バブルと投資と投機
バブルというは、中にいる人にはわからないものである。昔のバブル経済を思い出す。
そんな中、日経新聞のコラムで澤上ファンドの澤上がコラムを書いておられる。
このコラム、基本的には長期投資のスタンスを貫かれている澤上さんの姿勢に賛同できるし、基本、今が金融バブルであるところの視点は一緒なのだが、コラムを読むたびに、何か微妙な違和感をいつも感じるので、なんだろうと思って、注意深く読んで見た。そして、その違和感の理由がよくわかった。
まあ、澤上ファンドもファンドなので、機関投資家である。機関投資家というのは、グレアムの言うところの投資家にはなれない。いわゆる、ポジショントークというものが含まれて、微妙にグレアムの言うところの厳密な投資はずれているところが、違和感の理由である。
記事の内容は、次のようなものであり、あまり違和感はない。
・基本、今はバブル
・人の動きや、株価の値上がりにつられて株式を買ってはいけないよ
・長期投資家は、「より良い世の中を作っていく」方向でお金に働いてもらおうとする
・SPACとか投機の典型だよね
一部引用させてもらうと、
この違いは、どこからくると思う? 投資観の違いだよ。普通の投資家は、ひたすら値ザヤ稼ぎを狙う。値ザヤさえ稼げるのなら、投資対象は何だって構わない。上昇していれば、そこに頭を突っ込み、どこまでも上昇を追い掛ける。
一方、長期投資家は「より良い世の中をつくっていく」方向で、お金に働いてもらおうとする。この企業をトコトン応援しようというスタンスでマーケットに参加する。
こんな調子である。ここはまあわかる。
ただ、細かいことを言うと、「普通の投資家は、ひたすら値ザヤ稼ぎを狙う。」とあるが、値ザヤ稼ぎを狙うのは、普通の投機家であって投資家ではない。機関投資家は機関投機家であるので、これらが普通の投資家でないと、さわかみファンドも機関投機家になってしまうから困るんだろうと思う。
また、
草刈 長期投資と言うと株の保有期間が長い投資だと思っている方が多いですよね。実際、長期保有するわけですが、長期で物事を捉えているという点が重要。
投資先の実質的な価値が長期的に上昇するのか、その価値上昇の源泉は、社会に必要とされている事業なのか……という視点です。
草刈さんは、さらっとおっしゃっているが、うがった読み方をすると、「うちも短期売買はしますよ。視点は長期ですけどね」という言い訳に読めないわけでもない。この辺の防衛的な発言というのが違和感の正体。
揚げ足を取るようで恐縮だが、一部のコメントに明確な違和感がある。
一つだけ、例を挙げておこうか。最近では、インデックス運用やインデックスの先物が、年金基金の株式運用の主体となっている。インデックス運用では、玉石混交の企業をパッケージにして投資する。バブル崩壊後は石コロ銘柄群が足を引っ張って、パッケージ運用は長く低迷を余儀なくされるだろう。
玉と思える企業群を厳選して投資する我々のアクティブ運用とは、大きな差が出るだろうね。
こと、内容がバブル崩壊後の株式投資であれば、私はコストの低いインデックス投資は否定しない。ドルコスト平均法という、時期を十分分散したインデックス投資を続ければ、玉石混合のインデックス投資であっても、長期的には十分良いパフォーマンスが得られるのではないだろうか。
かのバフェットも、バンガードのような低コストのETFなどの分散購入を勧めている。バフェットを知らぬ澤上さんじゃないので、完全にポジショントークである。
そして、これを見る限り、ひふみプラスはともかく、さわかみファンドの方は、TOPIXの動きとほぼ同じであるし、日経225を大きく超えてパフォームしているようには見えないのだけれど・・・
私は、呑気な個人投資家が気性にあっているとつくづく思うのである。
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