おじめい16話の台本の


 内容を一応考えてたもの……のプロトタイプを載せておきます。
 書き殴りメモゆえ道中から文体が変わりまくっててすみません
 

 是非本編も読んでください…↓




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プリンセスが逃げ出して、その捜索を頼まれた便利屋の話。

・A 人形の持ち主。普通の見た目の男性。羽咋
・B 人形。お姫様の格好をしている。篠田

準主役
・C 便利屋の一人。たくさん喋る 部長
・D 便利屋の一人。そこそこ。辻
・E 利用者。

端役
・F 便利屋の一人。ちょとだけしゃべる。めいちゃん

・完璧を求められ、疲弊する男とプリンセス
・それぞれ個性的で自分らしさに溢れている便利屋を羨ましく思う
・最終的に便利屋に入ることになるA



 町の便利屋。
 買い出しに出ていた社員の一人であるCがお姫様の格好をした女性Bを連れて戻ってくる。道で偶然出会ったらしく、詳細を聞くと「王子様を助けてほしい」らしい。話を聞き続けるがイマイチよくわからない。フィクションぽいことを言い続けている。
 じゃあ、お願いね。つって連絡先も告げず出ていく。冷やかし…か?
 続いて入ってくる背の高い男A。いわく「人を探している」。髪は長くて、ゆるいウェーブで、多分…お姫様のような格好をしている。「さっきの人だ!」
 すれ違ったのに彼女の連絡先を聞けなかったので、AとDで探すことに。

 人探しを頼む割に言葉を濁し続ける男に違和感を感じ、「もしかしてストーカー?」とか疑うようなことを言い始めるD。最初は否定していたがだんだん「…そうなのかもしれない」と本当のことを話し始める。
 カバンの中から一冊の本を取り出し、開く。プリンセスが出てくるお話のようだが、肝心のプリンセスの絵だけ抜けている。


 男は絵本の中のプリンセスに恋し、彼女を呼び出す方法を探し続けていた。
 何年も何年も自分のもとへ来てくれないかと願い続け、一ヶ月前ようやくそれが叶い、あくまでも姫としてもてなしながらしばらく一緒に暮らすものの、男はだんだんとその生活に不安を感じ始めていた。
「君は美しい君のままで、僕ばかりが変わってしまうことが怖い」
 彼女は髪も伸びず、現代の食べ物を口にしても排泄しない。眠ることすらない。自分が毎朝髭を剃るのが怖い。顔を洗い、風呂に入ることが怖い。
 そんな不安をうっかり口に出してしまい、違和感を覚えたプリンセスは今まで出たことのなかった男の家を飛び出し、道中でぶつかったBにことの顛末を話したようだった。

「彼、すごく怯えていました。私もなぜ知らない場所に来てしまったのだろうと思っていた。でも彼はとても優しくしてくれて、お城と呼ぶには小さいし汚れた家だったけど、彼は間違いなく私にとっての王子様だった」
 もちろん、怖がられないために男はプリンセスに「自分が私利私欲のために本の中から引き摺り出した」なんてことは伝えていない。プリンセスは聡明だが、男の醜いな部分までには気づいていなかった。気づいていても見ないようにしていたのかもしれない。
「彼と会ったら、帰るべき場所に戻る方法を探します。そのほうが彼にとっても良いはずだから…」

 あくまでも他人を慈しむ姫の心の美しさと、そんなひとを自分勝手に呼び寄せた男の乱暴さ、自分が老いていく恐怖に溺れる哀れさを見て、スタッフは内心複雑だった。



「僕は僕の思う理想のプリンセス像を一方的に盲信して、自分勝手に彼女をこんな場所へ引き摺り出してしまった。何年も何年もかけて方法を探して…今思うと本当に狂っていた…それでようやく彼女を手に入れて、そして今彼女を手放したいと思っている。」
「人と付き合って「自分の理想と違った」と思うことはよくあるけど…彼女はあまりにも「理想そのもの」だった。そうなると見えてくるのは醜い自分だった。汗もかくし、鼻も出るし髭ものびる、放っておいたらどんどん汚れていく僕に対して、彼女はずっと美しいんだ。いつまでも美しい彼女のままで変わらない。僕だけが醜くなっていく。この先何ヶ月も、何年も経ったら、体の形も変わるしできることがどんどんできなくなって、僕だけ死んでしまう。」
「呼び出す方法を考えているときは楽しかった…でも「手に入れてはいけない理想」があることを知らなかったんだ…たとえ手に入ったとしても、自分が「そのもの」になれるわけではなかったんだ…」

 心を改めた男はなんとしてでもプリンセスを見つけ、元の世界へ送り届けることを決める。


 プリンセスは、男がよく彼女に伝えていた場所にいた。

「あなたが言ってた通り本当にきれいな場所。来られてよかった」
「ずっとあなたにわがままばっかり言っていたわね。でも今日で最後。私を呼び寄せてくれてありがとう」

 実はプリンセスも外の世界にずっと出たいと思っていて、時折聞こえてきていた声に応えた瞬間男の住む家に召喚されていた。
「私はあなたの望むプリンセスを演じていたつもりだったけど、だんだん心をすり減らしていくあなたを見るのは耐えられなかった。完璧であることがあなたのためになると思っていた。」
「確かに私はこの世界の住人じゃないから、あなたみたいに同じ時間の経過を体験するわけじゃない。でも私ってすごくずぼらなのよ!髪だって毎朝誰かに頼んでいたし、本当はあなたの求めるようなプリンセスではなかった…でもあなたはとても優しかった。」
「だから多少無理をしてでもあなたの求めるあなたでありたいと思った。結局それがあなたを苦しめてしまったみたいだけど…」

「私が元の世界に戻っても、あなたのこと忘れないわ。そして何より、これからは私らしく生きる!だからあなたも、あなたらしくいられる素敵な人を見つけてね。変わることも、変わらずにいようとすることにも恐れないで。いつだってあなたらしくいてね…」


 姫、消える。男が持っていた絵本に姫が戻っている。
 最初はいつでも完璧で美しく高潔だったプリンセスの描写は、「頑張って完璧に振る舞っている」「でもたまに少しとぼけたことをしてしまう」「そんなかわいらしさも国民に愛される理由」と明るい語り口に変わっている。


 Aはつらかった職場を辞め、便利屋に招き入れてもらうことに。
「みなさんと過ごすなかで、僕なりの僕らしさを見つけていけるように頑張ります!」「そういう肩に力入ってるとこがダメなんだよ多分」どわははは…





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