減り始めた中国の輸出

減り始めた中国からの輸出

中国の輸出が減り始めた。

一部記事を引用させてもらうと、

中国は生産・雇用が空洞化し、「ひとり負け」の構図が強まる恐れがある。中国の輸出はアジア向けなどの伸びでは補いきれず、4月は全体で3%のマイナスとなっている。

中国からの輸出が早くも3%の減少に転じたという話。関税による中国貿易への攻撃は効果をあげている。


中国の貿易黒字は戦時の生産力を増強する

ナヴァロの主張を読めばわかるが、トランプ政権が中国の貿易黒字、米国の貿易赤字を問題にしているのは、貿易黒字が戦争時の生産力に直結するからである。つまり、「米国で消費するものを中国で作れば、中国の工場が潤い、中国の生産力が上がる。それはそのまま戦争になった時に中国の戦闘力を高めるものである。中国は、米国の社会制度とは合わない敵国なので、米国が中国の戦時の生産力増強に協力するわけにはいかない。中国の貿易黒字は、中国の生産力向上に直結するから、まかりならん。」と言っている。

その点、関税をかけて、ベトナムやメキシコに完成品の生産移転が進んでいる現状は狙い通りと言えるだろう。

一方、中国で作られた高付加価値部品が、ベトナム・マレーシア・メキシコを迂回して米国に輸出されるのはいただけないという事だろう。完成品の組み立てだけでも違う国に移転するのはさほど悪いことではないが、梱包だけ変えて再輸出されるようなことは、米国としても取り締まって行くだろう。

メキシコへの関税の関係はあるのか?

先日、メキシコへの関税強化が発表された。それは、市場に唐突感を持って受け入れられた。

国境管理の不備を理由に関税を乗っけているが、中国との絡みで言えば、以下のようなこともあるのかもしれない。

(1)中国→米国の船の行き先を、中国→メキシコにする
(2)メキシコで梱包を変える
(3)made in Mexico として、米国に輸出する

という迂回輸出が結構あるのかもしれない。私が中国企業の経営者ならまず考える安易で安価な方法がこれである。これを取り締まる口実として、違法移民の流入を歌っているのかもしれない(まあ、メキシコはメキシコで貿易不均衡を出しているから、微妙かもしれない)。

いずれにせよ、削られる中国の生産力

いずれにせよ、中国の生産力は削られている。

今まで米国に輸出していた工場は、その需要先を失い、新たな需要地を開拓できなければ、稼働が止まる。そのような状況で、新たな工場への投資というのは止まる。

つまりは、中国の生産力は弱まるということである。

中国から生産の現場が動いて行く生産シフトは止まらない。


日本の企業と投資家が目指すべき方向性

このような環境下、日本企業が目指す方向性は明確であろう。それは、「米国の需要は米国で満たすように米国の生産比率をあげる」というのが一番安全である。次に、「ベトナムなどの中国と仲の悪い国への生産シフトを進めること」であろう。

株式投資家であれば、やはり見逃せないのは、ベトナム、インドネシア、インドへの投資である。

今後流出する中国の生産力の受け口は、人口の多い、インド、インドネシア、ベトナム以外はありえない。その中でも識字率、教育などを考えれば、ベトナムという選択肢が大きい(ただ、中国と同じ社会主義国だが)。

これら、世界の生産拠点としての中国からの代替をどこの国が進めて行くのか、その国々のインフラ整備(港、道路、発電、送電、鉄道などのハードウェアはもちろん、教育などのソフト面でも)を睨みつつ、資本を中国から引き上げ、これらの中国の代替国に移して行くのが正しい戦略と思われる。



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