見出し画像

秘密警察を宣伝してみる #毎週ショートショートnote

 官庁街の貸オフィスで、俺たちはカモを待っていた。「黒いスーツにサングラス。やりすぎじゃないすか?」と俺。
「これくらい大袈裟でちょうどいいんだよ」そう答えるのはリーダー格の兄貴だ。
 俺たちは世間に疎い奴らを徹底してカモにしてきた。今回のターゲットは、秘密警察に憧れる奴らだ。
「それにしても『秘密警察では工作員を目指す若者を募集しています』なんて広告で来る奴いるんですかね」
「あのな、あなたに5億円を差し上げたい方がいますとか、アイドルの相談相手になってあげてくださいとかのメールで騙されるヤツいるだろ。あれはな、ありえない話を簡単に信じるヤツをふるいにかけてるんだ。そうすりゃ騙すのは簡単だから…」
 その時ドアがノックされ、若者十数人が入室してきた。黒い革ジャンにサングラスの者、スーツ姿の者、リュックを背負ったオタク風の者、格好は様々だ。
「それでは秘密警察工作員採用面接を始めさせていただきます」兄貴の声が低く響いた。

(410文字)

たらはかに様の企画に参加させていただきます。
この面接会場には、金持ち教習所に通っていたメンツもいるような…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?