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GAAD Japan 2024にオンライン参加してアクセシビリティ熱が高まった話

こんばんは、38motです。
今回は、2024年5月16日に開催されたGAAD Japan 2024の参加レポートをお届けします。
とてもアクセシビリティ熱が高まるセッションばかりでしたので、どんなセッションがあったのかふわっと紹介できたらと思います。
この、アクセシビリティ熱が高いうちにー!と走り書きしましたので、間違いがありましたらXにてご指摘いただけますと幸いです。


オープニングセッション
『UDトークでアクセシブルなイベントを』

青木さんによる、UDトークに関するセッション。
UDトークといえば、私は今回のセミナーで、いつもよりもUDトークの恩恵を受けました。
私は今回自宅・外出先で本セミナー(YouTube配信)を視聴していたのですが、イヤホンを持たずに外出してしまったので、外出先で配信の音声を聞くことができず……。
しかし、UDトークがあるおかげで、音がない状態でも配信内容が分かるという……!
また、スマホから閲覧する際に、YouTubeとUDトークを同時に見ることができないのですが、本セミナーはYouTube配信画面上にUDトークの字幕が表示されるのです!神すぎます。
字幕=聴覚障害の方だけが必要、というわけではなく、様々な状況において音声による情報取得が難しいユーザーにとって、とても恩恵があるものなのです。
アクセシブルなセミナー・UDトーク、また青木さんや運営スタッフさん、UDトーク修正スタッフさんに感謝です。

セッション1
『はじめてのアクセシビリティ〜みんなでやれば怖くない〜』

中村さんによるセッション。
デジタル庁のウェブアクセシビリティ導入ガイドブックを元に、4月の法改正・非干渉の項目・基本13項目のうち4つの項目を紹介されていました。
私も仕事でウェブアクセシビリティ導入ガイドブックを紹介することがあるのですが、良い例・悪い例、注意点など、アクセシビリティ初学者にとって分かりやすく記載されていて良いですよね。
注意点に関して、より詳しい具体例などを用いて、私も紹介していきたいです!

ライトニングトーク1
『インクルーシブデザインで「誰もが使いやすい」のその先へ』

タキザワさんのライトニングトーク。
素敵な、知らなかったインクルーシブデザインプロダクトの紹介があり、とても勉強になりました。
プロジェクトの後半にユーザーテストをして、そのまま公開されるフローではなく、プロジェクトのスタート時に「リードユーザー」をアサインして、最初から最後まで伴走するフローがとても興味深かったです。
特に感動したプロダクトは、ココテープと、XRキャッチボールです!

ココテープについて

養生テープのような点字ブロック。
イベント期間中や、点字ブロックが設けられないところにも一時的に設置できるのは魅力できたと感じました。

XRキャッチボールについて

目が見えなくても、スマホ型グローブで音を投げ合うような感覚でキャッチボールができるプロダクト。
タイミングが合わなければ、ボールが取れないところも、リアルなキャッチボールで良いなと感じました。

セッション2
『見えづらい困りごとを持つ当事者視点を活かしたインクルーシブデザイン』

Tenさんのセッション。
見えづらい・分かりづらい精神障害についての紹介が、とても分かりやすくて良かったです!
ディスレクシアの方が実際にウェブサイトを閲覧するシーンの動画がありました。
私個人は、フォントを見やすいように任意に変更しているユーザーがいることは認識としてあったものの、読みやすいように行間もブラウザ拡張機能で変更していることはあまり認識していなかったので、とても勉強になりました。
印象的だったのは、「フォント・行間を変えることで、読み上げ機能をなるべく使わずに閲覧できる」といった先述した当事者の方の言葉に対する質問に、Tenさんが「この方はそのほうが理解しやすいが、読み上げ機能を使ったほうが分かりやすい人もいる。人それぞれ。大事なのは、そのような自分が理解しやすいように、選択肢を用意すること」のようなことを仰っていたこと。
テキストであれば読み上げ機能にも、フォント・行間カスタマイズにも対応できるので、選択肢を用意することになるなと思いました。
セッション途中で紹介されていた、英国内務省が出しているアクセシビリティ啓発ポスターも見返して再度勉強したいと思いました。

ライトニングトーク2
『ウェブアクセシビリティに配慮したウェブサイト制作の現場』

山本さんのライトニングトーク。
各制作フローで取り組む内容を紹介されていました。
ライトニングトークの短い時間内で、それぞれのポジションの方が意識すべきポイントが完結に紹介されていて分かりやすかったです!

セッション3
『「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。」 ~デジタル庁のミッション実現に向けたアクセシビリティ向上の歩み 2024年進捗報告~』

デジタル庁のお二人(伊敷さん・清家さん)によるセッション。
アクセシビリティチームの紹介や、最近の主な取り組みの紹介がありました。
スライド公開なし、動画が限定公開とのことですので、詳細はあまり書かないほうがいいのかな……?ということで、心に刺さった言葉を紹介します。

  • 「不断の努力」絶えず作成・更新されるコンテンツに向き合う

    • ウェブコンテンツの性質上、更新性もあるし、デジタル庁であればより多くのコンテンツが作成・更新されると思います。私も目の前の仕事において、絶えずアクセシビリティ向上に向きたいたいと思いました。

  • ルールの「監視者」ではなく、品質向上の「伴走者」として取り組む

    • とっても大事なことだし、この言葉そのままお借りしたいくらい心に刺さりました。私自身フリーランスで様々なプロジェクトのアクセシビリティ向上に関わらせていただいていますが、「外部のアクセシビリティチェックしてくる人」ではなく伴走者として取り組みたいと思いました。

  • 最初のハードルを下げて、ただし継続して取り組みましょう

    • アクセシビリティでとても大事なことですよね!継続も大事。「最初のハードルを下げて」という言葉に、すごく嬉しい気持ちになりました。

ライトニングトーク3
『わたしたちのアクセシビリティ改善のはじめかた』

小林さんのライトニングトーク。
アクセシビリティ初心者が、チーム内でどのようにアクセシビリティ改善を進めたのか紹介してくれました。
薬急便(やっきゅうびん)というサービスに関するアクセシビリティ改善。
アクセシビリティの必要性はチーム内で認識があり、カラーコントラストなどデザイン面は対応されていたが、実装時は個々の判断に任されていたとのことで、チーム内でアクセシビリティの必要性を認識できていたことが「流石」すぎます。
ESLintやMarkuplintも導入しているとのこと。私も両方導入しているのですが、まだの人は導入したほうが良いです!!Markuplintの恩恵についても、今後記事を書く予定です。
freeeさんのアクセシビリティチェックリストを使って、実案件に合わせてカスタマイズされたそうです。
継続的な運用や、チェックの不可を下げるために項目を減らしたというのは、他の初学者さんチームにとっても参考になるカスタマイズだなと思いました。
具体的な改善内容も記事になっているとのことで、要チェックですね!
社内プロジェクト化もおめでとうございます👏
初学者がアクセシビリティ改善に取り組む第一歩として、ツールの活用が良かったそうで、こういったツールを色々と紹介していきたいなと個人的にも思いました。
最後に、技術的な面白さの側面でもおすすめと仰っていて、分かりすぎる……という気持ちに。Xを見ていると、同じような人がたくさんで嬉しかったです。

セッション4
『視覚障害とeスポーツ』

一般社団法人日本ゲームアクセシビリティ協会の加藤さん、北村さんによるセッション。
ゲームアクセシビリティってめちゃくちゃ興味がある分野だったので、お話を聞けてよかったです。
こちらもスライド公開なし、動画が参加者限定とのことですので、詳細は省略します。
大好きなゲームのアクセシビリティの話で、大好きなゲームのアクセシビリティ品質が高いって嬉しいな……と思いました。
もっと勉強していきたい分野です。

ライトニングトーク4
『ユーザーの問い合わせがアクセシビリティ改善を推進した話』

釜堀さんのライトニングトーク。
スクリーンリーダー利用者からのお問い合わせをきっかけに、アクセシビリティ改善が進められた話でした。
アカウント登録時の画面が、スクリーンリーダーでは操作困難というお問い合わせでした。
自動チェックだけでは検出できないも問題にも対応する必要が生じたとのことで、自動チェック(ツールチェック)だけでは検出できない問題あるよね〜と内心頷いておりました。
このお問い合わせを、アクセシビリティ改善チャンス!と捉えたそうです。(そう!チャンスなんだよ!と共感しました。困難に直面してしまった方には申し訳ないのだけれど、声を上げてくださって本当に感謝ですよね。ユーザーが「まあ自分の操作や理解が悪いのかも……」ってさよならするのではなく、サービスに向き合ってくれてありがとうの気持ちでいっぱいですよね……。)
こちらも、MarkupLintを導入しているそうです。
守谷さんという有識者による啓蒙活動が進められていたことで、すぐに相談できる体制が整っていたとのことで、環境の整備の大事さを感じました。
こちらの守谷さん、個人的にすごく尊敬している方で、先日note「デザイナー✕エンジニアでhow to learn WCAG」を書いていましたので是非チェックしてみてください。

セッション5
『アクセシビリティを考慮した魅力的なビジュアルデザインを作るためのヒント』

ピネイロ カルラさんのセッション。
スペイン出身のデザイナーさん。
とても分かりやすく素敵なスライドで、公開がないことは残念だな……と思っていたら、同じ思いの方が多くいらっしゃいました。
そのため、スライドは一部調整したら公開可能とのことです👏ありがとうございます!動画は現時点では参加者限定となっているようです。
上記の事情により詳細は省略しますが、アクセシビリティを高めることで、地味なデザインになるということはなく、アクセシビリティのポイントを押さえながら、魅力的なデザインは作れる!という説明がありました。
アクセシビリティの基礎を、分かりやすい具体例を用いて紹介されていて、とても分かりやすかったです。

セッション6
『PDFファイルのウェブアクセシビリティ対応』

伊東さんのセッション。
W3C、WCAGの成り立ちから、アクセシブルなPDF文書の作成方法について紹介されていました。
Adobe Acrobat Proを使った、PDF文書をアクセシブルにするデモンストレーションがありました。
スライド公開なし、動画は参加者限定とのことで、詳細は省略します。
アクセシビリティチェッカー等の使い方を詳しく知らなかったので、とても勉強になりました。見返して、仕事に活かしたいです。

ライトニングトーク5
『コントラスト改善の舞台裏』

杉崎さんのライトニングトーク。
既存コンテンツのカラーコントラストの変更は、とても根気がいる改善だと思うので、お話を聞けて勉強になりました。
担当したデザイナーへのインタビュー動画もあり、とても良かったです!
色(グレー・赤・青)によって階調を担当したデザイナーさんが分かれていたところが驚きでした。
グレーって難しいですよね〜。グレーに関するアクセシビリティ改善の取り組み事例を集めた勉強会をしたいです。あとオレンジとか、水色とか……。

セッション7
『聴覚障害の視点から考える「共に楽しむ・もっと楽しむ!」』

松森さんのセッション。
まず、楽しむという視点が素敵だなと思いました。
スライド公開なし、動画は参加者限定とのことで詳細は省略します。
字幕や手話といった選択肢をもっとウェブに限らず、コンテンツ提供者として提供できる社会にしていきたいです。そして手話も勉強してみたいです。

セッション8
『情報保障とやさしい日本語』

野田さんのセッション。
具体的な例をたっぷり紹介してくださっているので、スライド・動画を見てください!
WCAG2.1の「3.1 読み取り可能」に関する基準との関係性もあり、セッションも含め、該当のWCAG達成基準も見返したいと思いました。

エンディングセッション
『「アクセシビリティの祭典 2024」へバトンタッチ!』

2024年5月18日にリアル開催される、アクセシビリティの祭典2024へバトンタッチされました。
オンライン参加もできるので、今日始めて知った方や、今日のイベントでもっとアクセシビリティに興味を持った方は是非!

最後に

どのセッション・ライトニングトークも、勉強になったり、共感したりと非常に良いものでした。
今日何度も思ったことが「大事なことは何回でも言っていい」ということです。
WCAGにおける非干渉の項目に関するお話や、カラーコントラスト比、やさしい日本語、PDFのアクセシビリティなど……。
登壇者の方たちは、後になればなるほど話すことが重複してると仰っていましたが、大事なことは何回も言うことで、より強調されると思うので結果的にとても良かったと思います。
私は2020年のGAADで登壇したことがあるのですが、その際「制作現場で少しずつ取り組むアクセシビリティ」というテーマでお話しました。
こういった、まずは取り組めることから!ということも、度々呼びかけていきたいですね。

余談

本当は午後から福岡会場でパブリックビューイングに参加しようと思ったのですが、部屋の前方が入口だったのですがスタッフさんが見えず、途中入室できる雰囲気ではなく最速帰宅してしまいました……。
酷使しているMacBookProちゃんのために、PC用モバイルバッテリーも買ったりとウキウキでしたので、こちらに関しては別の機会に活躍してもらいたいです。
YouTube配信があって本当に助かりました……!アクセシビリティを啓蒙する場がアクセシブルであることに、今日も感謝します🙏

励みになります!😭🙏✨