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ジェンダー視点からの分析

こんにちは、めっきり寒くなってきましたね!でも雪が降らないので、個人的に寒さ損といいますか、程よく降ってくれたら寒さに耐えているという実感が得られるのになあと思っています。

さて、今回のテーマは地方創生ですね!私は今までずっと大阪以外で住んだことがないのですが、出身は大阪と京都のボーダー付近という超田舎生まれ育ちです。バッタは友達。中学生の時に市内に引っ越したのですが、非常に驚きましたね、時間の短縮に。引っ越しする前と同じ時間に学校へ向かったら始業2時間前に着いてしまい、ショックを受けたことをよく覚えています。ですが公共交通機関の利用者が多ければ多いほど、運行状況も変わるのですから当たり前ですね。笑

自分のこの失敗談からも分かりますが、数というのは大きな力です。人口の多さはライフラインの重要性に大きく関わると思います。私は今回の課題で、地方創生を人口という観点から述べてみたいと思います。

地方創生とは

橋本行史(2015)は地方創生を「地域活性化」として定義しています。まず地域活性化の目的は多様で、国によって全く異なるという事。ブータンを例に挙げ、お金では割り切られない幸せが存在することを述べています。また橋本は、

「幸せには経済的な側面と社会的な側面があり、意見が食い違うのは人によってこのバランスの取り方が異なるためである。一方は、工業誘致することで、雇用を増やし生産性を上げて給料を上げることが重要と考える。もう一方は、自然に囲まれて幸せに暮らしているから、公害を出す企業に来てもらうのは困ると考える。これは日本でも高度経済成長期によく生じた開発環境論争であるが、地域活性化でも典型的な対立点となる。」(11頁)

というジレンマが生じることを指摘しています。加えて東京一極集中も対立点になり、特に現代の日本においてオリンピックがこの対立を深めるだろうと地方が懸念していることを紹介しています。このことから地方活性化とは地方と大都市間における所得格差の是正であると考えることが出来ます。しかし、よりミクロの視点から考えると、東京という地域の中に存在するコミュニティ間における格差も存在します。したがって地域活性化はより多様な見方が必要なことが分かります。

地域活性化の現状

引く続き橋本の本を参考にします。日本が80年代に所得水準がOECDのなかでトップクラスにまで上昇した理由を工業化政策の成功だとしており、そのため敗戦後にもかかわらず復興することが出来たとも述べています(それに付随する人権問題は未だ存在していますが)。加えて当時は工業化に成功している国が少なかったため国際的競争力が高かったことも理由に含んでいます。

ですが現在はどうでしょうか。工業化は全世界を覆い、日本は産業の空洞化に悩まされています。橋本は簡潔に「日本は、産業空洞化が深刻化し、地域産業をどう興して、雇用を創出していくかという問題に直面している。」(13頁)と指摘しています。現在多くのDeveloped countries が金融やIT産業をベースに経済活動を行い他方でDeveloping countries が多くの工場を担っているため、これまで日本で地域活性化として行われてきた工場誘致が効力を発揮することは難しくなります。

つまりどのように地方も「グローバルに競争するか」ということが現代の課題として殆どの地位を占めます。ですがここでもさらに問題ー共同体の希薄化ーが発生します。貨幣経済は家族観における共同体にすら浸透しました。冠婚葬祭の産業化(昔は個人でやっていたことを企業が介入)が最たる例です。これらの問題を含む現状が指す課題はグローバリゼーションによる共同体の破壊をどのようにして解決するかという事になります。

ジェンダー学の見地から

さてここからは少し私の専門から述べたいと思います。橋本は共同体の希薄化を恐れていますーが、はたしてそれはどうしてでしょうか。確かに共同体といいうのは大事です。いわゆる地元愛に直結することもあるでしょう。所得格差の是正と述べましたが、それは勿論労働人口がいないと解消し得ないわけです。加えて地方の過疎化や人口減少、少子高齢化は出生率が上がらないことには解決できません。つまり「どのように出生率を上げるか」にフォーカスしたいと思います。

生物学的見地から見て、人間は精子と卵子の受精により誕生します。生物学的性が女である方が生むことになるので更に女性のほうに焦点をあてましょう。WebサイトCANVASはアンケートで女性のほうが東京へ上京する率が高いことを統計値から示し、更に「なぜ東京なのか」という問いを設定して以下の図を算出しています。

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これから見て女性のほうが東京に居住したいことが分かります。どうしてでしょうか?

ここで共同体の話に戻りましょう。橋本は冠婚葬祭という行事に関して述べましたね。ですが皆さんの体験や触れた芸術(もちろんアニメや漫画も含みます)に基づいて考えてみてください。誰が台所に立って食事の用意をしますか?誰がずっと座ってサーブされる側にいますか?ー私は残念ながらせわしなくずっと働いているほうが女性である想像しか出来ません。ましてや保守的な地域ではよりその傾向が強いことは明白です。

一方東京は開かれた都市です。性的マイノリティや移民の方々も沢山住んでいてダイバーシティとして存在し、基本的に拒まれることがありません。勿論仕事も見つかるでしょう。故に女性が東京に住み続けたいということは言い換えると、十分に自立して生きていけるからだと考えられます。

考えられる解決策

このことを踏まえてもう一度熟考してみましょう。(生物学的)女性と男性は人類繁栄のために必要です。しかしただ人口増加してほしいから、という理由だけで強制的に地方に戻したり送り込むのは倫理的ではありません(そんなのは虚構の世界で表現されるだけで十分です)。私の考えは「戻りたくなる、住みたくなる地域にする」事だと思います。橋本の言葉を借りていうならば、「社会的幸福」を向上させることです。

簡単に言いましたが非常に難題です。こればかりは国家規模でジェンダー教育を行わないと達成されないでしょう。また他の方が今回の課題で指摘している通り、日本はまだまだ不寛容です。移民大国にもかかわらず未だに排除的な言動を見かけます。そんな世界で誰が住もうと思うのでしょうか。誰が安心して暮らせるのでしょうか。

冒頭でも言いましたが数は力です。大多数の人間が寛容になれば世界は変われます。そしてそういった小さい一つ一つのことを積み重ねることでより沢山の人が心地よく過ごせます。綺麗ごとのように思うのでしょうが、私たちが綺麗ごとすら言えなくなってしまった時は「終わり」を意味すると思っています。その終焉が来る前に実践するべきではありませんか。

Reference

CANVAS. (2019). なぜ女性は東京に惹かれるのか!?ー東京都への人口流入、女性が男性を大幅超過. Retrieved from https://mynavi-agent.jp/dainishinsotsu/canvas/2019/10/post-233.html

橋本行史(2015)『地方創生の理論と実践ー地方活性化システム理論ー』橋本行史(編著)創成社

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