自己欲望によっての霊能

もし自己欲望によって霊能を望んだとしたら、その人は決して真の霊覚者にはなり得ない。なぜならば自己欲望という低い想念の波をつけたままでは、到底高い霊界、神界までは昇り得ないからである。この世界には厳然たる法則があるのであり、確然とした段階があるのであって自己欲望の放棄いかんが、その順位に非常な関係があるのである。従って、ある種の霊力をもって、人に優越してみたいとか、偉くみせたい、あるいは地位を持ちたい、金を儲けたい、とかいう自己欲望で、霊能を得る修行をしたとするのならば、それと同種類の欲望を持った幽界の生物たちが、神を装って憑依してくるのである。そうした幽界の生物たちは、人間本来の神性も、神の理念も目的も何もわからずに、その場その場のあてもの的予言や治療するのである。一度そうした幽魂たちに応援を頼んだ肉体人間は、肉体人間自体に備わっている能力を使用しなくとも、常人にはできぬ予言や治療ができるので、得意然として思い上がり、人間世界の尊厳を維持している勤勉、真面目、意志の自由を失っていき、また他人の意思の自由も奪っていき、ついには唯物論者、無神論にも劣らぬ人類世界破滅への一役を買っていくのである。なんでもなく見えて非常に恐るべき、憂うべき宗教的無知なのである。

五井昌久 天と地をつなぐ者より

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