見出し画像

太るメカニズム(糖類編)②

Table of contents

◆グルコースによる太るメカニズム
◆フルクトースは最も太る糖類
◆まとめ

◆フルクトースは最も太る糖類

ショートケーキには多くの砂糖(スクロース)が使われていて、砂糖(スクロース)にはグルコースとフルクトースが50%ずつ含まれている。

フルクトースの特徴は、糖類の中で『最も甘い』ということ。

砂糖(スクロース)の甘みを1.0としたとき、グルコースの甘みは0.75であるのに対して、フルクトースの甘みは1.7とグルコースの倍以上であり、自然界でもっとも甘い糖ともいわれている。


 砂糖が甘いのは『フルクトースの甘み』によるものなのだ。

では、ショートケーキを食べると、フルクトースがどのように消化・吸収されるのかというと、現在でもまだ明確になっていない。そこで、最新の研究報告をもとに、現時点での代謝経路とその作用についてまとめてみた。


ケーキに含まれる砂糖(スクロース)は消化・吸収の過程でフルクトースとグルコースに分解される。フルクトースはグルコースと同じように小腸で吸収される。吸収されたフルクトースはそのまま肝臓に送られるというのがこれまでの通説だったが、2018年に行われた研究報告により小腸でグルコースに変換されて肝臓に運ばれることが示唆されている。


 グルコースの変換には小腸にあるケトヘキソキナーゼ(Khk)が関与しているが、この処理には限界があることがわかっている。。多量のフルクトースを摂取すると、グルコースに変換する処理が間に合わず、そのままの形で肝臓に送られてしまう。そして、この処理されなかったフルクトースが肝臓で悪さをするのだ。


 肝臓に送られたフルクトースは一部がグリコーゲンに合成されるが、そのほどんどがトリアシルグリセロールに合成されて脂肪として肝臓内に貯蔵される(これが非アルコール性脂肪肝疾患を発症させる原因になる)。


 しかしながら、その全てを肝臓で貯蔵できないため、合成された脂肪を血液中に放出しようとします。ところが、脂肪は油なのでそのままの形では放出できない。そこで、トリアシルグリセロールをコレステロールといっしょに超低密度リポタンパク質(VLDL)という形にして血液中に放出する(これが脂質異常症や動脈硬化の原因になる)。


 放出されたVLDLの一部は筋肉に取り込まれるが、そのほどんどが脂肪組織に取り込まれる。脂肪組織に取り込まれると、含まれているトリアシルグリセロールによって脂肪細胞が肥大する。


とくに非アルコール性脂肪肝疾患がベースにあると、肝臓でのトリアシルグリセロールの合成が促進され、多くのVLDLが放出されて、脂肪組織に取り込まれる、つまり、さらに太りやすくなることが示唆されている。

フルクトースの悪さはこれだけではない。

フルクトースには「食欲を高めてしまう」作用がある。

 グルコースを摂取するとレプチン、インスリン、GLP-1、GIP、PYYなどの食欲低下ペプチドの分泌を高めて、食欲促進ホルモンであるグレリンの分泌を減少させる。分泌された食欲低下ペプチドは、受容体である脳の視床下部にある弓状核に作用して満腹感を高め、これにより食欲にブレーキがかかる。

これに対して、フルクトースは食欲低下ペプチドの分泌を抑えて、食欲促進ホルモンであるグレリンの分泌を高める。グレリンが視床下部の弓状核に作用すると満腹感が低下するだけでなく、快楽報酬が増加して、食欲を高めてしまうのだ。


 このようにしてフルクトースは、『もっとケーキ食べたい!』という食欲をかき立てる。いくつもケーキやお菓子を食べると、多量のフルクトースが肝臓へ送られ、脂肪合成を高めてVLDLを放出することにより、全身の脂肪組織を肥大させる。また、食物促進ホルモンに作用して、満腹感を低下させ、僕たちに『もうひとつぐらい良いよね…』と誘惑するのだ。


 この悪循環を形成することが、フルクトースが『太りやすい糖』といわれる理由だ。


明日は【◆まとめ】💪🏻💥
お楽しみに😙


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?