書評:『マネジメント[エッセンシャル版]』(ピーター・F・ドラッカー)

『マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則』
(ピーター・F・ドラッカー)

長く読み継がれた本だと思います。

いくつか版があります。読んだのはエッセンシャル版。多分、一番薄いです。薄いからと言って馬鹿にしてはいけなくて、(ドラッカーと訳者の上田さんはお友達なのですが)上田さんがドラッカーに「あんたの本は厚すぎてダメ。重複も多いからこうしたら」と言って要約して送ったのが、『抄訳マネジメント』だそうで、再度訳し直したのが、エッセンシャル版の本書であるそうです。

内容は『The Practice of Management(現代の経営)』に近いですが、かなり短くなっていて、イノベーションの界隈の話も加わり、洗練されていると思います。マネジメントというのは、いろいろな事をする訳でですが、その色々な事と、その考え方について書かれています。

無駄が削られて、シンプルになっているため、内容が深すぎ、概念的で分かりにくい部分もあると思いました。マネジメントの仕事(組織を率いる経験)をした事がある人であれば、論点についてピンと来るでしょうが、そういう経験が無い人向けには、「例が削られすぎていて、分からないのではないか」と思いました(他のドラッカーの本を読んでいる人なら十分分かると思います)。

また、新卒で大学から直接MBAにいった人には分からないと思います。
けれども、(難しい経営理論等を知らない人であっても)悩みながら組織を作ってきたり、組織を率いてきた人には内容がよくわかる本だと思います(ドラッカーは、マネジメントは真摯さを持った普通の人がやるもんで、特別な才覚が必要なわけでも頭の良さが必要ない、と言っているので)。

複数人で仕事をすると効率が悪くなるのが自然の力学で、それに反して組織で仕事をして成果を出す為に存在する人がマネジメントなんですが、そのマネジメントがやるべき仕事、成果を出す為にやるべき仕事を書いた名著であると思います。

『孫子』みたいにエッセンスしかないので、いろいろ経験しながら、何度か読んでみようと思います。今回は、過去の失敗を思いながら、社会的責任というところが心にしみました。次読む時は違うところが心にしみると思います。

『もしドラ』のネタ本はこれだと思いますが、『もしドラ』NHKのアニメが良く出来ていたなあ。制作会社がProduction IGだったからかな。

『マネジメント[エッセンシャル版] 』(ピーター・F・ドラッカー)
http://goo.gl/Vz5wlX

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