放電

ここ数ヶ月のわたしは何も頑張っていなかった。自信を持ってそう言える。

決して卑下しているわけではないので、素直に受け入れてほしい。

最近はめっきり消費カロリーの少ない、よく言えば燃費の良い毎日を送っていた。

仕事をしていると、どんな作業でも少なからず頭を使い気力・体力を削る。打ち合わせや詰めの作業を終えて疲れ果てた日の消費カロリーは、一体どのくらいだっただろう。

退職直前は会社に行くだけでもストレスフルで、夜は眠れず、日中は動悸がして溺れているような体感の日々が続いた。それだけで随分消耗していたにも関わらず、昼休みや帰宅後は気晴らしのためにひたすら歩いていた。

何を食べても美味しく感じられないので食欲がなくなり、エネルギッシュとは対極の状態なのに体力を消費し続ける日々だった。今思うとちょっと不憫だ。

それが、最終出勤日を迎えて少し気持ちが緩み、少しずつ眠れるようなり、有休消化を終えて正式な退職日を迎えると、ものすごくスッキリした。呼吸が楽になった。

今はとてもぐっすり眠れている。ご飯はおいしい。おやつも最高。体調も良く、生きてるって楽しい、と思う。

そうしているうちに、ちょっと太ってきた。そりゃそうだ。ストレスもないし、頭も使わないし、のらりくらり暮らしているし。
でも、おいしい食事やおやつは手放したくない。だっておいしいから。

なので、せめて運動だけは頑張ろうと決めた。運動量2倍キャンペーン。平日は早朝と晩に歩いたり走ったり。土日はそれぞれ下半身と上半身の筋トレをする。けっこう疲れる。お風呂に入ると、もうすぐにでも眠りたくなるが、就寝前にはフォームローラーとストレッチ、腹筋トレーニングをする。

気がつくと、本当に運動しか頑張らなくなっていた。ははは。

身体にかかる単純な物理的ストレスは、あれこれ考え過ぎたり無闇に悩んだりする隙を奪い去ってくれる。何も考えていないと言えばそうだけど、放電終了の兆しを感じる。すごいな。一週間前にはなかった感覚が、今はある。

ただ、毎日の運動のおかげで人生で一番日焼けしてしまい、心なしか頬のシミも目立つようになってきた。できるだけケアはしてるけど。困ったものだ。

でも、こんな自分も悪くないなと思う。今までに出会ったことのない自分。
ブランニュー自分。おっと、ださい。

少しずつ変わってきているのがわかる。日焼けついでに脱皮しそう。何になるのかは、まだよくわからないけど。