書評:ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2015年 09 月号『稲盛和夫の経営論』

ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2015年 09 月号『稲盛和夫の経営論』http://goo.gl/ssnmMO

京セラの稲盛和夫さんの経営論がHBRに乗っていたので、気になって買っていたのですが、珍しく「積ん読」になっておりまして、先日読破致しました。

稲盛和夫さんは私の尊敬する経営者の一人ですが、実は、そんなに著書を読んで事はありません。論文は良く読みます。インタビューも読みます。

よく、表に出てくる話は、アメーバ会計などの管理会計の話であり、これは非常に良く出来ていると私は思っていて、否定するところがほとんどない、私の考えにも非常に近い経営管理の形であると思っています。彼の考えた経営管理手法に、全面的に賛成しますし、論文を読んでなお、そう思いました。

しかし、稲盛さんの経営論の基本は、精神論であり、心のあり方であります。精神論というか哲学とアメーバ会計というしくみが揃って、稲盛さんの経営なのであり、片方だけは意味が無いと思っています。

その哲学の基本は「滅私奉公」です。私は、これは、受け入れがたいなあと思うので、稲盛さんの経営論と私はちょっと違うのかなと思います。

稲盛さんは九州男児であります。なので、家族より仕事が優先で、「私を滅して、公に奉ぜよ」と言います。人間を大事にするとそこに行き着くのだそうです。

私の哲学は、「人生において、家族を犠牲にしてまですべきことはない」です。だから、お客さんを放っておいても家族を大事にすると言うのとはまた違うのですが(だって、お客さんにも大事な家族はありますからね)、家族と仕事の利益相反があれば、家族を取ります。家族の死に目であれば、仕事を中断して会いにいくと言う話です。

でも、稲盛さんの経営論は、滅私奉公です。仕事を優先せねばなりません。

「滅私奉公」を受け入れられない限り、アメーバ経営の神髄は得られないと私は思うので、あまりこっちには深入りしないようにしたいなと思いました。哲学が会わない訳ですから。

ただ、アメーバ会計は、本当に手法として良く出来ているなと思います。哲学以外は、全て賛成なだけに、惜しいなあと・・・

ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー
2015年 09 月号
『稲盛和夫の経営論』


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