。けれど特に代案も浮かばないまま、気付けば"3page"がいつしか身体に馴染んでしまった。(この文章の表紙画像はryotaroが作ったロゴです。実に多才な男だ。)
由来はどうあれ僕らは3pageとして音楽を遊んでいて、その遊びの一つ一つが同時に僕らを"3page"にしていく。名前って不思議だ。
えー、たいした内容の話でもないのに長くなってしまいました。僕(yoshiro)の文章はいつもこんな具合に冗長ですが、適当にお付き合いいただければ幸いです。
ともあれ、僕はこれからも『数字の3に~』と自己紹介をしながら、「いやー、人数は関係ないんすよね、まあ」とお茶を濁し続けていきますので、よろしくお願いします。
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