書評:『企業買収』(木俣貴光)


少し前に読みました。

なんで読んだかと言うと、M&Aの実務を知る必要があり、「マネプレ」という言葉がよくわからなかったので、一通り実務をなめていこうとしていた時に「本でも読むか」となり、amazonで探したら木俣さんの本が出てきて読みました。

日本のプレイベートな中堅企業における買収を小説にしたもので、そのディールのお手頃感から庶民的なM&Aプロジェクトを描くという特異な小説に仕上がっており、大変楽しませて頂きました。ビジネス関連の小説はウソっぽくて嫌になる事が多いのですが、この本は、リアリティがあって面白く読ませて頂きました。

M&Aを実際は、ドラマチックになると思います。これは、小説としてそこそこ面白いと思います。テレビ局も、変な恋愛ドラマをやって視聴率をとれないよりは、ドラマにつかうには、「実際のビジネスのネタを元に書き上げている木俣さんの小説の方がおもしろくなるんじゃないか」と私は思いましたが、テレビ関係者じゃないので、実際のところは分かりません。

小説としての感想はここまで。
ビジネスとして捉えた感想を以下に書いておきます。

株式上場をしていない中堅規模のビジネスを買収する場合、「手数料ばっかりか買って割りがあわない」と思いました。売上が数十億円規模で、利益が数億円規模の事業を買収するのに、1億円コストがかかるというのは、売る方も売られる方も馬鹿馬鹿しいなと思いました。でも、それがなぜ必要なのかがこの本を読むとよくわかりました。

実務としては流れやエージェント達の役割がよく分かり、勉強になりました。大きなプロジェクトだと全体が見えないので良くないので、こういう本は重宝します。大きなプロジェクト版も誰か書いてくれないだろうか(但し、ちゃんとビジネスとしてリアリティがあるやつ)?

『企業買収』(木俣貴光)
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