なぜ今もドストエフスキーなのか?
僕はトルストイもツルゲーネフも好きで、よく読みました。
でも現代という時代から見ると、ドストエフスキーの小説が持つ「同時代性」は圧倒的に傑出しています。
現代の読者はドストエフスキーの小説を、「有名な古典小説だから読む」というよりは、むしろ今ここにある問題へのアクチュアルな回答(あるいは回答の示唆)を求めて読んでいるような気がします。
フランツ・カフカの場合もそれは同じことです。彼らの抱えていた問題意識が、時代を超えて現代にまでしっかり通じているのだと思います。
もちろんそれでトルストイやツルゲーネフの作品の価値が落ちるというわけではありません。少しべつのところに属しているものなのだ、ということです。それは日本のみならず、世界中で見られる現象です。