映画「怪物」を観た感想(ネタバレなし)

エンドロールが全て流れ終わったと同時に涙が浮かんだが、何の涙なのか自分でも全くわからない。館内が明るくなり、周りの人たちが立ち上がってもまだ立てる気にはならなかった。
後ろに座ってた2人組が「全然わかんなかった〜」と言い合ってて絶望した。これを観て「面白かった〜」とか「つまんなかった〜」とか言う人間がいると思うと、気が狂いそうになる。

SNS上では、LGBTがなんだ多様性がなんだ、他人を想いあって?ハラスメントをなくし?みんなが幸せで、より良い住みやすい社会へ向かっていってるような文字が出てきて、こんないいことがあった こんないい人がいた 今時こんなこと言う人がいる 令和の時代にこんなことが なんて

なんて、非現実な。

正義や悪意、正しさと、すれ違いと、真実。

「それって人によって違うんだよね」って当たり前だし、それをわざわざ言うことではないし。
わかってるんだけど忘れる。

現実の生活は悪意のない悪意で溢れていて、それを知らずに吐き出して飲み込んで繰り返して。誰もが傷付いてるんだから誰も悪くないのか?みんな悪いのか?

悪意のない会話、悪意のない生活、悪意のない日常が誰かを蝕んでいたのなら、

その一言だけ、その動きだけ、立ってるだけいるだけで他人を傷付ける可能性があるのにどうして普通の顔して生きていけるのか。

そんな世界に美しさなんて存在しない。

怪物は誰なんだ。

観てみなよ、狂うよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?