投資日記:リスク回避の円高なのか?

FXやりません。

やらない理由を書いてもしょうがないという論者なので、それは書かないとして、本日は、よく日経新聞に書かれる「リスク回避の円高」について書いてみようと思います。

「リスク回避の円高」
私は、これを嘘だと思っております。

「ただの円キャリー取引の巻き戻しだろ」と思っている。

リスク回避だなんだといいますが、リスクがどうこういう時は、サブプライムローンをはじめとした信用の低い債権や不安定な新興国経済の破綻による新興国株価の下落なので、大抵の場合は新興国通貨安を伴います。

昨今の金利の情勢をかくと、ドルが高くて、ユーロがそこそこで、日本円がゼロです。

何が起きるかというと、金利の安い日本円で借りて、新興国通貨などに変えて、成長率の高い新興国やサブプライム系の低信用高金利の債権を持ちます。もしくは、そういうところのインフラ・プロジェクトに投資をするわけですが、借金でレバレッジをかけてくるわけです。

なんか事件が起こりますと、これらの債権がやばくなったり、新興国通貨が下落したりするわけです。例えば、新興国の火力発電所に、日本円でお金を借りて投資をしていたとすると、上がってくる発電料金は現地通貨ですが、借りているのは日本円なので、プロジェクトの収入は、少なくなって、返すほうは変わりません。プロジェクトの主としては、慌てて、手元にある現地通貨を日本円に変えて借金を返せるようにします。

円需要が生まれ、円が買われ、現地通貨が売られ、円安になります。

これが、「円キャリー取引の巻き戻し」と言われています。私は、これが、「安全通貨としての円が買われた」という適当な表現の中身だと思っているんですが、実際は、どうなんでしょうね。


中国企業や新興国企業の業績も似たようなもんです。これらの企業の中には、過剰に外国通貨での借金をしている企業があります。例えば、中国の不動産デベロッパーが、ドルで大量の資金を調達して、中国現地に大きなビルを開発しているとしましょう。

ドルで1000調達して、1000で中国でビルを建て、年間5%リターンのある物件を作るとすると、毎年の家賃収入は、50。ドルの調達金利が3%だとすると、金利が30なので、50−30=20づつ毎年手元にお金が残るわけです。

ところが、中国元の相場が半分になると、ドルベースでの家賃収入は25になる。金利は30なので、25−30=−5、ということで、毎年手元からお金がなくなるわけです。ドルで調達した1000は返せません。倒産です。

逆も然りで、為替が現地通貨が強い方に2倍になれば、先ほどの計算は、
100ー30=70 となって、20の3.5倍儲かる大儲けになるわけです。

というように、クロスボーダーの(=国境をまたぐ)投資はリスクが高い。リスクが高いので、真っ当な人は、現地で資金を調達して為替リスクを取らないわけですが、こうも日本の金利が安いと、直近の金利差に目が眩んで、為替リスクを取りがちです。その誘惑が一番強いのが、主要通貨だと日本円ということだと思います。

こと株式投資を考えた場合、同様のリスクが、日本の銀行からお金を借りて、日本以外の特に新興国での販売が多い国内外の会社を買収する行為も全く一緒なわけです。まだ、現地調達比率が高い企業を買えていればよいですが、そうでなければ、円キャリーの巻き戻し時に被害を受けるのは目に見えています。

中国の息の根を止めに行っているトランプ政権と米国共和党の時代ですから、いつ円キャリーの資金が逆流するのかはわかりません。ずっと起きないかもしれないし、明日に起きるのかもしれない。

スルガ銀行における日本のアパート投資へのいい加減な融資改ざん(信用の低い顧客に大量の貸付をするという意味でサブプライムローン的な行為)や、TATERUと西京銀行が、こらまた信用の低いサラリーマンの口座残高を詐称して、宅建業法を違反してまで賃貸用アパートを作るのに融資づけをしていた日本の銀行たちの実態を見ると、本当に怖いわけです。海外で、同じようなことしている奴が、きっといるよなと。

投資家として構えるべきは、そういうことが起きたとしても大丈夫なようにポートフォリオを調整することだと思いながら、日々、暮らしております。いつ、そういうことが起きるのかは予測はできないんですけどね。

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