黄色い雨合羽のおじさん
京都五条堀川の今はなき、小さくて古臭い雑居ビルに
デザイン事務所を構えていたころ。
当時は小さいなりにそこそこ仕事も忙しく、その日も夜中の零時をとっくにまわった午前2時過ぎ、ようやく仕事もひと段落し、自転車で数分の自宅へ戻ろうといつものように愛車にまたがって小雨振る通いなれたいつもの夜道を走り出した。
数分なので、自宅まであと少しの距離……
唐突に
街路灯に灯された100メートル先ぐらいに
ピョコンピョコンと跳ねる黄色い何かが見えた。
少し近づいてみると……
黄色い雨合羽着た小学生4〜5年生程度の背丈の人か何かが
ピョコンピョコンと跳ねながら移動していた。
まったく嫌な予感はしたのだが、
また少し近づいていくと……見た……見えた。
確かに黄色い合羽を着た小さなおじさんが
自転車で近づく私の方に顔を向け
顔の向きとは正反対(要は後ろ向きに)
ピョコンピョコンと跳ねて移動(背中向き)していた。
小雨が降る真夜中丑三つ時……ピョコンピョコンって……
ヤバい、、、これはかなりのヤバいヤツだと咄嗟に判断したのだが
その異様さにどうしても目が離せない
私と目が合うと黄色い雨合羽のおじさんの顔面には
滴る雨なのか汗なのかわからないが濡れていた
満面の笑みで私を見ていました
私は恐怖でいっぱいになり
自宅のある路地に一目散に逃げ帰りました
それ以来、「黄色い雨合羽おじさん」を目にすることはありませんでした
………そんな意味が全くわからないことってあります?
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