米中貿易戦争の行方 #1

2018年8月の中国の対米黒字は拡大とのこと。

要因は二つで、
・中国が米国から輸入している大豆の輸入が落ち込んだこと
・関税発動による米国側の駆け込み需要が増えたこと

米国の大豆がその代替手段がなく、中国の管理貿易に対して確実に米国の輸出が減るのに対して、中国の輸出の方は関税をかけられても対抗策がある。それは元安である

googleさんによる為替相場

関税をかけられた分だけ、人民元を安くすると製品の値下げができる。買う方は、関税を払っても中国製品の調達価格は変わらず、輸出量は変わらないということが短期的にはありうるわけだ。ただし、これは、国内で原材料を調達できる場合に限る。そのうち、人民元安は、中国の調達価格の上昇に跳ね返り、国内でインフレが起きる。

インフレは、社会の不安定要素だから、中国という独裁体制の維持が可能かどうかにも反映されてくる。人民元安を許容できないと、中国経済は崩壊するので、中国政府は難しい舵取りを迫られるであろう。

結論は、「駆け込み需要が落ち着くまで様子見」となるわけだ。
様子見となると、トランプ大統領の方の中間選挙も気になるところ(最も結果を気にしているのは、中国政府だろうが)。


気になるのが、人民元のキャピタルフライト(資本逃避)であるが、

中国の外貨準備高は、まだ大丈夫なようである。

但し、中国の外貨準備高(中国発表)には常に疑義がかかっている。中国の大本営発表を信じるべきかは、非常に怪しい。数値が怪しいのが一点、数値はあっていても内容が怪しいのが二点目である。下記のアナリストの方は、内容を詳しく分析されており、非常に参考になった。

この方の分析によると、貿易黒字が積み重なるというよりも、中国企業によるドル建ての債権が積み重なっている結果、中国の外貨準備高が増えているという予想である。為替ヘッジをかけても、中国国内で資本調達するよりも、ドル建ての調達の方がましであるらしい(世界には、ドル建てで中国企業に金を貸しているバカが、まだまだいるらしい)。

中国の外貨準備高の内容は、非常に怪しい。確実なのは、ドルの外貨準備高の大半を米国債で持っているという訳ではないという点である。

外貨準備高の一部は、一帯一路を通じた新興国のインフラ債権かもしれないし(そこら中で、火を吹いているやつ)、中国企業のドル建ての債権かもしれない。

中国企業のドル建ての債権については、もし、貸し剥がしが起きるとこれは面白いことが起きる。

貸してる人がビビって、年限が来たら貸し剥がす
→どっかの中国企業が資金調達をミスって、デフォルト
→ますます貸し剥がしが進む
→中国企業のドル建ての債権調達が難しくなる
→健全な中国企業まで貸し剥がしされて、ドルを返して、ドルが減る
→中国の外貨準備高が激減
→中国人民元の暴落
→さらなる人民元売り
→中国人民元のさらなる暴落
→中国国内の激しいインフレ
→中国国民の不満が募る
→政権転覆

こんなところまで進むのかはわかりませんが、注意深く米中貿易戦争の行方を見守った方が良いようです。

米国側が負ける不安要素としては、中国の三戦が機能して、共和党が選挙でぼろ負けしてしまいという一点でしょうか。現代の情報戦は、サイバー戦争と並んで、激しさを増す一方です。

我々文筆家も、中国の三戦(=情報操作)に踊らされないように、しっかり、分析をしていかねばなりません。三戦に踊らされる日本のマスメディア(というより、安全保障と経済記者たち)は役に立ちませんから。News picsなどを見て、ホリエモンや落合陽一氏に踊らされる場合じゃないですよね、全く。


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