投資日記:勝つ投資とは?

投資関連の記事というのは、ほとんどが間違っていると私は思っているのだが、「単純なアンケート調査だけにこれは正しいと思った」ものに、下記の記事がある。

マネー研究所
日経マネー 特集セレクト

個人投資家1.3万人調査 負け組はハイレバレッジ好き
2018年個人投資家調査(1)

3年連続で5%以上の利回りを取れた人のアンケート調査なのだが面白い。(ちなみに、私としては、利回りの母数を知りたい。私は、投資を会計を分けている。自分の投資ファンドを母数にすれば5%はないが、投資額を母数にすれば、5%は軽く超える。待機させている現金を母数に入れるかが、私には重要だ)

「勝っている人の投資スタイルは?」との質問に、

(あ)高配当・優待狙いのコツコツ投資
(い)割安株の修正をじっくり待つバリュー投資

の二つが大きく抜きん出ている。

私の投資スタイルもこれで、私が人に勧める投資スタイルもこれである。


一方負けている人が主にとっている投資スタイルは、以下である。

(1)大型優良株中心の王道投資
(2)チャート分析重視のテクニカル投資
(3)話題のテーマを追うテーマ投資
(4)超短期の急騰を狙うイナゴ投資

この(1)と(2)(3)(4)は性質が違うが本質は同じである。

(1)が意外に思えるかもしれない。ダメである。

ダメなポイントは、思考停止しているから。このスタイルをとる前提には、「大型の優良株であれば、安心」という気持ちがあるのだろうが、この気持ちは投資の大敵だ。投資に安心はありえない。リスクを取るのが投資。リスクを取れば、安心はない(安心を買うなら、金利を取られて、保険を買うべきなのである)。

算数の話で言えば、大型優良株と呼ばれるものは、すでにその価値に比べて株価が十分に上がってしまっていることが多く、旨味がない。いくら、業績がよくて、安定していて、伸びていいても、10年後の成長した業績まで株価に織り込まれていれば、投資から利益はえられない(そして、その業績と株価の安定が崩れた大型は、「優良株」とは呼ばれなくなり、バリュー銘柄と呼ばれるようになる)。

算数的にこのスタイルが高値づかみをするのは、至極、当たり前のことである。しかしながら「日の丸親方だから安心」的な発想をしてしまう思考停止組は多い。基本的に、投資というものは大衆を追わないことが利益に繋がるので(需要と供給の法則とはそういうものである)、「みんなが買うから買う」人は、長期的には投資で成功できない。誰がなんと言おうと、自分の頭で考える人だけが、成功するのである。

(2)(3)(4)は、ディール好きな人がやるスタイルである。「私は人より賢くて、取引で人をだしぬける」と思っている人がほとんどであろうが、このタイプの人が成功することは滅多にない。一時的にうまくいっても、大体がうまくいかない。

(2)のチャート分析が無意味であることは歴史が証明している。仮に有効であるとすれば、コンピューター取引に組み込まれ、アルゴリズム取引で自動化されているので、手動で操作してやっても、数千倍素早いコンピューターに出し抜かれるだけであろう。

(3)(4)のテーマやイナゴがうまくいかないのは、脳みそを使っていないからだ。

テーマ投資も、「そのテーマを10年研究していて…裏にある科学的な理論、論文を全部読んでいます。また、ここ10年のこのテーマの企業と業績を全部調べています。その上で、今がチャンスなんです」というのであれば話は別だろうが、テーマ投資をする人の大半は、流行りのキーワードに飛びついているだけで、そのテーマの深い内容に理解がない。流行りものというのは、需要と供給の法則でいうところの需要がピークに達しているものであるから、株価が高い。高値づかみをしては、長期的に投資がうまくいかないのである。

イナゴ投資は論外である。人が群がったところに群がってはダメである。人が群がりそうなところにいち早く手をつけて、群がり出したら、売って逃げるのは儲かる人の投資である。イナゴ(自称)投資家は、投資家のカモでしかない。

そして、(1)(2)(3)(4)は、「自分で考えずに周りの流行に乗ろうとしている」ことが、共通している。周りを見て動く人は、投資に向いていない。


勝つ方の理由も解説しておく。

(あ)高配当・優待狙いのコツコツ投資
(い)割安株の修正をじっくり待つバリュー投資

この二つは共通している。

(い)の「割安株」というのは、PERが低い株式ではない。その株式が持つ株に対して、株価が安いという意味である。例えれば、「スーパーで売っている人参が50円なら安いが100円なら高い」ことがわかる人がバリュー投資家である。また、その人参が3本50円と書いてあっても、一本一本が小さければ買わないし、1本100円でも、味が良くて3本合計より容量が多ければ買うのが、バリュー(価値)がわかる、という意味である。

バリュー投資家は、投資家なので、必ず値踏みをする。それも、株価の変化が今までどうだったからではなくて、大抵の場合は、財務状況(バランスシートの現在の状況と今後のP/L業績の予測、キャッシュフローの予測)などから、株式の価値を算出して、安いから買うのである。

人参は腐るが、株式は腐らない。バリュー投資家は、腐らない人参を安い時に買って、高くなったら売る。これが、バリュー株投資(バリュー投資家にとっては、「これが投資」)となる。

バリュー投資を簡易にやろうとすると、(1)高配当・優待となる。

高配当の基準は、以下である。

(配当利回り)=(配当額)÷(株価)

優待も一緒。

(優待利回り)=(株主優待で獲る額)÷(株価)

得るもの(=価値)を、支払うもの(=株価)で割って、利回りを出す。
割安の時に双方の利回りは上がるので、株主優待を追っている人がやってることは、バリュー投資そのものである。

ただ、配当金が一時的に上がっているだけであったり、業績が悪くなって減配、無配にならないかの注意が必要だし、安定していない企業の株主優待は見直されたりするので、こちらも普段の観察が必要である。長期の株主優待投資家はこれらを見抜いているので、あまり間違う事もない。また、多くの株主優待は、少数株主がメインなので、ポートフォリオも分散され、個別銘柄の優待見直しのリスクにもある程度耐性がある。

利回りというのはわかりやすくて、利回り10%あれば、10年持てば、入れたお金は回収でき、損しないことが確定する。利回り5%であれば、20年もてば、損はしないことが確定する。投資家は、「何年もてば損をしない」という自分の基準を持っている。それが下に外れれば負けであるが、想定した期間以上持てば、勝ちが確定する。


勝てる投資とは、以上のように単純なことであるし、全ては、賢明なる投資家という本に書かれており、そのような事実は、ウォーレン・バフェットが何度も公の場で教えてくれているのであるが、その通り実行に移す人は少ない。少ないので、投資家はそこから利益を得ることができるのである。

(一方、勝てる投機について納得する結論が書かれた本は見たことがない。負ける投機の方法を勝てる株式投資として書かれた本は度々見かける。専業主婦が10万円を1億円にした部類の本などである。そして、多くの人々は、負ける投機方法を模倣する。例は、ハイレバレッジのFXなどである)


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