見出し画像

「遠くへ」

朝霧よりも密度の濃い
分厚い水膜の向こうへ
手を伸ばせば、なぜに
届かざる地平線に届く

群れをつくる白波よ
輝く白浜に歯向かえ
沖を行き交う帆船に
目をやれば、なぜに
見えざる異国を思う

炎天下の陸に登れば
街を闊歩する獅子の
ひざ下までしっとり
垂れるそのたてがみ

なびきながら
もつれながら
彼方に揺れる
志士達の魂よ

おい、地球の民よ
騙し合っている
探り合っている
真っ白な嘘を
塗り替えてみないか

おい、地球の民よ
痛みきっている
弱りきっている
大地のどよめきに
耳を澄ませるがよい

子分達に裏切られた怒り、憤り

雲の群れはごうごうと流れる
己の罪を大空に放ち希釈して
振り返らず、立ち止まらず
我が身を省みぬ地球の民よ

地球を救済し、開発せよ
鳥達が飛び立つ宿り木を
見守る者などいやしない

海がうねる
陸がゆれる
空がはねる
地がはてる

世の果てに投じた石ころよ
水面をはねて飛んでいけ
時代をかえて駆けていけ
どこまでも、どこまでも

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?