伝書鳩パーティー #毎週ショートショートnote

 祖父から届いた招待状を手に、孫達が指定場所にやってくると、やがて大きなバスが一台やってきた。
 「伝書鳩パーティーへようこそ。どうぞお乗りください」
 伝書鳩パーティー?いぶかる孫達が着席するとバスの前方にスクリーンが降りてきた。写し出されたのは、巨大企業グループの総帥である彼等の祖父だ。     
「みんなよく来てくれた」
その後バスは田舎道を何時間もくねくねと走った。そして孫達は辺鄙な場所でバスを下ろされた。
「ここはどこ?」
バスから祖父の声が響く。
「君たちにはここから私の邸まで自力でたどり着いてもらう。最も早く到着したものがワシの後継者となるのだ」
祖父はカッコよく言ったつもりだったが、孫たちの反応は冷たいものだった。
「何それ。伝書鳩か。めんどくせえ。帰ろ!」
孫達はスマホを取り出すと地図アプリで現在地点を割り出し、タクシーを呼び出して帰っていった。
「おやつに鳩サブレも用意したんじゃが…」祖父の声が虚しくひびいた。

(410字)


たらはかに様の企画に参加させていただきます。
今回は伝書鳩というワードの強さに苦戦。いろいろ考えてはおそらく他の方とかぶるだろう、とやり直し…。さて、皆さんはどんな世界を見せてくださるのでしょうか。

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