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ピアス

ついこの前、年金事務所に手続きに行くときに「防御力が足りないな。ピアスくらいしていくか。」と、ふと思った。

いつからか、アクセサリーはわたしの装備アイテムのような意識になっていた。まさにドラクエのキラーピアスみたいな感じ。

前の会社の勤務晩年は、とにかく大きくて主張の激しいピアスばかり選んでいた。
社長に「耳ちぎれないの?」と聞かれたこともある。うるせえと荒ぶる気持ちを、耳たぶで揺れる金属の重みが抑えてくれた。

仕事の時だけ登場するピアスがいくつもあった。休日に出かけるときや、友だちや彼氏と会うときには選ぶものとは明らかに異なる。

判断基準は、このピアスを付けたときの自分が、大丈夫かどうか。強そうか強そうじゃないか。

装飾品というよりも、むしろ自分を守るための盾のような存在で、とはいえそれで何かが守れていたかというと、さてはて。

今になって考えると、ピアスのサイズやデザインの華やかさや煌びやかさを、素直に受け止めて身に着けていなかったように思う。

わたしはとても臆病だった。それは今もそうだろう。だとしても、虚勢を張るために随分な役割を小さなアクセサリーに背負わせてしまっていたな。

結局、その日はピアスをしないで出掛けた。別にいいか、と思ったので。しない日があってもいいもんだな。
これからピアスを選ぶときはもっと気楽に。いのちをだいじに。

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