「未満警察」の「スケベ」がつらいよ

中島健人(Sexy Zone) × 平野紫耀(King & Prince) ダブル主演の日本テレビ系土曜22時ドラマ「未満警察 ミッドナイトランナー」見てますか?私は見てます。

結論から言うと、いま大分しんどいです。

理由は劇中の"ちょっとしたシーン”のジェンダー/セクシャル的描写がだらしなく、主に「スケベ」シーンがしんどいからです。目に余ります。個人的には2アウト2ストライクぐらいです。

先に言っておきますけど、このドラマにはメチャクチャ成功して欲しいです。視聴率30%取ってほしいし、主題歌は20万枚と言わず100万枚売れてほしい。中島健人と平野紫耀はこのドラマを契機にユニット組んでCD出して…みたいな展開を期待しています、マジで。だってSexy Zoneにドームツアーもやってほしいし。

だからこそ細心の注意を払って欲しかった。マジで。

一言で表すなら「スケベではキャラクターの親しみやすさをもう演出できない時代なことに気付いてお願い」です。

放送前から期待

このドラマにはメチャクチャ期待してましたよ。

主にSexy Zoneファン、中島健人ファンな私ですが、2019年⇒2020年のジャニーズカウントダウンで二人が並んだ状態で年明けを迎え、同時に謎のSNSアカウントが開設され「健人と紫耀2020」(KS2020)プロジェクトが始動、その後ドラマW主演が発表され、主題歌もキンプリとセクゾのW主題歌、あわせて音楽特番の「Premium Music 2020」のMCを務め、そんな中コロナでスケジュールが伸び、長らくお預けを食らった後、Sexy Zoneはこのドラマの主題歌でレーベル移籍までしてるわけで…

もう色々待たされて盛りだくさんの状態でようやく迎えたドラマ放映ですから、そりゃ期待値も高まりますよ。

※以下はドラマを見た記憶で書いてるので、セリフとか微妙に違うと思います。是非ドラマを見てね。あと原作は見てない。色々ゆるして。

1話~覗きは犯罪です~

そしていざ迎えた第1話。高まる期待。
舞台は警察学校。ジャニヲタとして、直近で木村拓哉主演「教場」を見たばかりなので、警察学校の厳しさは身に染みて(?)分かります。それに比べると若干雰囲気が砕けてるなー、なんて思っていましたが、問題はそこではありません。

話としてはざっくり「偶然、近所の監禁現場を、警察学校の生徒である二人が目的してしまい、巻き込まれ、解決する」というものなのですが、問題はその発見の仕方。

さんざんプチ炎上もしてますが、問題は主人公の二人が警察学校の寮の自室から、双眼鏡で近隣の家のバスローブの女性を覗き見するところです(普通にアウトです)。さらにはその女性を「人妻」と呼ぶシーンもありました。

結果的にそれでその家の異変に気付き、乗り込んで、なんだかんだで解決するのですが、「覗き行為」含め、事件を解決したことで不問にされてしまいます。

あとなぜか二人がパンツ一丁にされるシーンがありましたね。理由が分かりません。舞台的トンチキを目指したのかもしれないけれど、これでは意味不明だし、あと土曜22時では不要かと思います。

第2話~ストーキングとセクハラ~

第2話はざっくりいえば「外出許可日に偶然女性が誘拐されるを目撃してしまって、追いかけ、巻き込まれる」という話。

外出の理由がマッチングアプリのデートの約束なのは別にいいとして、その前のシーンでデートに興奮した本間=中島健人が股間を風呂場でごしごし洗うシーンは不要だし、デートをすっぽかされた二人が通りかかった女性をナンパしようとして諦めるシーンの「ナンパはセクハラだからダメだ」というセリフはセクシャル・ハラスメントを矮小化していて超アウト(セクハラの被害にあった人が「ナンパだろ」とか「モテてるじゃんw」と矮小化されて傷ついてるとか想像しなかったのだろうか)、挙句適当な理由をつけてその女の子をストーキングする(結果的にそのおかげで誘拐を目撃するんだけど)行為についてもアウト。

更には誘拐された女の子が勤務していたJKリフレ的な「耳かき」サロンの描写もキツイ。警察学校の女性の同僚に潜入捜査を頼むのも意味不明だし(同僚へのリスペクトが無さすぎる!)、その同僚の「フーゾクなんてやだよ」みたいな発言もしんどい。その後本間=中島健人がなぜか耳かきサービスを受けて興奮するシーンも要らない。

世の中に目を向ければ、ここ最近のコロナ絡みだけでも休業補償支給の除外規定に風俗業勤務者が含まれそうになったり、ナインティナインの岡村の「(コロナで)可愛い女性が風俗にくることは楽しみ」という趣旨のことを発言して問題になったのに、なんでわざわざこういう不用意な描写を入れてくるのか理解に苦しむ。「誘拐の被害者は家出して生活に困っていて、不本意な仕事をしている人物」ということを描くのに、これらは必要ではないと思う。もっとやり方があったはず。

フィクションだからで済まされない

で、こういうこと言うと「いや、フィクションにそこまで本気になるなよ」「じゃあ監禁や誘拐は良いんですかーwww?」みたいな分からず屋からのクソリプが付く時代ですよ。
Sexy Zoneが創ろうとしてるまばゆい愛の「時代」とは全然違う…。

いや、フィクションなの分かってるわ
だからこそ、たとえば、2話の超絶アクションシーンはそれとして楽しんでるし(カッコよかったですねえ)、ここで「暴力反対!!」とはならない。
なぜなら、(これに関して言えば)そういうやべえ奴がたむろしている非合法的空間であるという、非日常的な、「フィクションですよ~クライマックスですよ~」的な設定がされていたから。

問題にしているシーンは、いずれもクライマックスじゃない、導入的なシーンで乱発されてるからしんどいんだよ!
ドラマの導入部分で世界観に引き込まれて、物語の盛り上がりで一緒にブチ上がりたいのに、イントロでモヤモヤしちゃっては、入り込めないんですよ。

いやさ、そりゃキャラ設定的に、おバカな一ノ瀬=平野と、真面目な本間=中島を対比させて、二人の共通点として何か置きたいの分かるよ。本質的には私みたいなヲタクが大好物の組み合わせだし。

で、そこに異性への興味=「スケベ」を置くと、一ノ瀬が「猪突猛進スケベ」で、本間が「ムッツリスケベ」になって、対比が出来て、同時に仲良くなっていって面白くなるだろうなー、というロジック(?)も分かる。だけどさ2020年だぜ?その選択肢はなしじゃん。

あとは、まあ警察学校に通うような、泣きながら「警察官になりたいんだ」というような人の倫理観としてフツーにありえねーなと思いますね。「ダイバーシティの時代に、逆にコンサバティブな組織なんです警察学校は」みたいな「分かってる」描き方じゃなくて、ナチュラルに時代に追いつけてない感じがキツイ。
別に警察官志望者は聖人であれとも思わないし、くだけて親しみやすいキャラクターにしたいのは分かるけど、スケベはもう親しみやすくない時代です。

セクラバを見くびるな

そもそも「Sexy Zone」なんて、グループ名からしてとんでもない名前を付けられているわけですよ。「我が家」でいえば「言わせねーよ」レベルの下ネタですよ。

だけど、本人たちは結果的に、とてもそういったことに自覚的になっていると思います。
例えば「Sexy Zoneファン」の呼称、かつては女性を指す「セクガル(≒Sexy Girls)」でしたが、いつからか男女・ジェンダー問わずに使える「Sexy Lovers」に変わりました。これはすごい発明だと思います。素直に感心しました。

他にもツアーグッズにで再利用可能なストローを発売し、環境問題について考える契機を積極的に作る等、今の時代に即した動きをしている人たちだと思っています。

もちろん、ジェンダーや環境問題を考えているから彼らを好きなわけではなく、一義的には彼らの歌やパフォーマンスが好きなわけですが、でも好きなグループが、そういった風に動いてくれることはとてもうれしいことだと考えていました。

これまでも色々な課題を切り抜けてきたんですよ。例えば、「王子様キャラ」。
この一見前時代的な中島健人のキャラをうまく利用したのが「京成スカイライナー」のCM。ここでは老若男女問わず「お客様全員をお姫様」にするというやり方で、「王子様」に付随する前時代的な性差・性別的役割を解消してコマーシャルにしているんですよ。すごくないですか?すごいです。

だから(少なくとも私は)残念ながら「あー、このドラマ、ダメな表現だけど、しょうがないよね」で前半部分は済ませて、物語の盛り上がったとこだけ楽しむことを、できればやりたくない。

Sexy Zoneのファン(セクラバ)たちを含むジャニーズファンも、これまでの経緯や本人達の動きをヲタとして追ううちに、そのあたりの感覚というか、価値観のアップデートというか、構造的な社会的不公平や差別とかにちゃんと敏感になっているなっている人たちは多いと思うし(というか、最近はそういう経路でファンになる人もいたりするんじゃないかな。「僕たちは結婚だけが出来ないね」新規とか。)、そういう人たちほど今回のドラマについて自分と同じ理由で歯痒さを感じてると思う。セクラバたちをがっかりさせないでほしい。というかこれでファン離れ起きたらどうしてくれんの。

切実な気持ちを言わせていただくと、「中島健人にそんな役割を背負わせるのをお願いだからやめてください」ですかね。

頼むよ日テレ(あと事務所)

何度も言うけれど、こちらはとても今回のドラマ期待してるんですよ。「野ブタ。をプロデュース」を例に挙げるまでもなく、土9時代からたくさんのジャニーズをスターにしてきたゴールデン枠なわけで、ここで大量のファンをつかんで飛躍して欲しいわけです。是が非でも手に入れたい未来なわけです。

いうてジャニヲタだけが見るドラマじゃないし、このドラマがキッカケでファンになるかもしれない人たちも一杯いてほしいわけじゃないですか。でもこういう風にされてしまうと、セクゾはジェンダ―的にも自覚的なグループなのに、っていうかそもそも若い女性がメインターゲットな時間帯・キャスティングになっているのに、そのターゲット層がドン引きするもの作ったら、めちゃくちゃ機会損失になっちゃうんじゃないかと。(セクゾの話ばっかりでごめんね)

ちゃんとドラマを楽しみたい!二人の成長していく姿を見たいし、二人の関係性がどうなっていくのか見たいし、アクションも楽しみたいし、手に汗握る展開にワクワクしたいです。

このまま3話以降も、「たまたま事件に巻き込まれる」理由として、2020年にそぐわない「スケベ」が使われるのなら、本当にもうちょっと見れなくなっちゃうかもしれない。だから!マジで!

っていうかさ、セクゾだから、中島健人だから特別扱いしてくださいみたいな話ではないのですよ。いま物語を紡いで世に出すのであれば、このあたりを気を付けるのが一般的に広まっている認識だと思っていたので。
だからこそちょっと前にあった「吸血鬼に噛まれると同性愛者になる」映画が炎上したわけで…。

原作が決まって、脚本が掛かれて、演出が練られて、色々と決まっていく中で、誰かが指摘して、ちょっと設定やセリフを気を付けて工夫するだけで、決まっていったことを大きく変えずともこの事態は避けられたような気がしてならないんです。頼むよ関係者たち!

ファンは基本的に良い部分素敵な部分を見つけてワーキャーしたほうが良いとは思うけれど、だからこそ、ダメな部分にはダメだという意志も示さないとマズイです。気づいたときに手遅れになることだって、無いとも言えないし。
そりゃ推しがやってることを全面的にノーチェックで受け入れられたら楽は出来ると思うけれど、それってやっぱりなんか違うし。とはいえ、本人がそれ言われてもどうしようもできないと思うし…。まあでもちょっと制作側が事務所がザワついてくれたらいいとは思うけれど…。

最後に

まとまりがなく申し訳ないですが以上です。
私は別にジェンダー論とかに詳しい学者とかじゃなくタダのドルヲタなので、色々と間違ったり認識や言葉が誤ってる部分もあるかもしれません。

別に性欲の存在を否定するような極端なことを言いたいわけじゃなく、単に「男性が女性を一方的に性的消費している(ように見える)行動は、見過ごされてきた過去の時代はともかく、2020年的には余裕でアウトだよね…?」ってみんな思うようになってきてるじゃんか、気を付けようよ、と思っている次第です。

あと最後にこんなこと言ってもアレかもしれないけど、ドラマ見てない人はやっぱり見てください。TVerのリンク貼っておきます。

その上で、これまで指摘したようなところがしんどくてダメな場合は申し訳ありません。とても悲しいですし、ドラマ制作陣なにやってんだよと怒ります。
でも、そのしんどい部分を差し引いても、中島健人の、平野紫耀の、セクゾ主題歌の、キンプリ主題歌の光る部分に触れてほしいという気持ちもヲタクの本心です。
ドラマの展開や、二人含む出演者の演技、物語の仕掛けやアクションなど、当たり前ですが、ドラマとしての見所も沢山あります。


あああああ!こんな微妙な言い方じゃなく、これからは大手を振ってオススメできるドラマがになってくれたらいいな!まだ話数残ってるからさ!頼むよ!ほんとに!

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