チャイナテック、終わりの始まり

量子コンピューターの研究など、中国が先進的な役割を果たす分野が全くない訳ではないだろうが、チャイナテックのバブルの終わりの始まりが見えてきつつあると思う。

そもそもバブルとは何かであるが、それは、壮大なる打ち上げ花火である。株価の動きを見ると明らかだが、ちょろちょろと長期的に上がっていた株価が、ドッカーンと高くなる。それで世間で騒がれて、迂闊な専業主婦(主夫)投資家あたりまでその情報が行き渡ると、一気に株価が落ち、崩壊するのがバブル現象である。土地バブルであろうが、インターネットバブルであろうが、仮想通貨バブルであろうが、全ての本質は変わらない。

ウォーレン・バフェットもよく言っているが、バブルも後期になるとクソミソに高値がつきだすという特徴がある。バフェットがいうには、「大波が来た。波が引いた後に、服を着ている人と着ていない人がわかる」ということだ。リーマンの時は、言わずと知れたクソミソ債券であるサブプライムローンに異様な高値が付いていたのは、記憶に新しい(新しいのは私だけかもしれないが)。

さて、チャイナテックである。

この日経の記事は、シェア自転車2強のうちの一つが、裁判所で運送費の未払いを訴えられているという話と、自転車のゴミの山が象徴的な写真として上がっている。日経新聞のことだから、ことさら、大げさに、「中国ダメ」という所の、都合の良い部分だけをピックアップしている疑惑が拭えないが、裁判の話の方は事実だろう。

自転車シェアというのは、成り立たなそうだけど流行っていた商売である。普通に考えると、乗り捨ての対応が間に合わなそうだが、やっぱり間に合っていなかったような気がする。最大手はうまく言っているのかもしれないが、どうも、大量に自転車を輸送できる手段があるようには私には思えなかったのだが、実際、不払いが起きていると聞いて、納得した次第である。

こういうクソミソに、3400億円の時価評価をつけるのが、中国ベンチャーに対するVCの対応であるのだと思う。立派なクソミソ投資であろう。

もっとも、日経新聞のタイトルにある「多産で平均寿命3年のスタートアップ企業を否定的な目で捉える」のは、数学的な思考から外れていて全く賛同できない。小さくて、多くの挑戦(言葉を変えれば無駄かもしれない取り組み)は、イノベーションには必須である。だから、中国スタートアップの多産多死は、社会全体として正しいと思うし、中国に大きな雇用を生み出すだろう(少なくとも、何も生み出さず、品質改竄ばかりしている日本のゾンビ製造業やそれを支援する補助金よりましだ)。

問題は、クソミソのベンチャー企業をユニコーンの時価をつけている目利き能力のなさである。これが、バブルなのである。34億円や340億円ならまだしも、3400億円はないだろうと。ビジネスモデルの根幹なのだから、自転車の運送費用の数学的モデル解析ぐらいはやっとけよと思う。

きっと、「Uberうまくいったから、これもシェアだからうまくいく」的な迂闊さで投資した迂闊な投資家が多かったんじゃないかと思う。せめて、キャッシュの解析ぐらいはしておこうよと思うのである。

チャイナテック、こと中国のIT新興企業は、私は全滅はしないと思う。何しろ、ITエンジニアが不足する中、中国のITエンジニアには質と量があるので、一部の有力な企業は残り続けるだろう。

しかし、中国のITバブルは、崩壊が始まったのだと思う。おそらく、それは、日本の2000年のITバブルの崩壊に近い。スタートアップの資金調達は厳しくなり、日本で言えば楽天のようなお金を持った老舗新興企業が、有力なスタートアップを買う展開になる気がする。アリババを筆頭として、たくさんのお金持った老舗企業がすでにあるのだから。

チャイナテックに投資する、外国人投資家は、注意すべき時期だろうと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?