アルバムレビュー:『Sing-A-Longs and Lullabies for the Film Curious George』 - Jack Johnson
今日も今日とて暑い。なんだかすっかり夏ですねえ。
ライブを挟んでこちらの更新が途絶えておりましたが、ほんのりと気が向いたので再開。夏っぽい「サーフミュージック」からオススメを一枚。
今回はこちら↓
・『Sing-A-Longs and Lullabies for the Film Curious George』 - Jack Johnson (2006)
ちょいと長いタイトルですが、映画版『おさるのジョージ』のサウンドトラックです、と言えば「ほうほう」と頷く方もいるはず。
『おさるのジョージ』、懐かしいですね。僕は小さいころ、おさるのジョージと一緒にアルファベットを順番に並べていくというパソコンゲームを親に与えられて遊んでいた覚えがあります。並べ終えたらまたバラバラになって最初からトライ、というシンプルで非常にストイックなゲームでした。昔のゲームはそういうシーシュポスの岩チックな不毛さがあって微笑ましかったですね。はい、話がそれましたね。
最近は『おさるのジョージ』のテレビアニメもやってるらしいですが、2006年に映画化もされていて、そのサウンドトラックとして発売されたのが本作。
僕は実のところ映画は観たことないんですが、アコースティックギターを中心としたフォークロックな曲調は僕の中の『おさるのジョージ』感とばっちりマッチしていて、聴いてるだけでなんとなく映画の情景が目に浮かぶよう。
本作はJack Johnsonというアーティストが音楽を手掛けていて、収録曲の多くが新作であることから、サウンドトラックであると同時に彼のオリジナルアルバムと呼んでも差し支えない内容になっています。ということで主題は『おさるのジョージ』の話からJack Johnsonへ。
「サーフミュージック」という、「ジャンル」というより「スタイル」とでも呼ぶべきカテゴリー名をCDショップなんかでたまに見かけますが、現代のサーフミュージックの代表格とされるのがJack Johnsonです。ハワイ出身で、もともとプロを目指してたくらいガチのサーファーでもあるそうな。
昔ならビーチボーイズとかベンチャーズのノリノリな音楽のことだったらしい「サーフミュージック」ですが、時代とともに意味合いがだいぶ移り変わり、昨今のイメージは、ハワイの浜辺のヤシの木の下でアコギを持ってまったり弾んだリズムで口ずさむ、ロハスなミュージックのことを指すようになりました。
そしてこのアルバムは初っ端からそんな感じです。映画に合わせて作られた一曲目『Upside Down』ミュージックビデオがこちら↓↓
この一曲で総括しちゃうのは乱暴だと承知の上ながら、でも「Jack Johnsonってどういう音楽?」という質問への答えは、とりあえずこの動画で間違っていないはず。
がっつりフォークやブルースのような切迫さはあまりなくて、ゴリゴリのロックのような暑苦しさもなくて、賑やかポップのような押しつけがましさもない、なんとも風通しのいいサウンド。
以前紹介したJames Taylorの『Gorilla』とタイプは似ていますが、あれよりもさらにオーガニックで、吹く風も穏やかな感じ。まさにロハス。
程よく気の抜けた歌い方がまた絶妙ですね。腹の底から歌う、って感じではなく、でも全身をゆったり揺らしながら、からだで口ずさむメロディー。風の音や波の音と、なんの違和感もなく寄り添えるような音楽だなと思います。
Jack Johnsonを聴くなら世界的にヒットした3rdアルバム『In Between Dreams』も素晴らしい一枚ですが、このサウンドトラックも割とオススメ。
スピーカーやイヤホンにかぶりつく必要はナッシング。明るくて平和な懐かしい絵本でも読みながら、まったりと鼻歌で一緒にハミングしてみてください。「リラックス」ってのはこんな感じ、と言ってみても、たぶんそんなに過言じゃない。
(あと、余談というか付記として。
僕はTSUTAYAでレンタルしちゃったので今は手元にCDが無いんですが、ジャケットやらブックレットのあちこちに『おさるのジョージ』が描かれていて、まるでアルバム自体が絵本のような仕上がりだったのが印象的でした。歌詞カードもこんな感じ↓)
(そういや、前に『Gorilla』を紹介して、今度は『おさるのジョージ』を紹介してますが、別に霊長類しばりでアルバムを選んでるわけじゃないです。たまたま。さて、次は何類何科何目になるかしら。)
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