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真夏の夜の夢 ”清里フィールドバレエ”

清里フィールドバレエ、2007年

野外ステージの魅力が満載

山梨県、夏、清里にはバレエのオープンステージが設けられる期間がある。野外で、本格的なバレエの上演を見られる場所は、ここ以外にはほぼ無いのでは?と思う。 木々に反射するクラシカルサウンド、天然のホリゾント。まさに真夏の夜の夢が見られる場所が「清里フィールドバレエ」である。

下は第18回開催時、2007年のパンフレット。我が家の経験から言えば、多少でもバレエにご興味がある方ならおすすめ。野外なので、いつも悪天候を心配するのだが、不思議な事に今まで降られた事はない。降ってくるのは星だけだ。

清里フィールドバレエのチラシ、2007年当時のもの

上のプログラムを見ている時、天然のホリゾントの隣に本物の木が生えているのだが(というよりは自然を劇場化、まさに今言うSDG'sか?)、そのそばを流れ星(本物の)がキラッと走るのを見た。ドキッとした。こんな<演出>は屋内劇場では到底出来ない。

見て頂きたい方、おすすめの層

清里フィールドバレエは老若男女どの世代でも、ご家族でも友人同士でも、ご夫婦でも、お一人様でも楽しめる舞台だが、とりわけお薦めしたいのは、クラシック系のライブイベントが好きな子育て世代。常設型の劇場では無理な事が可能となる。クラシックに馴染みの無い方の入門場所としても最適と思う。

ところで、子供が新しい体験にわくわくする期間はあっという間に過ぎる。これに限らず、何かをさせたいなら躊躇無く機会を作った方が良いと思う。この二年間の喪失はとても痛かったから、なおさらそう思う。もっとも、小さい頃の体験を子供は覚えていない事も多く、がっかりする事も多い。でもきっと、何かは心に残るとは思う。

萌木の森に設置されたフィールドバレエ開催案内(2016年のもの)

清里フィールドバレエ観劇上の課題としては、住んでいる場所によるが、少なくとも東京からはかなりの距離があること。時期を逃しやすい距離感だが、この希少価値は捨てがたい。

就学前のお子様にも最適

小さなこどもに見せるメリットは何と言っても安心感。一般の劇場では周囲が気になるし、周囲が気にする。ファミリー席が無いと(最近はファミリー席を設けないケースも多いし)遠慮がちになるが、ここは小さいこども連れでも大丈夫(のはず)。環境の良さや周囲の雰囲気もあるのだろうか、こどもたちが泣いたり騒いだりせず舞台の中に一緒に入り込んでいるのか印象的だった。

仮に泣いたとしても、音が自然の中に溶け込んでしまい、劇場のように響くことは無い。我が家の未就学児は残念ながら開演直前に寝落ち爆睡、結局翌朝まで起きなかった。何も覚えていないと未だに憤っているが。。

何よりのおすすめは、一般の劇場とは違い完全なオープンエアでの公演という事。今起こっている課題に対しても良いのでは無いかと思う。下は公演前のリハーサル風景。舞台手前の緑色の部分あたりが座って見られる場所となっていた。その後ろは画像の通り椅子席だ。

2016年8月の清里フィールドバレエ、リハーサル風景

開演を待つまでのお楽しみも

夜20:00からの公演開始(現在は19:00開始の様子)を待つまで、かなり時間があるが、バレエの公演が行われる場所「萌木の村」の中で十分楽しめるので時間調整も大丈夫。

萌木の村には食事ができる場所、オルゴール博物館、様々なショップ、 散策できる場所や、デザイン感のあるメリーゴーラウンドもある。終演後が遅くなるので泊まれる場所を確保しておかないと厳しいが、 この村の中にも宿泊施設があるので選択肢にはなると思う。

座席のイメージ、終演時間、お見送り

カーテンコール、2013年

上は2013年8月終演時のカーテンコール(カーテンはないが)の際の風景で 終演時間がちょうど22:00となっていた。清里フィールドバレエでは、当時はカーテンコール時の撮影OKとなっており、 みんなが写真を撮っている様子が見えると思う。

退場時は出口にキャストの方がいて、個別の記念撮影にも応じて頂いていた。サイン会もあるのだが、これは昨今の状況で中止されている様子。2013年に見た演目はジゼルで座席はこんなレイアウトだった。

座席表(2013年時点のもの)

記憶があいまいなのだが、後部の黒色部分が自由席で当日でも買える席。当時は、開場前から並んでいないと買うのが厳しかったと思う。黒色部分から前の席は全て指定席で事前予約販売となっている。

前方の席がクローバーシートといって、お敷き物(自分で用意)の上に座るような席、その後ろがチェア席で、上の写真のように椅子が並べてある。小さなお子様がいる場合は寝てしまう事もあるので、お敷き物席が楽だと思う。

都会の劇場との決定的な違い

終演後の私は爆睡家族を運搬する運転手になる。首都圏で劇場の公演を見てから帰るとなると、町を通り雑踏を抜け、すぐに現実世界に戻ってしまう。清里でのバレエ鑑賞は、ずっと夢の世界が続く。

大劇場で見るのも良いが、古代、円形劇場のような場所での鑑賞は こんな感じだったのかも知れない。そんな想像をすれば、コンクリート作りの劇場とは違う体験が得られるのかも知れない 。

今年の夏はぜひ<真夏の夜の夢>を!

※当時と現在では状況が大きく変わっているかもしれません。もし行かれるなら事前確認をお願い致します。