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オノマトペピアノ #毎週ショートショートnote

 放課後の音楽室で、ボクはサチと二人、文化祭の準備をしていた。クラスの出し物は合唱だ。歌だけではつまらないので、歌に合わせて効果音を入れることになった。そこでシンセサイザーの扱いに慣れたボクは、歌詞に合ったオノマトペを入れるオノマトペピアノを作ってみることにした。
「このキーボードを弾くと流れるようにしてあるよ。試しにドレミの歌でやってみよう」
サチの歌に合わせ、ボクはオノマトペの声を流す。
「ドはドーナツのド」
(ジュワー)
「油で揚げる音だよ」
「レはレモンのレ」
(シュワーッ)
「爽やかな感じね」
「ミはみんなのミ」
(ワイワイ)
「ちょっと無理があるよなぁ」
…ドレミの歌が進んでいく。
最後はシだ。
「シは幸せよって、表現が難しいよね…」
ボクは黙ってサチを抱きしめた。
「ギューッていうのはどう?」
突然音楽室の扉が開くと、音楽の山中先生がズカズカ入ってきた。
「アナタたち、何をイチャイチャしてるの!」
ボクらはアタフタと教室を後にした。

(410字)


たらはかに様の企画に参加させていただきます。
オノマトペについて、ネットで調べてみました。擬音語、擬態語、様々あって日本語の魅力を再発見。

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