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舞いあがれ!望月久留美 台詞集

3/31更新

台詞文字起こし

呼び方時系列



第1週(1)   幼少期

<うさぎのスミちゃんに餌をあげてる舞ちゃん>
久:触ったらあかん。うさぎに触ってええんわ飼育係だけや。
舞:ごめん。

<飼育係に決まり放課後ウサギ小屋に行く2人>
久:岩倉さん、去年の運動会リレーの選手してへんかった?
舞:見てたん?
久:何で走られへんの?
舞:熱出るから…。
  けど、ウサギの世話はちゃんとやる。
久:うん。

<ウサギ小屋にスミちゃんがいない>
久:あっ!
舞:どないしたん?
久:逃げ出したんや!
舞:え!?
久:はよ見つけな。(小屋から走り出す)
舞:スミちゃん…スミちゃん (校庭でウサギを探す)
貴:舞ちゃん!ウサギ!! (ウサギ見つける)
舞:スミちゃん…!
久:ありがとう。
貴:ううん。
久:ごめんな走らせてしもて。
舞:ええねん、私も飼育係なんやもん。


第1週(2)  幼少期

舞:貴司くん…!
貴:舞ちゃん、今呼ぼうと思うたんや。行くで!
 (紙飛行機を舞ちゃんの部屋へ飛ばす)
貴:それ望月さんから!

岩倉さんへ
はよ学校に来て
いっしょにウサギの世話しよ
楽しみに待ってます。
望月久留美より


第1週(3)  幼少期

望月さん
貴司くんから手紙とどきました。
ありがとう。うれしかったです。
とつぜんですが、私は長さき県の五島に行くことになりました。ごめんなさい。
だから望月さんといっしょにし育係をやれなくなりました。ごめんなさい。
元気になったら東大さかに帰れるっておかあさんが言ってます。
そやから、それまでスミちゃんのことよろしくおねがいします。
いっぱいチモシーあげてください。
舞より

五島に行くまいちゃんからの手紙

久:何で岩倉さんウサギのことスミちゃんて呼ぶんやろ。
貴:このウサギな、隅っこが好きやねんて。
久:そうなん?
 (撫でながら)スミちゃん…。


第3週(11) 幼少期

<ウサギ小屋にスミちゃんがいない事に気づいた舞ちゃん>
久:岩倉さん…。
舞:望月さん!スミちゃんは?
久:死んでしもうてん。
舞:え……。
久:夏休みめっちゃ暑い日あってな。私スミちゃん心配になったんや、ほんでウチに連れて帰ってん。涼しいやろ?
舞:うん。
久:次の日朝起きたらスミちゃん死んでた。
舞:(黙り込む)

<学校を休んだ望月さんの家に行く>
久:(家から出てくる)
舞:岩倉さん。これ持ってきてん。
久:ありがとう。
舞:病気大丈夫なん?
久:うん、もう治った。
父:友達か?上がってもらい。
久:ええよ。
父:何でや、お父ちゃんが恥ずかしいんか。
久:ちゃうって。(舞ちゃん)行こ!
父:参観日のお知らせも隠してたやんか!車気いつけや!

久:うちのお父ちゃんかっこええんやで。
  ずっとラグビーの選手しててな、けど怪我してしもうて会社辞めてん。
舞:望月さん。スミちゃんが死んだん望月さんのせいちゃうで。ウサギは急に死ぬことがあんねんて。自分の病気、飼い主にも隠そうとするから。
久:ほんま?
舞:うん。本に書いてた。そやから望月さんのせいやない。
久:(嬉しそうに歩き出す)
舞:ほな帰るな。また来週。
久:また来週。


第3週(14) 幼少期

<放課後>
舞:望月さん。
久:なに?
舞:放課後いっしょに遊ばへん?私と貴司君しかおらへんし気楽やで。
秘密基地があんねん。
久:(嬉しそう)

<デラシネで集まる3人>
舞:望月さん料理するんや!
久:うん。(飛行機作り)難しそうやな。
舞:そやねん、けど頑張らな。
久:なんで?
舞:お父ちゃん飛行機好きやねん。そやから飛行機飛んでるところ見せて元気になってもらいたい。今お父ちゃん元気ないねんな。
久:うちのお父ちゃんもや。仕事探してるけど全然ないんやと。
舞:ほな望月さんも作る?飛行機。材料いっぱいあるから!
  貴司君の分もあんで!
貴:僕はええ。うちのおとんあれ以上元気にしてもな。
舞:そういえばそうやな。
久:なぁ、やり方教えて。
舞:うん!

<校庭で飛行機を飛ばす>
(上手く飛ばない飛行機)
舞:よかった〜壊れてへん。久留美ちゃんのは?壊れてへん?
舞:あっごめん。望月さんて呼んだ方がええ?
久:別にどっちでもええよ。
舞:ほな久留美ちゃんて呼ぶな!
貴:飛ばへんな〜。
舞:なんですぐ落ちるんやろ。


第3週(15) 幼少期


<飛行機が完成>
舞:日曜日に飛ばそうか!
貴:ええで!
久:なぁ、お父ちゃん喜ぶやろうか。飛行機好きか分からへんし元気出るかな>
貴:一生懸命作ったんやしお父ちゃん嬉しいと思うで。
舞:きっと喜んでくれる!
久:(嬉しそうに頷く)

<望月家>
父:ただいま。
久:おかえり!
父:なんやええことあったんか?
久:父ちゃん、舞ちゃんと一緒に飛行機作ってん。
父:飛行機?
久:うん。今度の日曜飛ばしてみるんやけど…見に来てくれへん?
父:行ってええんか!?
久:来てほしい!
父:わかった。ほな行くわ。へへ。
久:ほなオムライス作るな。
父:お父ちゃん手伝おうか?
久;ありがとう。
父:ほらやらしてやらして。

<日曜日>
貴:あれ久留美ちゃんのお父ちゃんちゃう?
久:うん、お父ちゃんや(小さく手を振る)

舞:行くで!
久:うん!
舞:せーのっ!
(空高く飛ぶ手作り飛行機✈︎)
舞父:よう飛ぶなぁ〜
久父;ほんまですな〜

(舞ちゃんが久留美ちゃんの元に駆け寄り、飛行機を見て嬉しそうなお父さんたちを指差すして嬉しそうに笑う2人)


第4週(16)

舞:(着信 …0909637542)
   誰やろ?もしもし。

久:あっ舞?わたし。


舞:久留美?どないしたん?

久:実は今日な携帯買うてん。

舞:ホンマ?ほな、この番号…。

久:うん、私の携帯。

舞:嬉しい〜。
   これでいつでも連絡できるなぁ。

久:うん。ほな またゆっくり連絡するな。
   まだお店の片付け残ってんねん。


舞:あぁ そっか お疲れさん。

久:うん ほなね バイバイ。

(不通音)

舞:相変わらず忙しいなぁ。


<カフェ ノーサイド>
※津=カフェの主人津田さん

(お店の看板を引っ込める久留美)
久:よいしょ…。

津:彼氏?

久:友達です。

津:なんや。
   お父さん仕事決まったんやて?

久:はい!

津:今度は続いたらええのになぁ。

久:ホンマですよ~。

津:ホンマやで。


久留美ちゃんは看護専門学校の一年生。
生活費を補う為に放課後はここでアルバイトをしています。

ナレーション

<望月家>
久:ただいま。 


父:おかえり。 (制服を着た父)

久:似合ってるやん!

父:えぇ そうか?

久:うん!

父:朝まで1人で大丈夫か?

久:いや 私 いくつやと思ってんの。
   学校の課題やるから1人の方が集中できてええわ。


父:まぁそうやな 行ってくるわ。

久:気い付けて。

父:はいはい。
   火の元だけ気をつけえよ。

久:うん。



第4週(17)

<カフェ ノーサイド>
久:ありがとうございました。(お客さん退店)

津:久留美ちゃん休憩して。

久:ありがとうございます。

津:それカウンター置いてええから。

久:はい。

久:あっお疲れさん。(舞の前に座る)

舞:お疲れさん。

久:あっ なんか着信ある。

舞:ごめん、それ私。

久:何かあったん?

舞:実はな…私もここで働きたいなぁと思て。

久:バイトするん?

舞:部費が月に1万かかるし、他にも活動費も要んねん。

久:へえ〜 人力飛行機作んのお金かかるんやな。

舞:私もサークルの一人として稼がな。

久:ほな、今面接してもらい。

舞:今?

久:善は急げや。な?
  オーナー! 新しいバイトの子です。

津:え?あの子!?

久:はい!

津:合格や。

久:合格。


<カフェ ノーサイド>
舞:お待たせしました。ありがとうございます。

客:ビール4つお代わり!こっちも2つ!

舞:はい!ただいま。

津:は〜い!3番にジョッキ2つ!

久:はい!

舞:はい ありがとうございます。


<お好み焼き屋 うめづ>

久:今日もよう働いたな〜。

舞:うん、腕プルプルしてる。

久:なぁ。

貴:ただいま。

母:お帰り。

舞・久:お帰り。

貴:ごめんなぁ 遅なって。

舞:ええよ お疲れさん。

久:お疲れさん。

貴:何でも頼んで、こない安い店で悪いけど。

久:ありがとう。

母:"安いで始まり うまいで終わる お好み焼き うめづ!"

貴:何?

母:うちのICや。

貴:いらんこと言わんでええねん。はよ戻って。

母:注文さえしてくれたらな戻りますねん。

貴:あぁ じゃあ豚玉。

母:売り切れですね。

貴:何で?

父:あるわ。

母:ありますね。

(お好み焼き到着)
久:うまいなぁ。

舞:おいしいなぁ。
  これ食べてもええ?

久:ええよ。

舞:ありがとう。

貴:これ思い切って初任給で買うた。(本を鞄から出す『ねむれ巴里』『どくろ杯』)

久:さすが文学少年。初任給で買うもんがちゃうわ。

舞:今でも詩い書いてるんやろ?

貴:うん。

久:根っからの文系やのに、何でシステムエンジニアになったん?

貴:コンピューター相手の仕事やから楽屋思たんや。

舞:人間関係とか?

貴:当たり!

久:貴司君、意外にヘタレやからな。

貴:何やねんそれ。

舞:そうなん?

久:ヘタレや。

貴:けどな、働いてたら本読みたいなとか詩い書きたいなぁとか、前よりずっと思うねん。自分の好きなもんがはっきり見えてきて夢に近づいてる気いするんや。

久:私も看護の学校入って、やっと夢のスタートラインに立てた気いする。
  まぁ成績下がったら授業料の免除も無くなっしまうし、勉強にバイトにお父ちゃんの心配、毎日クタクタやけどな。
  けど、そやからこそ負けられへんって思うねん!
  将来絶対ええ看護師さんになったる!
  私、今もうめっちゃ燃えてんねん!!ハハハハハ。

舞:2人とも偉いなぁ…。

久:舞はええやん、好きな道に行けて。

貴:飛行機作んのが夢なんやろ?

舞:うん…。

(悠斗がうめづに入ってくる)
兄:こんばんは。

父:ああいらっしゃいどうぞ。空いてるとこどうぞ。

兄:舞か、久しぶりやな。

舞:お兄ちゃん…。


第4週(18)

<悠人がうめづにやってくる>
兄:舞か、久しぶりやな。

舞:お兄ちゃん…。

久:こんばんは。

貴:お久しぶりです。

兄:お馴染みのメンバーやな。元気やったか?

久•貴:はい。

舞:ごちそうさまでした。ごめんな、先出るわ。

久:またな。


第5週(21)

<自転屋さんにて>

舞:71万5千円…2年で…3万…

久:これは!?

舞:可愛い

久:なあ。
  けど、値段はほんま可愛くないなあ。

舞:分割払いやったらなんとか…。

久:よっしゃ もうちょっと値切ろか!

舞:そんなんできるの?

久:できる、任せとき!
   おっちゃん。おっちゃんすみません~。

舞:久留美やめて…!



第5週(23)

〈ノーサイド〉

久:あっ4番テーブルにケーキお願い。
舞:わかった。

舞:いらっしゃいませ。
貴:久しぶり。
舞:久しぶり。

久:貴司君なんか元気ないよなぁ。
舞:うん。お母ちゃんも貴司君えらい疲れてるみたいって心配してた。
久:はあ。
舞:仕事忙しいんかな。
久:ご飯誘ってみる?
舞:そやな。

舞:失礼します。
貴:舞ちゃん。
舞:お代わりは?
貴:ええわ、もう会社に戻らな。
舞:そっか。貴司君今日何時頃に帰ってくるん?
貴:21時頃かな。
舞:ほな一緒にご飯食べよ。
貴:うん。
舞:ありがとうございました。
貴:ほなね。
舞:うん。

〈うめづ〉
舞:う〜ん…。
久:あった?食べられそうなもん。
雪:決まったか〜?
久:ん〜じゃあ、イカ玉にする!舞は?
雪:よっしゃイカ玉ね。
舞:おばちゃん、油と炭水化物抜きのネギ焼きできる?
雪:舞ちゃん、それやったらネギ齧った方が早いで。

貴:ただいま。
舞・久:おかえり〜!
梅:はいお待たせ。特製ネギ焼き舞ちゃんスペシャルや。
  言われた通り粉にプロテイン混ぜたで、味は知らんけど。
舞:ありがとう!いただきます。
梅:はい〜。
舞:ん〜(美味しそうに噛み締める)
久:あははは。
貴:うまそうに食べるなあ。
久:舞ケーキ運びながらお腹鳴ってたもんな。
舞:それ言わんといてよ笑
       そや今日ノーサイドで詩書いてたやろ。これ落ちてたで。
(ナレーション:干からびた犬?)
久:怖…貴司君大丈夫なん?
貴:大丈夫や。ただの詩の一つや。
  干からびた犬いうんは僕のことや。
久:どういう意味?
貴:今僕な営業成績最低やねん。会社にはノルマがあってな僕だけクリア出来へんくていつもめっちゃ怒られんねん。けど、八木のおっちゃんに言われてん。それでええって。

八『息がでけへんぐらいしんどい時に生まれるのが詩や。もがいてたらええんや。』

貴:そやから、もがきながら詩書いてみよと思ってんねん。


第6週(27)

<ノーサイド>
舞:おにぎり サンドイッチ スパゲティー 焼きそば 豚玉 イカ玉 ネギ焼き…

津:舞ちゃん何やってんの?

久:明日が本番前日やから炭水化物解禁らしいです。

津:あ〜、長かったダイエットも終わりか。

舞:トレーニングもお休みなんです。

津:えらい元気ええなあ。

舞:お昼前にミーティング行ったらあとは炭水化物が待ってます!


第6週(29)

<ノーサイド>

久:お待たせしました、お伺いします。

舞:あの、私のシフト増やしてほしいんです。

津:おっやる気やな、助かるわ。

(戸が開く音)

舞:いらっしゃいませ。

久:お父ちゃん…。

久:ごゆっくり。

津:久しぶりやん、今から夜勤?

父:うん。

津:今度の仕事は続いてんねやて?

父:まあな。久留美にばっかり苦労をかけるわけにもいかんしな。

津:その意気や。それでこそドーベルマン望月や。

久:ドーベルマン…久しぶりに聞いたわ。

津:あんたな倒れても倒れても起き上がってタックルかけに行く最強のフランカーやったんや。頑張らな。

父:昔の話や、ご馳走さん。

津:はい。

父:久留美。
 (お金を久留美に渡す)

久:ん?会計ならレジで…

父:ちゃうがな。誕生日やろケーキでも食い。

久:覚えてたん?

父:うん。これ…。(手紙も渡す)
  ほなな。ごちそうさん。

津:450円です。

<久留美の部屋>

(母からの手紙を見返す久留美)

<ノーサイド>

久:あっ舞、何か話あるんとちゃうん?

貴:いきなり3人で集まろとか言うから。

久:えっ何?

舞:私な、旅客機のパイロットになりたいねん。

久:本気?

舞:うん。夏、人力飛行機で琵琶湖飛んだやろ?

久:うん。

舞:あの時気づいてん。あぁ私はず〜っと空飛びたかったんやて。もっと高くもっと長く空飛びたい。そう思て今パイロットの養成学校目指してんねん。

久:そこ女子でも入れるん?

舞:うん、ほとんど男子やけど。

久:親はなんて?

舞:まだ言えてへん。

久:何で?はよ話しな。

舞:言おう言おう思てねんけど、どない言うたらええか…。

久:また贅沢な悩みやな。

貴:舞ちゃん、ホンマの自分を見つけたんやな。

舞:うん。

貴:羨ましいわ。
 (携帯が鳴る)ごめん呼び出しや。

舞:貴司君大丈夫?

貴:大丈夫や、ほなメリークリスマス。

2人:メリークリスマス。

貴:ごちそうさまでした。

津:ありがとう。

ナレーション:幼なじみ3人にも言えないことがある。


※メモ
久留美母:松下 久子
〒312-0007
福岡県福岡市早良区松藤3丁目2番地11 メゾン松藤301

誕生日に送られてくる手紙
白い封筒 ※消印15.10.24
〒577-0672大阪府東大阪市南摘路町2丁目1番地18 南摘路ハイツ203号室
緑・橙色の封筒
〒577-0127大阪府東大阪市古地町1丁目3番地16 コーポふもと202号室



第6週(30)

<ノーサイド スタッフルーム>

(ご機嫌で入ってくる久留美)
舞:どないしたん?

久:ジャ〜ン!2年目の学費免除が決まりました!

舞:見して!
  よかったなぁ!おめでとう!

久:ありがとう!

<望月家>
久:お父ちゃん?

父:うん。

久:仕事は?

父:辞めた。

久:え?

父:(包帯が巻かれた左足を見せる)

久:捻挫?

父:非常階段で足滑らしてな。もともとガードマンに向いてなかったんや、辞めてせえせえしたわ。

久:なにそれ…。家賃どうすんの?

父:まぁなんとかなるやろ。

久:いっつもなんとかすんのは私やん!そんなんでこれからどないするんよ!

父:お前はあいつと一緒に行ったらよかったんや。

久:何言うんよ今更。

父:ほな結婚でも何でもしたらええがな。

久:こんなお父ちゃんおったら結婚なんかでけへんわ!ドーベルマンどこ行ったんよ!

(ドアが閉まる音)

<岩倉家>
(雨の中家のまえで佇む久留美)

舞母:久留美ちゃん…入り。

久:おばちゃんごめんなさい、こんな時間に。

舞母:上がり上がり、あったかい甘酒作るし。な?

舞:久留美…どないしたん?

久:ええな舞は…

舞:ん?

久:お母ちゃん優しいし、お父ちゃん頼りになるし。なぁ、舞?

舞:ん?

久:もし…もしもやで。

舞:うん。

久:舞が子供の頃にお母ちゃんが家出てったとするやろ。

舞:うん。

久:けど帰ってけえへん。1年に1回バースデーカードが来るだけ。

舞:うん。

久:舞やったら、カードに書いてる番号に電話する?

舞:…分からへん。

久:私もや。

久:お父ちゃんに酷いこと言うてしもた…。自分が自分やないみたいやわ。けど、言わんと我慢してたら何も変われへんもんな。


第7週(31)

<ノーサイド>
久:やっと言えたんやな。

舞:けど分かってもらえんかった。「大学はちゃんと卒業してほしい、それまでによう考え」ってお母ちゃんが。

久:まぁ…。

津:親御さんはそう言うわな普通。

久:けどええやん、心配してくれるお母ちゃんがおるやから。うちのお父ちゃんなんかこっちに心配かけるばっかりや。

津:子供が思てるより親は心配してるもんなんやで。

久:そういうもんですかね。

津:あんたのお父ちゃんかてそうやし、お母ちゃんもきっとそうや。

久:お母ちゃんか…どうなんやろな。

舞:今の久留美見たら嬉しいと思うで。

久:私のことはええねん。舞のお母ちゃん心配してくれてはるんやから家帰り。

津:あんたもやで。昨日の晩お父ちゃんから電話かかってきて「久留美帰ってけえへん」て。「舞ちゃんとこ行ってんちゃうか」て言うといたけど。

舞:帰ろか。

久:うん。

<望月家>
(電話で会社に謝る父)
久:どないしたん?

父:何や帰ってきたんかいな。

久:うん。

久:捻挫大丈夫なん?

父:うん。

久:昨日はごめんな。

父:ええよ。

久:(母からもらったバースデーカードを見る)

父:お母ちゃんに会いに行ったってええんやぞ。お父ちゃんに気い遣うことあらへん。

久:何言うてんの…。




第7週(32)

<岩倉家>
舞:貴司君に何があったん?

貴母:ここんとこ帰ってけぇへんからさっき会社電話したら、3日前に退職届出してそれきりやて。分かれへん…携帯繋がれへん…。

舞:ほな今どこに?

舞:(電話をかける)「おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか…」

<デラシネ>
舞:(閉店の張り紙を見る)

久:知ってた?

舞:私何も知らんかった…。貴司君が行きそうなとこ回ってみよ。

久:うん。

<うめづ>

貴父:あぁ浩ちゃん。

舞父:まだ見つかれへんのか?

貴父:うん。

舞父:雪乃さんは?

貴父:貴司の会社。詳しい話聞きに行った。

(雪乃さん戻ってくる)

貴父:おう どうやった?

貴母:会社の人何も知らんて。前の日まで普通に働いてたのに急に退職届出したんやて。貴司何かあったんちゃうやろか、私警察行ってくるわ。

貴父:ああ警察行ったら大事なるわ。

貴母:何言うてんの!?3日も行方わかれへんねやで十分大ごとやんか!!

貴父:いや…会社辞めてしもてやで俺らと顔合わせんのが辛いかも分かれへん。もうちょい待ったら帰ってくるかも分かれへんがな。

貴母:どこまで能天気やねんなあんた!いっつもそうやんか。私何べんも言うたよね、貴司最近元気ないんちゃうかって。あんたいっぺんも取り合うてくれへんかったやんか!

<ノーサイド>
津:どやった?

久:どこにおるんやろ…。

舞:(疲れた様子だった貴司君の異変を回想中)

舞:ちゃう…。

久:ん?

舞:私何も知らんかったんやない。貴司君何か変やなって心のどっかで気ぃ付いてた。そやのに自分のことで頭いっぱいで…。

<商店街>

(貴司から舞へ着信)
舞:もしもし貴司君?

貴:舞ちゃん。

舞:どこにおんの?心配したんやで!

貴:今五島や。

舞:五島?

貴:うん。

舞:なんで?

貴:……。

舞:貴司君?

貴:舞ちゃんからうちのおかんに言うてくれへん?ちゃんと生きてるから心配せんといてて。

舞:そんなん自分で言うた方がええ。心配してはるから。

貴:今は話できへん。

舞:貴司君…。

貴:もう限界なんよ。せやから舞ちゃんから伝えてほしい。

舞:分かった。けど教えて、五島にしばらくおんの?

貴:分かれへん。けど見てみたかった景色があんねん。

舞:景色?

貴:絵葉書の…。これ舞ちゃんがくれたんやで。ほな切るな、電池ないねん。

舞:待って!
(不通音)
舞:切れてしもた……。

久:絵葉書って?

舞:昔五島から送ったことあんねん。

<うめづ>
舞:貴司君から電話あった!

貴父:どこおるて?

舞:五島におるって。

貴父:五島!?

貴母:よかった…あぁ…。何で、何でそない遠いとこに?

舞:分かれへん、すぐ電話切れてしもて。けどちゃんと生きてるから心配せんといてて言うてた。

貴母:ほんなら何で電話出えへんねんなもう…。

舞:あの…。貴司君1人で考える時間が欲しいんとちゃうかな。せやから知らん人ばっかりの五島に行ったんかなって。私が五島に行ってくる。

貴母:舞ちゃんが?

舞:貴司君が元気なんちゃんと確かめてくる。

貴母:やぁ…そらあかんわ。私が行かなあかん。

貴父:雪乃。貴司が電話したん舞ちゃんや。俺らじゃなくてな。貴司の言うこと信じて舞ちゃんに任してみようや。

舞:おばちゃん。

久:私も行く。

貴母:分かった。

<五島 タクシー>
舞:(貴司に電話かけるが繋がらず)

久:やっぱり出ぇへん?

舞:うん。

久:まだおるかなぁ。

舞:きっとおる。昔、貴司君に送ったん大瀬埼灯台の絵葉書やねん。空と海が夕焼けに染まった綺麗な写真でな。一目見てこれは貴君に送ろと思てん。

久:あぁ貴司君綺麗な空とか好きやもんな。

舞:うん。せやから貴司君が言うてた見たかった景色て大瀬埼灯台の夕焼けやと思うねん。

<大瀬埼灯台>
舞:貴司君!


第7週(33)

<大瀬埼灯台>
舞:貴司君! 貴司君…。

久:あぁ良かった…。

貴:わざわざ来てくれんかってもよかったのに。僕は元気やで。

舞:何でこの景色が見たかったん?

貴:僕もここ来たら変われるんちゃうかな思てな…。

久:変わりたいの?

貴:何か…しんどなってしもてん。入社して1年経っても営業成績最下位のまんまでな。他の奴らにできてることが何でお前にはでけへんねんてめっちゃ言われるようになって。普通は聞き流せるんやろうけど、僕には突き刺さって痛くてしゃあないねん。そんなんでも僕のホンマの気持ち八木のおっちゃんにだけは話せてん。会社で凍った心、デラシネっちゅうあったかいとこで解かしてまた出社できた。けど、おっちゃんおらんようになってしもて…。ほなもう会社に行く足がすくんでしもて。一歩も動かれへんねん。どないしようて焦ってるうち、何でか分からんけどこの絵葉書のこと思い出したんよ。周りに溶け込んでうまいことやろうとして空っぽになってしもた。僕には何にもない。

舞:何言うてんの、貴司君は優しすぎんねん。

久:そうや。

貴:人とぶつかんのが怖いだけや。せやから人に合わせて自分のホンマの気持ち心の奥にしまい込んで自分が何やりたいんか何すきなんか分からんようになってしもた。

舞:しんどかったんやな。

久:ここ来て何してたん?

貴:3日間ここにおってん。最初は白い波ばっか見ててな、ほんなら海の色が綺麗やなって気ぃ付いて…近くから遠くへどんどん青色が濃くなってくん見てた。海の果てまで見てたらそっから空が始まってた。無限の青やで。空が暗なったら浮き上がるように星が見えてきてん。ただの闇やと思てた空にこんなぎょうさん星あったんやなって。今まで狭い世界しか見えてなかったんやな…。来て良かったわ。

<めぐみ丸>
祖母:よかよ。

舞:ありがとう。

貴:すんません。

久:ありがとうございます。

久:あっよいしょ。

貴:ここが舞ちゃんが暮らしてた島なんやな。いっぺん来てみたかってん。

舞:フフ嬉しいありがとう。

久:おばあちゃん、かっこええな。

舞:やろ?

久:うん。

舞:お腹すいたな。

久:なあ。

<祖母家>
(貴司母に電話する舞)
舞:今、貴司君お風呂入ってる。

貴母:舞ちゃんホンマおおきにな。

舞:ううん。

貴母:どれくらいで帰ってくる言うてる?

舞:気持ちの整理がついたらって言うてた。

貴母:そうか…はよ帰っといでて伝えてくれる?

舞:うん、言うとくな。

貴母:ほなな、久留美ちゃんにもよろしゅう言うといてな。

舞:分かった。ほなおやすみなさい。

貴母:おやすみなさい。

(一太君が入ってくる)
舞:一太君!?

一:舞?ばえー!

舞:久しぶりやな!元気やった?

一:おう!元気元気!あぁいやあの こいば。

舞:おお!ありがとう。

一:祥子ばんばんちに急なお客やけん、持ってけっち母ちゃんが。そっか舞やったとか。

舞:変わらんなぁ。

貴:お風呂ありがとうございました。こんばんは。

一:どうも。

舞:貴司君。ばんば、一太君が魚持ってきてくれた。

祖母:一太帰っとったとね。どがんね一太も一緒に食べて帰らんね。

一:およ。あぁ、いやおいはよか。

(夕飯)

祖母:そっで逃げてきたとか。

貴:はい。

舞:逃げたってそんな言い方…。

祖母:逃げてきたとや事実やろうが。ちゃんと認めた方がよかぞ。

貴:はい、認めたら楽になりました。やっと凍った心が解けてきた気ぃします。

祖母:そうね。

貴:あぁ海ってこんな色やった、空ってこない綺麗やったなってちょっとずつ思い出して。違う自分になりたくて五島に来たのに今のままでええんやって思えたんです。空にこんんだけ星があることも知らんかったくせに世の中のことはもう全部分かったもうええって思ってました。

祖母:ハハハハ。舞面白か幼なじみたいね。難しいことは分からんばってん、ここに来て良かったごたっね。

舞:貴司君はな文学青年なんよ。なぁ?

貴:いや…笑

祖母:変わりもんたいね。

舞:変わりもんて…また言い過ぎやて。

久:フフフ…あっごめん笑

祖母:舞、そがん腫れもんごた扱わんでよか。貴司くんも周りに合わせんでよか。自分の言葉知っちょる人間が1番強かけん。変わりもんや変わりもんで堂々と生きたらよか。

貴:はい。

祖母:うん。

<高浜海水浴場>
舞:貴司君はこれからどないするん?

貴:ホンマの自分のまま生きていける場所がどっかにあるかも知れへん。世界はこんなに広いんやから。

久:そやな。

貴:その場所を探したい。

久:どうやって?

貴:分かれへん。もしかしたらないかもしれへん。けど、いろんな場所に行ってみたいって思う。そんで歌を詠む。

舞:歌?

貴:うん。こんなん。

舞:詩?

貴:短歌や。八木のおっちゃんに勧められてな、昨日の晩星見てたら自然と出てきた。

星たちの 光あつめて 見えてきたこの道をいく 明日の僕は

久:へえ〜何やかっこええなぁ。

舞:ホンマやなぁ。

貴:まずはおかんとおとん説得せな。

舞:うん。

久:私もお母ちゃんに会うてくる。福岡におんねんて。

舞:そうなんや。

久:うん。

舞:私も頑張るわ!お母ちゃんにはあかん言われたけど、パイロット諦めへん。

久:うん。

貴:うん。

舞:うん。



第7週(35)

久:これ…ありがとう。

母:大事に持っててくれたんやね。

久:(頷く)

久:何でお父ちゃんと私のこと置いてったん?

母:置いてくつもりなんてなかった。佳晴さんがラグビーでけへんようになって会社辞めた時、立ち直ってくれるまでしっかり面倒見よって決めて看護師の仕事また始めた。けど佳晴さんどんどん無気力になって…。私がいてたらこの人このままあかんようになるって…。佳晴さんにしばらく実家に帰るって言うたら、「せえせえするわ。お前と一緒になれへんかったら俺もっとマシな人間やった。」ってあの人そう言うてん。
久留美と家出ようとしたら…(回想)
「母:じゃあ行きます。」
「久:行けへん!私はお父ちゃんとおる!」

久:違う。私が行けへんかったらお母ちゃん戻ってくる思った。ホンマは戻ってきてほしかった。

母:何べんも帰ろと思たんやけど1人で生きる道選んでしもた。薄情な母親でごめんな。

久:お母ちゃんの気持ちちょっと分かる気ぃする。お父ちゃん変わってへん。仕事も長く続けへん。文句ばっか言うて自分で頑張ろうとせえへんねん。せやから私頑張ってんねんで。あの時お母ちゃんに言うてしもたから。お父ちゃんとおるて…。
たまにしんどいねん。ずっとこのままなんかなって思たら…私幸せになれるんかなぁて。

母:ごめん。久留美にこんな思いさしてしもて。久留美ホンマによう頑張ってんねんな。

久:私な、看護学校に通ってんねんで。

母:え…?

久:お母ちゃんとおんなじ看護師になる。


第8週(36)

<うめづ>
久:合格おめでとう!

貴:おめでとう!

舞:ありがとう!

久:ホンマによう頑張ったな。

舞:けどな、正直何べんも無理ちゃうか思た。

貴:手応えあったん?

舞:全然。面接も焦ってしもて変な空気なったし多分ギリギリの合格ちゃうかな。

久:他の人ら賢そうやった?

舞:うん。一緒に面接受けた人何や難しいことバ〜言うてた。

貴母:その人イケメンやった?イケメン?

舞:へ?

貴母:なんかほら、パイロットいうのはハイスペック男子の集まりらしいやんか。

舞:背は高かったけど何か感じ悪かった。

貴母:あ〜なるほどな。

貴:舞ちゃんがそんなん言うの珍しいな。

舞:あんな、面接終わった後にな「もう君と会うことはないだろう」やって。さすがに腹立ったわ。

久:え〜そんなやつ絶対落ちてるわ。

舞:そやな、パイロットは人間性も大事なはずや。

久:けどおるよなぁそういう人。私も実習先の病院でな「こんなんもでけへんの?看護師なんの100年かかるなぁ」て鼻で笑われてん。もうヤバない?

舞:ひどいなぁ。貴司君は腹立ったりとかしないん?

貴:うん、せやな…あんまないな。

久:最近どうなん?

貴:この前な3週間島根に行っててん。

舞:短歌できた?

貴:うん。今は気向いたとこ行って思い浮かんだ言葉をメモしてる。自分の中の何かがちょっとずつ広がってく感じがすんねんな。

久:へぇ〜。

舞:前よりずっと楽しそうやん。

貴:楽しいで。

貴母:はいお待たせしました。舞ちゃんの合格祝いです!
貴父:うめづモダンミックスバッファローの雄叫びスペシャル!カモ〜ン!

3人:おぉ〜!



第8週(40)

<ノーサイド>

久:へえ〜何や楽しそうやんか。

津:舞ちゃんモテモテやったんとちゃうん?

舞:そんなんちゃいますよ。皆勉強で必死やし。

久:誰か気になる人おらんかったん?

舞:おらんよ。

津:いや、いてる。当てたるわ。この子やろ!

舞:それはないです。この人ホンマ嫌な感じで。

久:確かに愛想悪いな。

舞:面接の時の。前に話したん覚えてる?

久:ああ言うてたな。

津:ちょちょちょ…ちょっと待って何?面接から一緒やったん?

舞:はい。

津:そら運命やんか。気い付いたらフォーリンラブや!恋に落ちてるやつやんか!

舞:落ちません。

津:落ちんねんこれから。いらっしゃい!

久父:まいど。

久:お父ちゃん。

久父:おう。あっ舞ちゃん久しぶり。

舞:お久しぶりです。

久:お父ちゃん何しに来たん?

久父:何しに来たてお前娘の顔見に来たんや。

久:どうせお金やろ。

久父:何アホみたいなこと言うてんねん。すぐ返すし…なっ。

久:もう…。

津:ちょっとあんたもう、ええ加減にしいや!ドーベルマン望月どこにいってしもたんや!

久父:いつの話しとんねん。

久:(父にお金を渡す)

津:ちょちょちょ…渡し過ぎや!

久父:ほな仕事行ってくるわ。

久:行っといで。

久父:じゃあね。

舞:あぁ行ってらっしゃい…。

津:しっかり稼ぎや!

久父:お前もな。

久:はぁ…もう舞結婚相手はちゃんと選んだ方がええで。

津:せやな。でもなこの子やったら大丈夫やわ。

舞:うん。そういうんやないんですけど。



第9週(43)

<ノーサイド>
津:なぁ誰?彼氏?

久:ちゃいますよ、舞です!

津:何やもう。舞ちゃん何て?

久:フライト訓練毎日大変みたいです。

津:フライドポテトよりは大変やがな。

久:しょうもないこと言わんといてくださいよ。あっもうこんな時間や。ほな仕事行ってきます。

津:うん気ぃ付けて。

久:は〜い ご馳走様でした。

津:はいよ〜!

(店の入り口で悠人とぶつかる)

久:あっ…ああ すいません。

悠:すいません。大丈夫ですか?

久:はい。

悠:あっ。

久:ああ。

悠:舞の友達の…。

久:どうもお久しぶりです。

悠:何やったっけ?

久:望月久留美です。

悠:せやせや久留美ちゃん。何か雰囲気変わったな。

久:今東京で働いてはるんですよね。

悠:うん、まぁ。

久:IMORI電機…でしたっけ?

悠:いや、あそこはもう辞めた。

久:辞めた?ほな今何してるんですか?

悠:投資。

久:投資?

悠:うん、こっちの会社リサーチしに来てんねん。久留美ちゃん看護師になったんや。

久:はい、花園総合医療センターの救命救急で働いてます。

悠:はぁ〜またキッツイ仕事選んでんなあ。給料安いんちゃうの?

久:まぁそら高くはないですけど…。

悠:もっとええ仕事ありそうやけどな。俺に金預けてくれたら何倍にでもできんで。

久:結構です。

悠:ほな地道に仕事頑張って。

久→舞へメール
2007/4/13 20:30
from久留美
Sub   びっくりやわ!
________________
今日、舞のお兄ちゃんに会ったでー
お兄ちゃん、会社辞めたらしいなぁ
あんな感じやったっけ…
・・・・・END・・・・・・・




第10週(48)

舞:もしもし久留美?遅くにごめんな。

久:ううん、ちょうど休憩中やし。どないしたん?
えっ告白された!?あぁあの愛想悪い人?

舞:せやねん、どないしよ。

久:舞とりあえず落ち着き。舞の気持ちはどうなん?

舞:それは…。

久:何や、舞も好きやん。

舞:えっ!

久:「えっ!」って自分のことやろ。

舞:そやけど…。分からへんねん。

久:ええなぁ舞。

舞:久留美はそういうんないん?

久:う〜ん…毎日忙しいからなぁ。そんなんしてる暇ないわ。

舞:そっか…忙しい時にごめんな。

久:ううん、舞の声聞いたら元気出たわ。何かあったらすぐ教えてな。

舞:うん、ありがとう。

久:ほな また。_舞が初恋かぁ。(お腹が鳴る音)お腹すいた。


八:久留美ちゃん。おったおった。

久:ああ。八神先生どうされました?

八:こないだの佐々木さんのケアのお礼言うてへんかったなぁ思て。ありがとう、おかげで手術もうまいこといった。

久:そんなん、わざわざ。

八:僕はいつも久留美ちゃんに支えてもうてるわ。あっそや。これよかったら勤務終わりにでも食べて。
(サンドイッチ2つ出す)

久:え?

八:好きな方取って。

久:あっほなこっち。

八:はい。

久:ありがとうございます。

八:ほなお疲れ。

久:お疲れ様です。

八:お疲れさん。



第11週(51)

舞:もしもし久留美?

久:舞、元気?

舞:うん元気やで。

久:ほんで?結局どうなったん?

舞:え?

久:「え?」やないやろ。柏木さんのこと、もう返事したん?
私ず〜っと気になっててんで。舞初めての彼氏できたんかな、もうデートしたんかなって。

舞:彼氏って…まだ返事もできてへんし。

久:え?まだ?

舞:うん、やってそんなんすぐには答えられへんやん。

久:エリート男子何日も待たせて。あんたええ女やな。

舞:久留美。

久:ごめんごめん冗談やて。けど、あんまり待たしたら柏木さんか可哀想やで。

舞:てか私の話ばっかりやん。久留美は何かあったん?

久:ん〜…まぁちょっと気になる人はおるけど…。

舞:えっ!?どんな人?

久:同じ職場の人やねんけどいっつも差し入れしてくれんねん。美味しいサンドイッチ。

舞:いいなぁ。会うてみたいわ。

久:気ぃ早いわ。私もまだちょっと気になるくらいやし。

看護師:望月さんちょっとええ?
久:はい。

久:あぁごめん仕事戻らなあかん。切るな。

舞:久留美も頑張ってな。

久:うん。ほなまた。

舞:またな。



第12週(57)

<うめづ>
(柏木に電話をかける舞)
舞:出ぇへん。

久:あ〜あ残念。柏木さんと話したかったのに。

舞:久留美が何の話すんの?

久:親友として挨拶しとかな。

舞:久留美は最近どうなん?サンドイッチの八神先生と。

久:どうって…何もないよ。

舞:ほんまに?

久:てか舞、一年何するん?

舞:せやな、とりあえず五島でしばらくばんばのお手伝いしながら考えるわ。

貴母:えっ舞ちゃん五島行くん?

舞:うん。

貴母:今貴司おんで。

舞:ほんま?

貴母:うん。ちょ…待って。この前これ来たんや。え〜っと…これこれこれこれ。ここにな今住み込んで働いてんねんて。

舞:え〜!

貴母:舞ちゃん悪いけどな元気にしてるか見てきてくれへん?あの子携帯持っていけへんやろ。

舞:分かりました。

貴母:ありがとう。



第13週(61)

(舞父の病室)

久:こんばんは。

舞:ああ久留美。

舞父:おお久留美ちゃん。えらい世話かけてしもたな。

久:いえいえ、お体どないですか?

舞父:おかげさんでもうだいぶ楽になったわ。

久:よかった。

舞母:ここ運ばれてきた時な救急外来に久留美ちゃんがいててくれてどんだけ安心やったか。

舞父:うん。

舞:ありがとうな久留美。

久:ううん元気そうでよかった。けどあんまり無理したらあきませんよ。

舞父:はい。

久:呼ばれてるわ。ほなお大事に。

舞父:わざわざおおきにな。ありがとう。

舞母:よろしくお願いいたします。

舞:ありがとう。

久:またな。

舞:うん。




第14週(64)

<ノーサイド>
久:舞?アイスえらいことなってるで。

舞:あぁ…。

久:あ…柏木さんと何かあったん?

舞:あっちゃうよ。たまにメールしてるし。

久:メールだけ?

舞:うん。向こうは入社準備で忙しいやろうし。

久:あんなぁ遠距離恋愛いうんはな、こまめな連絡が絶対いんねん。

舞:そんなん?

久:うん患者さんが言うてた。舞は電話して声聞きたいって思えへんの?

舞:思う。

久:電話し。

舞:うん。


第14週(66)

(久:ラストに登場)


第15週(69)

<ノーサイド>
久:そっか…工場なくなんのか…。

舞:うん。

久:おばちゃん大丈夫?

舞:忙しくしてるけど、しんどいと思う。

久:そやろなぁ…。

舞:もっとお母ちゃんの力になりたかったのに…。悔しいわ。
柏木さんにな、パイロットになんのが親孝行や言われた。

久:うん。

舞:けどお母ちゃん置いて私だけ前に進んでええんやろうか。

久:え…待って。パイロット諦めるつもり?諦めて舞に何ができるん?

貴:久留美ちゃん。

久:ごめん言い方悪いな。せやけどな舞には自分のやりたいこと諦めんといてほしいねん。

舞:私は…。お母ちゃんを助けたい。工場なくなんのも嫌や。今はそれしか考えられへん。

貴:ほなそないしたらええやん。誰かのために頑張ってる時の舞ちゃん幸せそうやし。

久:ちょっと…そんな簡単に言うて…。

貴:あんなトビウオは水ん中おってもトビウオや。

久:どういう意味?

貴:歌人に解説求めんのは野暮やで。

久:もう嫌やわぁ文豪みたいなこと言い出した。なぁ。

舞:ありがとう。


第16週(73)

<ノーサイド>
津:こんばんは。

舞:何ですか?

久:バイオリンも弾けるんですか?

八:うん3歳から習ってる。

久:はぁ…私は鍵盤ハーモニカぐらいしか…。

八:ええやん。今度セッションしよ。

久:えっ。

八:ほな今やってみよ。

久:えっ今!?嫌や。絶対嫌。

津:久留美ちゃん。

久:あっ舞!えっと…幼馴染の舞です。こちら八神先生。

八:あっ初めまして。

舞:初めまして。アハハ…ごめんなさいお邪魔してもうて。またな。

久:またな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
八:すんませんお会計。

久:ええからはよ行ったげて。はい。

八:ありがとう。

久:頑張ってな。

八:行ってきます。

久:気ぃ付けて。

舞:いつから付き合ってんの?

久:ずっと仕事仲間やと思っててんけど春に告白されてん。でいっぺん断った。

舞:なんで?

久:もっともっと仕事できるようになりたいし、恋愛なんかしてる暇ないなって。ほんなら八神先生がな友達でええからって。ご飯食べたり勉強会したりってしてるうちに気ぃ付いてん。
毎日さよなら言うて別れる時何や胸がキュってなるなぁて。

舞:もっとはよ教えてくれたらよかったのに。

久・津:…。

舞:私に気ぃ遣ってくれたん?

久:こんな話今は聞きたないかなて。

舞:幸せ分けてもらえてめっちゃ嬉しい。

久:私な付き合ってから前より仕事頑張れるようになった。八神先生に会うたら元気でんねん。

舞:ええなぁ!

久:うん!自分のことばっか喋ってしもうた。舞は最近どうなん?

舞:私も元気出ることあった。これ貴司君が短歌送ってくれた。

「君が行く 新たな道を 照らすよう 千億の星に 頼んでおいた」

久:ええやん。

舞:やろ?

久:けど星って1000億もあるんやろか…。

舞:あるで。もっとも〜っとある。

久:ふ〜ん…。



第16週(76)

<うめづ>
舞:そっか五島も変わっていくんやな。

久:ほな五島の未来に乾杯しよか。

貴母:貴司にも乾杯したって。

舞:え?

貴母:初めて新聞載ったんや。ジャ〜ン!

久:「今月の新鋭歌人 梅津貴司」!
   えっすごいやん!

舞:すごい!!

「陽だまりの方へ寝返り打つように昆布は水にひらいていった」

久:「着眼点が面白い」やて。褒められてるやん!

貴母:すごいやろ!

久・舞:すごい!

貴:大袈裟やねん。もうあっち行って。

貴母:さすが先生です、あちら行きますね。

貴:先生ちゃうわ。

舞:けどホンマすごいよ、貴司君の短歌私好きやで。

貴:ありがとう。そや久留美ちゃん、お医者さんと付き合うてんの?

久:せやで。八神先生っていうんよ。

貴:何で舞が嬉しそうなん。

舞:嬉しいもん。

久:やめて(照)
  ほな、貴司君と舞のええ仕事に…。

舞:久留美の充実した毎日にも。

3人:乾杯!

舞:ああ…おいしい!

久:うまいなぁ。

八木:そらよかったわ。

貴・舞:おっちゃん!

貴:何で?いつ帰ってきたん?

八木:これ(短歌)見てな。心にスッと溶け込む歌作れるようなったやんか。

貴:ありがとう。おっちゃんのおかげや。

八木:せやろ。頼んだで。

貴:何?これ。

八木:デラシネの鍵や。これからはお前に任せることにしたわ。

貴:え!?えっちょ…。

八木:ええ風吹いてきたわ。



第17週(81)

<デラシネ>
長山短歌賞を受賞した貴司君。

舞:あっせや久留美にも連絡せな!
  びっくりするやろな久留美。はい、貴司君言うてな。
(久留美に電話をかける)

<ノーサイド>
八神:開けてみて。
   (結婚指輪を久留美に渡す)

久:(そっと開ける)

八神:久留美ちゃん。僕と結婚してほしい。


第18週(82)

<うめづ>
久:あっこんばんは。

舞:久留美遅かったなぁ。

久:ごめんな仕事全然終わらんかって。貴司君おめでとう。

貴;ありがとう。

久:ちょっと今日はみんなに紹介したい人がおって。

貴母:紹介?

久:どうぞ。

八神:お邪魔します。久留美ちゃんとお付き合いさせていただいてる八神蓮太郎と申します。

貴母:へえ〜!

舞:えっ久留美これ…。

久:婚約しました。

(拍手と歓声)

舞:久留美おめでとう!

貴母:あぁこらあかん!こらあかん!もうこれお父ちゃんお好み焼きバンバン焼かな!今日はお祝いのオンパレードや!

貴父:せやせやせやな!せやな!

貴母:焼こ!焼こ!

貴父:座って食べて。

八神:うん美味しい!

貴母:よかったぁ。もうお口に合うかどうか心配やってん。

貴父;お医者さんにもファンドマネージャーにもお墨付き。それがうめづのお好み焼きや。はい悠人君。

悠:ありがとう。

八神:ファンドマネージャー?

久:舞のお兄さん。知らん?今時の人やねんで。

八神:え?ああ!もしかして岩倉悠人さん?テレビよう出てますよね!

悠:どうも。

八神:いや〜感激です。こんなとこで有名人と会えるなんて。

貴母:こんなとこはないんちゃう。

貴父:そやで。

八神:あっ…すみません。すみません。

舞:けど久留美婚約っていつの間にそんなんなったん?

久:ああこないだ…

八神:僕からプロポーズしたんです。ストレートに結婚してほしいって。

久:ちょ…ちょっともうやめて!もう恥ずかしい…

舞:八神先生。久留美のどんなとこが好きになったんですか?

久:舞!

八神:久留美ちゃんはホンマに細かいとこまで気い付く子で僕はいっつも助けてもらってて。

久:最初はなただの職場の同僚やってん。

八神:何よりしんどさも吹き飛ばしてくれる笑顔に惹かれて。気い付いたら僕は久留美ちゃんを愛してました。

悠:愛?

舞母:愛…。

貴両親:愛やて。

舞:あかん、胸いっぱいや。

久:ちょっともう…ホンマに恥ずかしい。蓮太郎さん普段そんなん言えへんやん。

八神:普段言われへんから久留美ちゃんの大事な人らの前で言いたかってん。

貴母:あら〜!

八神:皆さんこれからどうぞよろしくお願いします。

悠:(舌打ち)

貴母:もういつでもお好み焼き食べにきてや。

悠:ごちそうさん。

貴母:え…ちょ…え…えっちょ…。こんなに!?え!?

悠:ええから取っといて。貴司君の受賞祝いと久留美ちゃんの婚約祝い。おめでとう。

貴:ありがとうございます。

悠:お幸せに。

久:ありがとうございます。

悠:じゃあ行くわ。

舞:お兄ちゃんまたな。

悠:ああ。

八神;今日はありがとうございました。

悠:とんでもない。

貴父;おおきにな悠人。

八神:お代わりお願いします。

貴父:はい。

八神:そや舞さん貴司会さん、今度の日曜空いてます?僕らとダブルデートしましょうよ。

舞貴:え?

八神:お二人とは早く仲良くなりたいし。

舞:あぁ…いや…。

八神:あれ?僕何か変なこと言いました?

舞:いや貴司君とはただの幼馴染なんです。なぁ?

貴:うん。

八神:あっそうなんですか。すみません。

舞:全然。

八神:ほな舞さんもしよかったら若いドクター紹介しますよ。独身いっぱいいてるんで。

久:ちょ…やめて。

貴母:いいやん舞ちゃん。紹介してもらいや。

貴:おかん!

久:もうええから。舞は今仕事大変なとこなんやろ?

舞:うん。

久:なぁ?食べよ、なっ。

八神:うん。


第18週(83)

<ノーサイド>
舞:こんにちは。

津:いらっしゃい。

久:あっ舞。

舞:久留美。

久父:なぁもうちょっと暗い色の方がええんとちゃうか?真面目で実直な感じ出て。

津:あかん。陰気くさい顔が余計陰気くさ見えるわ。

舞:何してんの?

久:明後日八神さんのご家族と顔合わせやねん。

舞:え〜。

久:ほんでお父ちゃんえらい張り切ってしもて。

舞:そりゃ張り切るやろ。大事なイベントなんやから。

久:その大事なイベントをなお父ちゃんどうしてもここでやるって聞けへんねん。

舞:えっここって…ここ?

久:な?おかしいやろ?もう…せっかく蓮太郎さんがええ料亭予約するって言うてくれてたのに。

久父:舞ちゃん毎度。

舞:ああこんにちは。

久父:久留美これちょっと派手すぎへんかな?

久:ええんちゃう。何かいかついセールスマンみたいで。

津:やぁ…ホンマやな。

久父:あかんがな。

津:あかんわ。

久父:あかんのちゃう、お前がこれでええって言ったんやろが。

津:ネクタイはええんやけどどうすんの何が似合うんよあんたは。


<顔合わせ当日>

久父:ネクタイいがんでへんか?

久:大丈夫。

久父:うん。久留美、お父ちゃん精一杯見え張ったるからな。

久:うん。


津:いらっしゃいませ。

八神母:八神でございますけど。

津:どうぞこちらへ。

八神母:お初にお目にかかります。蓮太郎の母です。

久父:初めまして、久留美の父です。この度はお忙しい中足を運んでいただき誠にありがとうございます。

久:あの、お父様と蓮太郎さんは…。

八神母:今日は私一人で参りました。

久:え?

八神母:単刀直入に申し上げますわね。蓮太郎とあなたの婚約はなかったことにしていただきます。

久:それってどういう意味でしょうか?

八神母:あら、そのままの意味ですけれど。

久父:な…何で…。

八神母:望月佳晴さんお父様。あなたは定職にはお就きになっていらっしゃいませんよね。離婚もなさってるそうですし。そらね色々ご事情もおありなんでしょうけれども、なんと申しましてもそのようなご家庭の女性とうちの息子と結婚させることはできひんのです。

久:このこと蓮太郎さんはご存知なんですか?

八神母:もちろん存じております。ですから今後一切息子とは関わらんといてくださいませね。では失礼、ごめんあそばせ。

久:お父ちゃん!!

八神母:ひゃっ!

久父:(土下座しながら)お願いします!もう一遍考え直したってください!

八神母:おやめなさい!

久父:俺のことは俺のことです。久留美とは何の関係もないんです!

八神母:そもそもこんな店で顔合わせやなんて非常識でしょ。聞いたらあなたの提案と言うじゃないですか。

久父:娘の邪魔したなかったんです。

八神母:ハハハ何をおっしゃってるのかしら。

久父:俺なんぞが高い料亭行ったら緊張して話もできへん。不細工な姿見せるだけです。そやけどここやったら自然とラグビーの話ができる。俺にはラグビーしか取り柄があらへんのです。せやからここやったらかっこええお父ちゃんでいてられるかも分からへん思て…。

久:お父ちゃん…。

八神母:バカバカしい。何がラグビーよ。

(久父、八神母にタックル)

八神母:キャー!ちょっと!

久父:久留美は…久留美はちゃんとしたようできた娘なんです!どうかお願いします!娘には幸せになってもらいたいんです!お願いします!

八神母:もうお離しなさい!

久:お父ちゃん、もうええ!

八神母:ああ…もう!

久:申し訳ありませんでした。



第18週(84)

<ノーサイド>

八神:久留美ちゃん。ホンマにごめん!母が一人で勝手にやったことで…。

久:せやったら何で蓮太郎さんは来えへんかったん?

八神:それは…ずっと父に説得されてて。

久:お父さんも反対してはんねや。

八神:それは…うん…。久留美ちゃん、両親のことは僕が必ず説得する。僕は久留美ちゃんを愛してる。

<デラシネ>
貴:うわっ!びっくりした!久留美ちゃん?

舞:久留美!

久:反対されんのはええねん。結婚は私らだけの問題やないしそういうこともあるやろなって…。けど、お父ちゃんのことであんな言われ方されるとはなぁ…。
お父ちゃんもお父ちゃんやねん、土下座なんかしてほしなかった。
あんなことしたら仰る通りです私は情けない父親ですって認めたようなもんやん。

貴:必死やったんやろうなおっちゃん。どんだけかっこ悪くてもなんとか娘に幸せになってほしいっていう親心とちゃうかな。

<望月家>
久:おはよう。

久父:おはよう。

久:何?

久父:今日な面接やねん。

久:どこの?

久父:昨日な八神さんが俺に会いに来てくれたんや。

久:蓮太郎さん?

久父:そや。俺にええ会社紹介してくれんねんて。

久:何で…。

久父:デスクワークで定時帰りの仕事てありがたい話やないか。アルバイトで肉体労働すんのも限界やったからな。

久:行かんでええ!

久父:何でや。

久:私はそんなん望んでへん!

久父:俺は望んでんねん!もうこれ以上お前の足引っ張りたないんや。このチャンス絶対逃さへんから。お前は自分の幸せだけ考えといたらええんや。

<ノーサイド>
八神:どしたん?えらい改まって。お父さんのことやったら心配せんでええよ。話聞いてるやろ?

久:聞いた。

(久留美が婚約指輪をテーブルに置く)

久:これ…。

八神:どういうこと?

久:やっぱり蓮太郎さんとは結婚できません。

八神:なんでや、おかしいやろ。

久:おかしくない。

八神:お父さんの仕事のこと勝手に話を進めたのは謝る。けど、お父さんさえちゃんとしてくれたら僕ら結婚できるねんで。

久:ちゃんとしてくれたらって何?

八神:前から思ってた、久留美ちゃん今のままやったら不幸なまんまやんか。せやから僕が助けてあげたいねん。

:助けてほしいなんか思ってへん。私の大事なお父ちゃんやねん。
ごめんなさい、別れてください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

舞:ホンマにええの?

久:うん

久父:久留美、八神さんに面接のお礼で連絡したらお前何してんねん。

久:何って、あんなこと言われて結婚なんて出来へんわ。

久父:あかん!これ今行ってきた会社の資料や、八神さんええとこ紹介してくれはった。こない大きなとこやったら八神さんのお母さんも絶対納得してくれはるやろ。

:そんなとこ行かんでええ!

久父:何でやねん…お父ちゃんのせいやろ、お父ちゃんのせいでこないなってんねやろ。舞ちゃんからも何とか言ってやってくれ。

舞:おじさんのせいやないと思います。

久父:そんなはずあらへんねんて。なぁ諦めんといてくれ久留美頼むから!頼むから幸せになってくれ!

久:お父ちゃん、私な今でも十分幸せやで。

久父:久留美…。

久:私、全然後悔してへん。

久父:ほな何で泣いてんねん。

久:何でやろ…スッキリしたら涙出てきた。これからもお父ちゃんはお父ちゃんなりに頑張ってくれたらそれでええ。それが私が一番望んでることやで。

久父:すまん久留美…。

久:泣かんといてめんどくさいわ…お父ちゃん。



第19週(88)

<望月家>
久:ただいま〜、お父ちゃんまた鍵開けっぱなしやんもう。

久父:久留美!

久:え〜何? 悠人さん?

久父:公園で倒れとったんや。

久:どいて!

久父:うん。

久:悠人さん聞こえますか?あかんめっちゃ体冷たい、お父ちゃんの服貸して!
悠人さんしっかりしてください!


(悠人が眼を覚ます)
久:気分どないですか?

悠:久留美ちゃん?ここは?

久:私の家です、雨のなか倒れてはったんで父が連れて帰ってきたんです。
何があったんですか?

悠:酔って喧嘩しただけや。

久:スープ飲んでください、体の中から温めな。

悠:いらん。迷惑かけたな、迷惑料や取っといて。

久:やめてください。

悠:悪いことして稼いだ金は受け取られへんか。

(チャイムが鳴る)

久:はーい。

舞母:久留美ちゃんごめんな、ありがとう。

舞:ありがとう。お邪魔します。

舞:お兄ちゃん。

舞母:悠人、うちに帰ろう。

悠:二人には迷惑かけへん。

舞母:何言うてんの!一緒に帰ろ。な?

(久父帰ってくる)

久:お父ちゃん大丈夫?

久父:うん。

舞母:ありがとうございました。ホンマにお世話になりました。

久父:いえいえ。

悠:頼んでへんけどな。

舞母:(悠人の耳つねる)

久父:これチョコレート回復にええんやて。
(出てこうとする悠人)
久:おばちゃんも舞も悠人さんのことどんだけ心配してたか。その気持ちちょっとは考えてください。大事な人がしんどい時に何も出来へん時ってホンマに辛いんですよ!支えてくれる家族がいてはるんだから頼ったらええやないですか。



第19週(89)

<ノーサイド>

悠:ん。(袋を久留美に差し出す)

久:なんですか?

悠:迷惑かけたから。

久:迷惑料ですか?要らんって言いましたよね。

悠:そんなんちゃう。これは…礼や。

久:(受け取る)

悠:ほな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
半年後2014年6月

久:ほな悠人さん元気なんや。

舞:うん。裁判終わってやっと再出発できる気ぃするって。

久:そっか。これからどうしはんねやろな。

舞:うん…ゆっくり考えるって。

久:ほな夜勤行ってくるな。

舞:うん。あっ待って。

久:ん?水羊羹?

舞:うん。営業先でもろたから。はいお裾分け。

久:ありがとう。休憩の時にみんなで食べるな。

舞:うん。これは貴司君にもあげよ。

久:(何か言いたげに舞を見る)

舞:ん?

久:ううん。ほなね。

舞:あ…うん。



第19週(90)

<公園>

舞:思ってもない質問やったから全力で否定してしもた。

久:そらちゃぶ台で仲良うお茶飲んでたら夫婦やて思われてもしゃあないやろ。

舞:そやろか。

久:言われて嫌やった?奥様ですかて。

舞:ううんびっくりしてしもた。けど、私も久留美も短歌のこと何もわからへんやんか。

久:うん。

舞:貴司君話の合う仲間ができてホンマよかったなぁて…。

久:ん。(ベンチに座るよう舞に目線を送る)

舞:はい。

久:あんたまたそんな呑気なこと言うて大丈夫なん?貴司君と秋月さんどんどん仲良うなるかもしれんで。

舞:そやなぁ。

久:ええの?

舞:ええも何も…私関係ないやん。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
<うめづ>

舞:こんばんは。

貴父:いらっしゃい。

信吾:舞ちゃん!

木戸:元気そうやね!

舞:はい。あっ親友の久留美です。

久:初めまして。

さくら:はえー!やっと会えた!舞ちゃんからよう話ば聞いちょったとさ。

木戸:しっかりもんの看護師さんやろ?

久:いやいやいやいや…。

舞:そうです。

久:舞。


第19週(91)

<岩倉家>

舞:一太君よかったなぁ。

久:ホンマに。ええもん見させてもろた。

舞:ホンマやな。

久:貴司君も来れたらよかったのになぁ。

舞:うん。貴司君が本出すって聞いた時単純に喜んでしもたけど、はぁ…何や大変そうやわ。

久:そうなん?

舞:ホンマの気持ちに向き合え言われて貴司君しんどそやった。

久:舞もやで。

舞:え?

久:ホンマの気持ちに向き合った方がええ。貴司君のこと好きなんやろ?

舞:私な、貴司君とは友達でおりたいねん。

久:なんで?

舞:もし告白してしもたら今の関係には戻られへんやんか。柏木さんのこと覚えてる?

久:うん。

舞:もし付き合ってなかったら柏木さんと今でも友達やったと思う。けど、付き合ってもう二度と大事な友達には戻られへんようになってしもた。私な、貴司君にとって何でも話せる幼馴染のままでおりたいねん。


第20週(92) ※回想シーン

回想
久:ホンマの気持ちに向き合った方がええ。貴司君のこと好きなんやろ?


第20週(93)

<ノーサイド>

久:何て?貴司君に近づくなってこと?

舞:ただ貴司君の力になりたいだけやと思う。

久:舞も舞やで。何で黙って引き下がんの。

舞:秋月さんな貴司君の短歌のことよう分かってはんねん。けど私は…今の貴司君にできることないねんな。

久:何言うてんの。どんな時でも自分にできること探すのが舞やろ?

舞:うん…。


第20週(94)

<電話>

久:ホンマにええの?舞の気持ち伝えへんまんまで。

舞:うん。ええ。

久:何でよ…。(ため息)

久:舞。

舞:ん?

久:今日星綺麗やで。

舞:見てみるわ。


第20週(96) 次週予告
※地上波のみ、配信ではカットされてます。

久留美ちゃんナレーション
大事な友達と大事な友達が家族になりました。


第21週(97)

<ノーサイド>

久:ふふふ

舞:どないしよ。また緊張してきたわ。

久:皆さん新郎新婦が到着しました!

ーーーーーーーーーーーー

(呼び出し音)
久:もう…。

津:お父ちゃんか?

久:はい、来るって言うてたのにどこ言ってるんやろ。

久父:ええから入れ。ええから。

舞:お兄ちゃん…。

舞母:来てくれたんやね。

悠:うん。もう大丈夫やから。

貴父:悠人元気にしてたんか?

悠:うん。

貴母:よう来てくれたな。悠人君おおきにな。

悠:うん。

貴:お義兄さん、待ってました。

悠:うん。おめでとう。

貴:ありがとうございます。

舞:ありがとう。座って。

貴母:座り座り。もうほら。

津:お疲れ。

久:お疲れさん。

久父:ホンマ疲れたわ。

久:ふふふふ。

ーーーーーーーーーーーーー
<公園>
久:(ベンチに座る悠人にビールを差し出す)

悠:ありがとう。

久:いやこれぐらい奢ります。

悠:そこまで落ちぶれてへんで。

久:けど覇気がないです。大丈夫やて言う割には。

悠:これから何やったらええんやろなぁ…。俺にできることは金稼ぐことぐらいで…。

久:お金稼げるってすごい才能やと思いますけど。うちのお父ちゃんには一つもない才能です。

悠:はぁ…うん。

久:酔っ払ったら素直なんですね。

悠:(咳き込む)

久:もう大丈夫ですか?

悠:久留美ちゃんには敵わんわ。

久:ふふふ。

久:嬉しかったなぁ。大事な友達と大事な友達が家族になりました。

悠:ああ。

久:めっちゃ嬉しくて…ちょっと寂しいです。



第22週(104)

<ノーサイド>
久:いっぱい考えたなぁ。

舞:まだまだ全然足りひんけどな。ええの思いついたら教えて。

久:ああ、う〜ん…あっ鞄置き場とか?

舞:ああ。それええな。鞄置き場か。

久:ふふふふ…夢中やな。

舞:あっごめん。描いとかな忘れそうで。

久:ううん、ええなぁ。私も新人の頃はそんな風にがむしゃらやった。

舞:今や若い子に厳しく指導する中堅看護師さんやもんな。

久:いや優しい先輩のつもりやねんけどなぁ。やれることは増えたけどこれからどうすんのか考えなな。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
<ノーサイド>

久:ごちそうさまでした。

津:はいはい。

久父:どないしなんや?えらい急いで。

久:仕事の前に先輩と会うねん。

久父:ふ〜ん。

津:気をつけて行っといでな。

久:行ってきます。

津:は〜い ありがとう。

久:ありがとうございます。

津:行ってらっしゃい。

久:は〜い。

(店の外へ出る)

久:悠人さん!

悠:久しぶりやな。

久:お久しぶりです。大阪戻ってきはったんですか?

悠:うん近くに部屋借りた。(久留美が持ってる本を見て)キャリアアップか。

久:はい。これからどうしていこかなって…。今日も先輩に話聞きに行くんです。じゃあまた。

悠:あっ待って。親父さん元気?

久:はい、おかげさまで。中にいますよ。

悠:そっかありがと。



第22週(106)

<岩倉家>
久:うん、めっちゃ美味しいです。

御園:本当に美味しい!

舞母:良かった。

御園:五島行ってみた〜い!え〜やっぱりいいとこですか?

3人:うん!

御園:あ〜いいな〜!

舞:御園さんもいつか慰安旅行で行きましょう。

御園:じゃあ会社こんねくと続けなくちゃね。

舞:はい。

久:舞が社長さんかぁ…。

舞:貫禄ないけどな。

久:ううん、あるで。

舞:ホンマ?

久:うん。

舞母:久留美ちゃんはどない?

久:充実はしてるんですけど、看護師としてもっともっとええ仕事したいんです。

舞母:久留美ちゃんらしいな。

御園:ご結婚されてるんですか?

久:いえ今は仕事一筋です。

御園:私も仕事一筋です!まぁでも私は一生このままなんだろうなっていう…。勝手に盛り上がってごめんね。

貴:ええんです。僕も楽しいんで。

御園:本当に?

貴:はい。

御園:良かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

<うめず前>
悠:久留美ちゃん?

久:こんばんは。

悠:何してんの?

<公園>
悠:うちで魚食べた帰り?

久:はい。

悠:何やそれ。

久:美味しかったですよ。来たら良かったのに。

悠:魚の気分ちゃうかったし。

久:今何してはるんですか?

悠:金稼いでる。誰かに言われたしなそれも才能やって。

久:あぁ…はい。

悠:稼いだ金どうやって使おか考えて投資してる。

久:今まで通りちゃいます?それ。

悠:違うねん。金増やすためとちゃう、会社育てるための投資や。世の中にはなあんまり金にはならんけど大事な仕事やろうとしてる会社があんねん。俺にはそういう仕事でけへんけどそういう会社に投資したら何かの力にはなれるやろ。そういう金の使い方も悪ないんちゃうかなって。

久:かっこいいですね。

悠:何や…今気づいたんか?

久:ふふふ…はい。

悠:何笑てんの?

久:ふふふふ。


第23週(107)

<ノーサイド>
舞:ほんでな、こないだ初めてお客さん来てくれてん。

久:え〜…ふふふふ。

舞:あっこれ見て。

久:何?

舞:これなデザインパンチングいうてな、小さい孔いっぱい開けて絵にしてんねんで。

久:ほんまや。これすごいな。

舞:すごいやろ?

久:うん。

舞:この技術使って新しい商品作りたいと思ってんねん。

久:順調に仕事きてるやん。良かったなぁ。

舞:うん。けど、この商品売れるまではお金になれへん。こっからやわ。

久:そっか…。

舞:うん。ちゃんとお金入ってくるようにせな御園さんのお給料も出せなあかんし、創業支援金いうてな3年でかえさなあかんお金も借りてんねん。

久:うわぁ…プレッシャーやな…。

舞:うん。お母ちゃんとお父ちゃんの苦労もよう分かる。

久:すっかり社長さんやな。

舞:ううん。

久:悠人さんも何だかんだいうて心配しとったで。

舞:お…お兄ちゃんと会ってんの?

久:うんたまにな。世間話か投資の話やけど。意外に面白いねん。

舞:ふ〜んそうなんや。

久:うん。お父ちゃんともよう飲みに言ってるみたいやしな。

舞:へぇ〜案外気ぃ合うんやなぁ。

久:うん。

舞:お兄ちゃんとどんな話するんやろ?

久:お父ちゃんの恋愛相談とか?

舞:え?

久:何か最近えらい仲ええねんな。

舞:ええなぁ。

久:ええなぁ笑


第23週(108)

<うめづ>
久:こんにちは。

貴父:こんにちは。

貴母:いらっしゃい。

久:お待たせ。

貴:お疲れ様。

舞:お疲れさん。夜勤明けやろ?

久:合わせてもらってごめんな。

舞:そんなんええよ。

貴母:何やねんな。3人揃うの久しぶりちゃうの?

舞:はい。

貴母:久留美ちゃんも舞ちゃんも忙しいから。あんたはどないやねんな。

舞:貴司君も歌作りにデラシネに頑張ってます。

貴母:ほなよろしい。召し上がれ。

久・舞:ありがとうございます。

貴:ありがとう。

3人:いただきます。

久:あ…こないだ言うてたあれ何やったっけ…。

舞:デザインパンチング?

久:それ、何かええアイデア思いついたん?

舞:ランプにしようと思ってる。協力してくれる工場も見つけたし。

久:へぇ〜ランプかぁ。

舞:完成したら見せるな。

舞:うん。

貴:アイデアのスケッチも見せてもらったけどええ感じやったで。

久:へぇ〜、やっぱり2人で仕事の相談とかもするんや。

舞・貴:うん。

久:ええなぁ。

舞:私らの話はええから。久留美は?何か話あるんやろ?

久:フライトナースって知ってる?

貴:うん。

舞:聞いたことある。

久:事故や急病災害で緊急の要請があった時にドクターヘリに乗って一番最初に現場に行く看護師のことやねんけど。

舞:かっこええな。

久:これ挑戦したいなぁって思ってて。

貴:すごいやん!

貴母:このドクターヘリいうのはめちゃくちゃ大変やねんで。
貴父:知らんやろお前。
貴母:知ってんねん。
貴父:知らんわ。いいから若者たちの会話に入るな!
貴母:大変やからな〜。
貴父:ああこれ持ってってほら。
貴母:はいはい。

舞:何でこれやりたいと思ってたん?

久:看護師としてのキャリアを考えた時に色々道はあるねんけど私は救命救急の看護を極めたい。ドクターヘリに乗れたら最前線でもっと経験積めるから。

舞:そうなんや。

貴:ほな病院変わるってこと?

久:うん。うちの病院はドクターヘリないねん。表紙見て。

舞:長崎…。

久:離島が多いからドクターヘリの導入も早いんよ。その道で有名な先生もおるし育成制度も充実してる。そういうとこで勉強できたらええなって。

舞:私は久留美がやりたいことやったらええと思う。

久:ありがとう。うん…そうやんな。舞ならそう言ってくれると思った。あ…食べよ。美味しそう。

 --------------------------
<ノーサイド>
舞:夜つけたらええ感じになると思うねん。使ってみて感想聞かせてほしい。

久:ありがとう。

舞:久留美。

久:ん?

舞:おっちゃんには相談したん?

久:まだしてへん。やっぱりお父ちゃん一人にでけへんやろ?もう年やし置いていかれへんなって。

舞:それはそやけど…。

久:長崎は遠すぎるなって。

悠:ちょっとしっかりしてください。おばちゃん水頂戴!

津:はいはい!

久:お父ちゃん!

舞:お兄ちゃん?

久父:おお久留美。

舞:どないしたん?


第23週(109)

<ノーサイド>
(前回の続きから)
久父:久留美。

津:あんた飲み過ぎやて!

悠:うめづで飲んでてん。

久父:まだまだ飲める言うてるやん。

悠:無理ですって。

津:もう!アホ!

久:すみません連れて帰りますんで。

悠:じゃあ手伝うわ。

久:ありがとうございます。舞もはよ帰りや。風強なってるから。

舞:ホンマやな。

津:台風来る言うとったで。傘貸そか?

久父:何アホ言うて…風で飛んでってまうわ。んなもん。

津:あんたに聞いてへんわ!

悠:まだ降ってないから大丈夫。

久父:大丈夫大丈夫。

悠:ほら行きますよ。

久父:もう行くの?

悠:たちますよ。

久父:おおそうか。次行こ次行こ。次の店行くよ、何しにここ来たんや。

ーーーーーーーーーーーーー
<望月家>
久父:(寝言:いや〜焼肉の方がええ…。)

久:もう…こっちの苦労も知らんと。

久:ホンマ迷惑かけてすみません。

悠:全然。じゃあ行くわ。

久:大丈夫ですか?これからもっと風強なるみたいですけど…。

悠:いやまだいけるやろ。

(停電)

久:あ…。つけへん、悠人さん今帰ったら危ないです。しばらくうちおってください。

悠:いや、そやけど…。

久:気にせんといてください。あっそうや。

悠:ん?

久:(舞からもらったライトをつける)

悠:すごいな。

久:綺麗やな…。

悠:これどないしたん?

久:舞がくれたんです。新しい会社で作ったランプやって。

悠:へぇ〜。

久:素敵ですよね。
===================
久:お仕事どないですか?

悠:いろんな会社の人に会ってな話聞いてるうちに改めて俺何も知らんかったなって思うようになったわ。

久:どういうことです?

悠:知り合いの社長に何のために会社やってるんですかって聞いてみてん。そしたら一人でも多くの人幸せにしたいからやって言われた。びっくりしたわ。俺そんなふうに考えたことなかったからな。

久:悠人さん変わりましたよね。昔やったらそんなん聞いても鼻で笑ってましたよ。

悠:ホンマやな…。

久:ええことやと思います。

悠:俺のことはええねん。そっちはどうなん?なんか悩んでるみたいやけど。

久:仕事のキャリア考えて長崎行ってフライトナースなろうって思ってたんです。でも今の病院でやれることいっぱいあるから。

悠:親父さんが悩んでる理由分かったわ。

久:え?

悠:今日飲んでる時も言ってたで。久留美が何か悩んでる。けど何も相談してくれへんて。

久:そんなんですか…。

悠:言うてみたらええやん。

久:いや、簡単に言わんといてください。私が長崎行ったらお父ちゃんは独りぼっちです。病気したら誰が面倒見るんですか?

悠:親父さんのこともうちょっと信用したって。

久:え?

悠:大丈夫や。子供が頑張ってたら親父も頑張れんねん。離れたら離れるだけ強くなる。心も絆も。俺はそう思う。

久:そういうもんですかね…。

悠:もう十分ちゃうか?親父さんも分かってると思うで。自分の幸せ考えて前に進んだ方がええ。

久:心配してくれてるんですね。

悠:そら舞の大事な友達やからな。

久:ふふ。

ーーーーーーーーーーーーー

久父:何や。

久:フライトナースになるために長崎の病院の面接受けたい。

久父:長崎?

久:ドクターヘリの体制が整ってる病院があんねん。

久父:ドクターヘリてお前危ない仕事ちゃうんか。

久:そやな。災害現場にも行くと思う。

久父:心配やわ。

久:けど挑戦してみたい。

久父:もう決めてんのか。

久:うん。

久父:やりたいんやったらやったらええ。お父ちゃんも頑張る。せやから久留美もがんばれ。

久:うん、ありがとう。けどお父ちゃんは一人で大丈夫?

久父:何言うてけつかんねんお前。お父ちゃんは大丈夫や。居酒屋の仕事もだいぶ板ついてきてなそろそろシフトマネージャーか言われてんねんぞこれ。

久:仕事はええけど…。私は津田さんと一緒になってくれたら嬉しいなぁ。

久父:はぁ?

久:好きなんやろ?お父ちゃんも一歩踏み出してみたら?

久父:何アホみたいなこと言うてんのお前。しょうもないホンマ。



第23週(110)

<うめづ>
久:お父ちゃん何やらかしたん?

久父:津田さんにプロポーズしました。

久:返事は?

久父:あきませんでした。

久:何て言うたん?

久父:津田さんと一緒になったら老後も久留美も安心やとかまぁそんな感じの…。

久:は?アホちゃう?そんなん誰でも断るわ!津田さんに養ってくださいて言うたようなもんやん!

久父:ちゃうんやて。そういうつもりで言うたんとちゃうねん。

貴母:もう落ち込まんときもう。当たって砕けろいうのがラガーマンやろ!

貴父:砕けろは余計やろが。

貴母:余計やった。

久父:確かに言葉は間違うた。せやけど津田さんと一緒におったら楽しいし、これからもずっと一緒にいてほしいと思うてんのに…。

久:何でそう言わへんかったん。

久父:2時間前の俺に言うてくれ。

舞:もう一回ちゃんと話したらどうですか?

久父:そんなチャンスあるやろか…。

舞:正直な気持ちちゃんと伝えたら津田さんもきっと聞いてくれると思います。

久父:せやろか…。


第23週(111)

<望月家>
久:お父ちゃん。

久父:何や?(何かを隠す)

久:ん?

久父:ん?

久:あっお金落ちてる。

久父:えっ!?あっちょっお前!やめぇ!

久:「津田さん見てください。ドーベルマン望月の復活です」え…何これ。

久父:それはお前…お前ええやろ!ちょっとお前!おい!

久:何照れてんの?するんやろプロポーズ。

久父:おう…今日も走ってきたんや。あの頃の俺に近づこう思うてな。

久:今更無理やって。

久父:言うたな。おうおうええよお前。お父ちゃんの本気証明したるわい。

久:ふふふふふふ。「思い起こせばいつからでしょうか」

久父:読むな!ちょっと…ちょっとちょ…。

久:字汚な。

久父:やめて!やめて!

<ノーサイド>
舞:来え変な。

久:どないしたんやろ。

我妻:岩倉ちゃん!

舞:ああ我妻さん!

我妻:間に合うたんか?

舞:はい!ありがとうございます!

久:すみません。

我妻:これこれセーフやな。

(ドーベルマン登場)

久:お父ちゃん…。

久父:どや、この格好でええか?

久:久しぶりに見た。

久父:俺の勝負服や。これしかあらへん。

舞:おっちゃんこれ。

久父:ありがとうございます!

我妻:あんたか!頑張りや!

久父:はい!

𝒄𝒐𝒏𝒈𝒓𝒂𝒕𝒖𝒍𝒂𝒕𝒊𝒐𝒏𝒔

第24週(112)

<病室>
舞:どうぞ。

久:お邪魔します。

舞:久留美!

久:体調は?

舞:ええ感じ。

久:ああ良かった。

舞:どうぞ。

久:名前決まった?

貴:うん。

舞:歩。

久:ええ名前やなぁ。みんな来てくれた?

舞・貴:うん。

舞:今朝御園さんも寄ってくれはった。

久:仕事しばらく休むんやろ?

舞:そやけど歩見ながら家でできる仕事はやろうと思ってる。

久:夜泣きって大変らしいで。

貴:僕もおるから。

久:悠人さん来た?

舞:ううんまだ。

久:そっか。

舞:なぁ久留美。

久:ん?

舞:お兄ちゃんとはどうなん?

久:うん…ただの飲み友達やって。

舞:ホンマに?

久:うん。仕事の愚痴とか将来の不安とか黙って聞いてくれんねん、けどもうバッタリ会って飲むこともないやろな。

舞:何で?

久:面接受かった。

舞:えっそやったら…。

久:秋から長崎の病院で働く。ドクターヘリ乗るわ。

舞:おめでとう!

久:ありがとう。

貴:おめでとう!

久:ありがとう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<岩倉家:久留美ちゃん送別会>
3人:乾杯!

舞:ジュースで乾杯って子供の頃思い出すな。

貴:ホンマやな。

久:こんだけ長い間よう一緒におったわ。

舞:ホンマやで。

舞:お兄ちゃん。

貴:お義兄さん。

久:悠人さん。

悠:俺と付き合わへんか。

久:そんなん…何で今言うん。これから離れ離れになんのに…。

悠:もうたまたま会われへんねやろ?じゃあ計画的に会うしかないやん。

久:会いたいん?

悠:そうじゃなかったら送別会の邪魔せえへん。

久:何でいちいちひねくれんの…そこも好きやけど。うん、付き合おっか。

悠:うん。ビール飲もっかな。

貴:はい。

悠:ああごめん。

貴:いえ。ありがとう。
 (舞)ニヤニヤすんなや。

舞:してないし。


第25週(120)

<岩倉家>
悠:ただいま。

久:こんにちは。

舞:あ、来た来た。久留美!

久:久しぶりやなぁ。

舞:待ってたで。

舞:久留美長崎はもう慣れた?

久:うん。寮生活やから周りに先輩もおるしよう面倒見てもらってる。

祥:フライトナースやったったいね。順調ね?

久:はい、研修もあとちょっとなんでもうすぐドクターヘリ乗れます。うちのヘリ五島にも飛ぶんですよ。

祥:ヘぇ〜そうね。

舞:私も長崎遊び行くな。

久:うん。舞は?空飛ぶ車どうなってんの?

舞:ええ感じに進んでる。お兄ちゃんもホンマにありがとう。紹介してくれた投資家さんが出資してくれることになった。

悠:へぇ〜やるやん。

舞母:悠人、私からもありがとうな。悠人と舞が力合わした思たら何やもう嬉しいわ。

悠:いや俺は紹介しただけや。

舞母:それでも嬉しいねんて。

久:悠人さんよう言うてるんです。世の中のためになる面白い会社を応援したい。そのために投資するんやって。

舞母:そうなん?

悠:いらんこと言わんでええねん。

舞:お兄ちゃんはホンマ素直やないな。

悠:何や。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<公園>
悠:なかなか長崎にまで会いに行かれへんで悪いな。

久:ううん全然。たまに会えるだけで十分。

悠:俺も。でも将来のことちゃんと考えてるから。

久:はい。

悠:仕事のことと違うで、俺たちのことや。

久:分かってる。ありがとう。

悠:分かってんねや。

久:ふふ(笑)



第26週(123)

<公園>
久:なぁ、野生のイルカいつ見に行くん?

悠:もうちょっとあったかくなってからな。今やってる仕事はよ終わらせたいし。あぁそっか…。何や寂しいんか?

久:大丈夫やって、私も忙しいしな。1人でも楽しくやれる。

悠:いいことやん。どうせ人間なんか1人で生まれて1人で死んでいくねん。

久:ホンマやな。

悠:そやけど…長い人生50年ぐらいは2人で生きんのも悪くないかもな。

久:あ…ありがとう。

悠:一緒に生きていきたい。結婚しよう。

久:ずるいねん。

悠:何が?

久:こんな時だけ直球って…。「はい」って言うしかないやんか。

悠:捻くれてんなぁ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ノーサイド>
久父:すんません今日もうしまいなんです。おう悠人君。

悠:こんばんは。

久父:どないしたんや、2人してお通夜みたいな顔して。

津:ええから座り。

久父:えっ何や?

津:座って。

久父:何?

津:悠人くんも座って。久留美ちゃんも。

久父:は?

津:はい、ええから座りて。

悠:すいません。

悠:望月さん、道子さん。

久父・津:はい。

悠:娘さんと結婚させてください。

久父:悠人くん、娘をよろしゅうお願いします。

久:ありがとう。

久父:おめでとう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<岩倉家>
悠:久留美と結婚します。

舞母:おめでとう。久留美ちゃんありがとう。

久:はい。

舞:おめでとう。

祖母:おめでとう。

悠:今の仕事落ち着いたら2人で長崎に住むつもりです。今はどこでも仕事できる時代や。

舞母:うん。

祖母:長崎ね…五島にもすぐたい。

舞:お兄ちゃん久留美、お幸せに。

久・悠:ありがとう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<久留美と舞>
久:寝た?

舞:やっと。

久:歩ちゃん元気有り余ってるな。

舞:ホンマやで。

久:貴司君今何してんの?

舞:さぁ…。

久:電話とかせえへんの?

舞:けど久留美とお兄ちゃんのことはちゃんと伝えとくな。

久:うん。




第25週(124) ※回想シーン

回想のみ(幼馴染の五島シーン)


第25週(126)

<ノーサイド>

久:ただいま。

紗奈:おじいちゃん!

佳晴:あ〜!ナイスタックルや!よいしょ〜。おぉ重なったなぁハハハハハ。

道子:紗奈ちゃんおいで。

佳晴:嫌や。ノットリリースザボールや!

道子:大きなったなぁ!

貴母:悠人君パパの顔になったなぁ。

貴父:うん。

ーーーーーーーーーーーーーーー
(幼馴染回想/大瀬埼灯台)

貴母:舞ちゃんと久留美ちゃんが貴司見つけてくれた場所やな。

久:貴司君が自分を見つけた場所です。

貴父:せやな。




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