そして、トランプの戦略は続く

米国の対中赤字が減った。

さらに、中国企業による米国技術の取得も鈍っている。

トランプ政権は、中国国営企業によるシリコンバレースタートアップの買収を審査して止められるように規制をかけている。それにより、ファーウェイのような企業は、技術の取得が止まる。見事に止まっている。

貿易戦争による関税引き上げのため、通貨安に誘導するしかない中国は、通貨安である。通貨安が進めば、資本の流出が進む。資本の流出が進むので、大型買収は控え、技術の取得は進まない。同じものを買おうとしても高くなるので、こちらも進まない。中国の生産力の強化は、質的に制限を受ける。

あとは、自国で開発ということになるが、中国は世界的に競争力のある大学が乏しい。あるとしても、海外から研究者を札束で頬を殴って連れてくるだけなので、長続きしない。今までは、米国の大学に人を送り込んで、技術を盗んできて、続きを中国の大学でやっていたが、米国の大学への入学もかなり絞られてきている様子。中国の生産の質をあげることは、難しくなって行くだろう。

通貨安は、基本ダンピングに跳ね返るので、輸出に有利なはずであるが、そこは関税が為替の分だけが上がって行くので、永遠とコスト競争力がない方向に持っていかれる(通貨安の分だけ、関税をあげられる)。

結果として、生産は中国からメキシコなどに移管され、中国の生産力は量的にも弱くなる。

トランプ迷走、と、描かれる部分もあるが、トランプ政権の立てた筋描き通りに進んでいる。このトランプやナヴァロが立てた戦略というのが正しいのかは私はわからないが、彼らは迷走などせずに、まっすぐに、中国共産党をぶっ潰す、という方向に進んでいるのであると、私は分析するのである。

日経さん、こんな記事もある。

統計というのは、つくづく数字の見方であると思う。「米国の貿易赤字の総額は増えて、中国への赤字が減った」という事実に対する解釈である。

貿易赤字を減らすというのは、トランプ政権の方便である。本丸は安全保障であって、「米国の的たる中国が戦争になった時の生産力をつけていては米国の覇権が失われてまずい」というのが、米国の今の戦略である。

無断引用して悪いのだが、下のグラフに悪意がある。

スクリーンショット 2019-09-16 8.18.53

中国だけ10%減と、書いてある。他は実数である。中国の実数を出すと、おそらく「180減」である。どうして、中国だけ10%減と書くのかというと、中国が減ったのを見せたくないからである。

中国の生産力が180減って、米国の友好国メキシコ+34、日本+5、アイルランド+13、中国の敵ベトナム+39、中国の味方ドイツー3、という内容である。米国側の国々に生産を移転しており、安全保障上はかなりのプラスである。

対中国を経済中心(ただの金儲け中心)に考えると、上記の記事のようになるが、安全保障戦略を基軸に考えると、他のものが見えてくるのである。

トランプ政権の基本戦略は、中国の生産力を削ぎ、米国と戦争をできない国にすることである。米国の覇権を維持することである。

そういった意味では、トランプ政権は、現実の為替相場や景気・企業業績に配慮しつつ、バランスをとりながら、まっすぐ進んでいるのである。

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