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アナログ巌流島 #毎週ショートショートnote

 大日本テレビのスタジオでは、最強のアナログ人間を決める特番「アナログ巌流島」の収録が行われていた。番組MCは叫ぶ。
 「アナログ人間こそが日本経済を支えてきたのだ。彼等の神技に光を当て後世に語り継ごう!」
 番組のメインは、手書き請求書発行対決。予選を勝ち抜いた強者が登場。仕訳、請求書発行、宛名書き、発送までを行い、タイムと仕上がりによる判定で競う。結果は宛名の字違いという僅差で東日本代表が勝利した。
 エンディングでは東日本代表のスピーチが行われた。
「私の高校時代はそろばんや簿記中心で、情報処理の授業なんてほとんどありませんでした。勤め先は小さな商社で、三代目社長はオムツをしていた頃から知っています。この間彼のデスクを掃除していたら、「デジタル化はベテランの退職時がチャンス」という文書が置いてありました。これって私の事か?舐めるな!って感じですね。今日はありがとうございました!名もなきアナログ人間達に幸あれ!」

(410字)


たらはかに様の企画に参加させていただきます。

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