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小学一年生

新入学の時期に繰り返し思い出すことは、一年生の時に書いた家族についての作文だ。

そんな題材で書かせるなんで酷いなと、今では思うけれど、真面目だった一年生の私は思った通りの事を書いた記憶がある。

当時の割と良くある日常的な光景とは、父と中学生になった長兄が言い争いをして、時には殴り合う光景だった。テレビを囲みながら寛いでいる状況から、突然展開される光景は、私にとって当たり前の様子だと感覚が麻痺していたのだろう。

ただ私はこちらに危害が来ないようにだけに神経を集中させていたと思う。

幼い子には相当なストレスだ。だけどその時には目立ったストレス反応は出ていない。ストレスの渦中にいたので当然ではあるが、ただ食は細く、お菓子以外には興味がなかったという異様さはあった。当然、今からは想像できないほどに細く痩せていた。

そんな環境だったからか、私は空想の世界に浸る事が多かった。文字を覚えたくさん本が読める様になると、次第に自分でもお話を作るのが楽しみになっていた。

学校でも女の子の友達の中には馴染めなかったけれど、私の空想の邪魔をする人はいなかった。仲良しの男の子は私の作ったお話を楽しんでくれたり、続きを勝手に作ってくれたりした。

 父も母も私の学校生活にはほとんど関心を持っていなかったので、私が家族についての作文に書いた内容を知らない。

思ったことをそのまま書くことができて、そのことを知られることなく、批判され叱責されることもなかった事は、唯一の救いだったのだろうと振り返る。