オートファジーにすがってみよう
デブッ腹のせいで、金無し職無しの上、余計にテンションが下がっているみみず。数々の曲がり角を経てきたように思うが、ここも曲がり角なのかもしれない。下り坂の上に曲がり角、最悪ですね。
ランニングの先輩に、「上り坂、下り坂は歩きなさい」と指南された。呆れるほど貧弱な脚力、走力なので、坂道の余分な負荷でダメージを抱え込むと、長い道のりの途中でダウンする。行倒れのBBA、誰も助けてくれないからな。しばし歩を休める。
目に見えない曲がり角。後になってから、あ、あそこが曲がり角だったのだな、と気づくものなのかもしれない。
外見、特に腹部方面で、曲がり切っちゃったのね、と窺える知人は数知れず。塗り込めるわけにもいかず、ウィッグを載せるわけにもいかないので、悲しいことにわかり易い。曲がりかけている時は緊張感があるので、それなりにごまかせているのだけれど、あるポイントを超えると、腹が据わる。
ヨガの先生に、オートファジー、サーチュイン遺伝子、と言う言葉を教わった。なんとなく聞いたことがある位で無教養のみみず。たちまち感化された。
12時間から16時間、食べないでいると、オートファジーが発動し、体の中で不要なものを再利用して新たな細胞が作り出され、免疫力も高まるそう。また、サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)も活性化し、若さが保てる。同時に、糖質代謝から脂質代謝に切り替わり、本来の体の仕組みに戻るので良いことづくめ、らしい。
人類、遡ればあらゆる生命体は、飢餓が常態であった。今なお、三食きちんと食べられるのは、世界の中でも限られた国の人々だし、日本にしてもここ60年程のことだ。みみずは多分、ひもじさを知らないギリギリの世代である。
2、3歳の頃、当時住んでいた長屋の隣家で、図々しく朝ご飯を食べていた。小さい時のことはほとんど何も覚えていないのに、鮮明な記憶がある。卵かけご飯が、1個丸ごとの卵だったのである。
みみずの家では、ご飯の一杯目は白身だけの卵、2杯目が黄身の卵と決まっていた。ご飯を2杯食べるのは父だけだったから、1個全部食べられるのは家長特権。母とみみずは半分こだった。まだ子供のいない若夫婦だったから、お客様扱いされたのかもしれないが。よほど衝撃が大きかったのだろう、黄金色に泡立つ茶碗の光景は未だに忘れられない。
「腹八分目で医者いらず。腹六分目で老いを忘れる。腹四分目で神に近づく」江戸時代中期に活躍していた観相家、水野南北と言う人の言葉だそう。
16時間の断食で、さっきまでグウグウ喚いていたお腹が、アナゴの天ぷらご飯にご満悦である。スーパーの半額セール、昨夜の食べ残しだが、ひたすら美味しくいただいた。
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