『三略』 (眞鍋呉夫)

『六韜三略』と言うのが有名です。確か、『項羽と劉邦』の漫画にある世界ですが、漢の建国の物語に出てくる、張良という参謀がいるのですが、この人が学んだと言う言い伝えがあるのが、『六韜三略』です。解説にも、横山光輝さんの『項羽と劉邦』にも出てきますが、不良だった張良が、立ち直っていく過程で、おじいさんから授けられるのが『六韜三略』であります。これをもって、張良は後に劉邦を助け、中国を統一するという話であります。まあ、この話は与太話であるらしいのですが…

さて、六韜と三略は実は分かれた書物であるそうです。先に『六韜』の書評は示しましたが、これは戦略書というよりは「戦術書」です。一方、『三略』の方は立派な「戦略書」であります。

人の登用のしかたや納め方、君子のあり方などを述べています。私は『老子』を読んだ事が無いので、醍醐味が分かっていないのかもしれませんが、「柔能く剛を制す」なんていうのも出てきます。日本の処世術等は、この本が一番良く示しているかもしれません(それが、良いかどうかは別にして)。

読んでみると、なるほどと思うところもあり、特に組織を率いる人たち(リーダー)にとっては良い読み物だと思います。

但し、きれいごとが多そうな気がしています。というのも、この本は、漢の前の時代に作られたものではなく、宋の時代以降の創作であるんだそうです。つまり、後の人が作った与太話。だから、リアリティがあるのかは、かなり疑問で、Battle provenではないんです。あまり信用しすぎない方が良いです。

とはいえ、この本は薄いので、30分もあれば読めてしまうと思います(私はKindle版を買いましたが、すぐ読めちゃいます)。そのなかで、きちんと要点を付いてる気はするので、多くの人が愛した書だけあって、なかなか役に立つのではないかと思っています。

おすすめです。

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