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好きな翔は哀川翔

おはようおまえら。

ここにデガイン屋として何のっけようかな、と、
昔のフォルダをごそごそしてたら個人的にはすごいの出てきた。


十数年前。
私を雇ってみたものの本来そういう会社ではないので、
「デザイナーよー、デザイナーを雇ったわよー!」
という社内告知を会社が特にしっかりはしていなかった頃。

私は某映画チャンネルのアートディレクションだけやってた。
今思うとなんかとんでもなく贅沢な時期。
月の半分は書きたい絵ェ書いたりぼんやり本読んだり、
『勉強』してれば良かった時期。
かえりたい・・・あの日にかえりたい。

で。
そんな感じで一年くらいした頃、行状がバレたのか、
ある日上司に呼ばれ、
その映画チャンネル用に映画の解説文も少し書けと言われた。
 美大出たばかに放送用の文章書かせようって・・・大丈夫ですか?
と一応は聞き返したけれども、
まあ言われた事は何でもやるのが会社員なので、
その日から色々書きましたよ、ばかなりに一生懸命書きましたよ、
ばかが書いてるってバレないように誠心誠意書きましたよ。

という、当時のテキストが出てきました・・・!!
デガイン屋の背中探してたのに・・・おかしい。

フォルダ覗くと最初の頃は、
「美大出身者が見てそうな映画」があてがわれているけど、
「フルメタル極道」「ベイブ」「グーニーズ」を、
 生涯の三本として伝えたあたりからそういうの貰えるようになったぽい。

おそるおそる読んでみたら25歳くらいの381さんは、
精一杯背伸びして、
映画通の大人たちの書くきっちりした解説に文体合わせつつ、
そこにとけ込んだつもりでしれっと結構とんでもないこと書いています。

 なんかねえ、こんなでした。

 例1
タイトル:バッファロー'66
原題:Buffalo'66
1998年 アメリカ カラー 110分

story 刑務所を釈放され、五年ぶりに故郷バッファローへ向かうビリー。彼はこの五年間、両親に、「政府の仕事で遠くへ行っている」と嘘をつき続けており、さらには「結婚した女房と一緒に帰る」とまで約束してしまう。言ってから困ったビリーは、たまたま出会った女・レイラを誘拐し、妻のフリを強いる。ビリーのおかしな脅迫に、半ば同情でつき合うことにしたレイラだったのだが・・・。

point of view(1) 本作で、監督・脚本・主演はもちろん音楽まで、ある意味傲慢とさえ言える、一人何役ものマルチプルな映画作りをやってのけたヴィンセント・ギャロ。彼は過剰とも言える程に多才。他にも、画家、写真家、モデル、バイクレーサー、神経衰弱という肩書きを持ち、しかもその全てがプロの域というから凄い。まさに生かされ方がマルチプル、といったところか。

point of view(2) ヒロインは、ギャロ自身が大ファンだったという、現在最大のカルト女優、クリスティーナ・リッチ。出るとこ出っぱなしの豊満な体躯、幼い顔にアイラインを塗りたくる彼女は、まさに無敵の天使。ボーリング場で、キング・クリムゾンに合わせてタップを踏むシーンは、悪夢のように可愛い。映画『ウィロー』が一瞬頭をよぎるが、凄い可愛い!最高!!


例2
タイトル:中国の鳥人
(英語題名)The Bird People in China
1998年 日本 カラー 119分

story
平凡な商社マン・和田は、紅玉と呼ばれる翡翠の買付けのため、中国雲南省のとある村への出張を命ぜられる。雲南の無人駅で彼を迎えたのは、不思議な日本語を操るガイドの沈と、氏家と名乗るヤクザ。沈のガイドで道無き道を分け入り、やっとのことで翡翠の村に到着。そこで彼らは、「鳥人の学校」で子供たちに飛び方を教えている、青い目をした村の娘・燕に遭遇する。

point of view(1)
『デッドオアアライブ』の三池崇史が監督。異邦人である日本人の視線で、乾いたアナーキーな笑いと人間描写のリアリズムを柱にしながら、秘境での物語を叙情的に時にファンタジックに描いている。数ある三池作品の中でも、彼の隠れた持ち味である「切ない哀しい美しい」は本作が真骨頂。『大阪最強伝説 喧嘩の花道』を合わせて観るといいだろう。

point of view(2)
劇中で村人たちが言うように、いくら中国の奥地だって空を飛ぶ人間がいるわけない。村人たちは正しい。一面の木々の緑と、墨絵のように霧にかすむ山並みの中、子供たちとやくざはふうわりと空を目指すが、村人たちはやはり正しい。その正しさに涙が出る。しかし、三池監督は、最後の最後に飛びっきりのワンショットを用意している。


はい、そうですね、全然溶け込んでませんね。
おばちゃんだって今ならわかります超わかります。

なんか・・・謝りにいった方が良い気がしてきました。

彼方からの手紙というものは、
いつなんどきもひとをきずつけるものでございます。






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