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バイク盗難そして再起

2020年12月、持っていた原付と250㏄を売り払い、その他売れそうなものは片っ端からヤフオクに出品し、かき集めたお金で念願の大型バイクを手に入れた。1996年式カワサキW650。バーチカルツインエンジンの名機である。寒い時期の納車にもかかわらず、嬉しくて毎日通勤で乗ったし、週末はツーリングにも出かけた。

ヤフオクで安く買ったカワサキ250TR 単気筒でトコトコ走る可愛いヤツでした。遅かったけどね。
中華110ccエンジンに載せ替えて自分でカスタムしたスーパーカブ。もはやカブの原形を留めていませんね。
納車してすぐ、嫁さんを乗せて近所を走った時。嫁さんも「乗りやすい」」と喜んでくれていたのだが…

納車から3か月が過ぎ、気持ちにも緩みが出たのだろうか、帰宅すると普段はしっかりとかけていたバイクカバーをかけ忘れた。そして翌朝、出勤のためにマンションのバイク置き場に行くと、そこにはポツンと切断されたワイヤー錠だけが投げ捨てられていた。

この頃のことはあまり思い出したくない。辛い記憶である。少ないお小遣いを貯め、やっとの思いで買った大型バイク。決して安い金額ではない。再び大型バイクを購入するまでには途方もない時間がかかることは容易に想像できる。その時自分はいったい何歳になっているのか?大型バイクに乗れる体力はまだあるのか。絶望しかなかった。

とりあえず通勤の足を確保しなくてはならない。知り合いに格安でボロいスーパーカブを譲ってもらう。50㏄のキャブレター仕様だ。当然物足りなくなって75㏄にボアアップしたりマフラーやリアサスを変えたりといじってみるのだが所詮は原付だ。信号待ちで大型バイクに並ばれると劣等感に苛まれる。

今でも通勤で活躍してくれている2代目スーパーカブ

自分には何がある?お小遣い以外の収入といえば半分趣味でやっているガラス細工しかない。ウジウジ悩んだりひがんでいる暇があったら自分のできる方法でお金を貯めてもう一度大型バイクを買えばいいじゃないか。そう思った時から趣味で続けていたガラス細工にも俄然やる気が出はじめた。さぼり気味だったネットショップもマメに更新し、出られるイベントには片っ端から応募した。

趣味が高じて始めたガラス細工。主にカエルをモチーフにアクセサリーを制作、販売しています🐸

そして盗難から1年4か月。今年(2022年)の初夏、とうとう大型バイクを納車することができた。同じ車種を買うのは何だか癪な気がしたし、そもそも同じ車種を買えるほどの手持ちもなかったので、SUZUKIのGSF750というあまり知られていないバイクをオークションで購入した。今やリッターバイクが当たり前になってきたとはいえナナハンという響きには特別な想いがある。なにより不人気車ゆえ安く購入できるのはありがたい。

ヤフオクで買いました。ヤフオクでバイクを買うことは賛否ありますが、自分で整備する前提ならばアリです。

不人気車と呼ぶのはあまりにもかわいそうなバイクである。なぜならこのGSF750のエンジンはあのGSX-R750のエンジンを街乗り向けにリファインしているものの最高出力は77ps/9000rpmとほぼ変わらず、しかもモノサスで乾燥重量201kg、短いホイールベースによってキビキビとコーナリングを楽しめる隠れた名車なのである。

そんなGSF750を手に入れた今年、今までの鬱憤を晴らすかのように私は毎週のようにツーリングに出かけた。美山に行くつもりが、あと少し走れば日本海が見れそうだと足を延ばし、福井県に行った時など「免許取りたての高校生やな」と息子に呆れられる始末。でも良いのだ。バイクは楽しい。理屈ではない。

ちなみに納車した日から、愛車のために自宅から離れた場所にシャッター付きのガレージを借りている。少々不便だが安心には変えられない。万が一シャッターをこじ開けられてもセンサーが感知して警報音を鳴らすようにしている。

GSF750納車のタイミングと同じ時期に警察署から連絡があった。バイクを盗んだ犯人が捕まったとのことだ。残念ながら私の元愛車はすでにバラバラに解体されて売られてしまった後のようで手元に戻ることはなかった。犯人には一日でも長く刑務所で過ごし、真っ当な人生を歩んでもらいたいものだ。

おわり

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