書評:『2020年「習近平」の終焉』(日高義樹)

この本を読んだ感想は、中国の崩壊は今年中かもしれず、5年と持たないのではないか、ということである。

軍事の話

この本は、軍事の話から始まる。米国のミサイル防衛網は良いとして、スペースXのロケットだが、中国を監視する衛星を積んでいたという話。中国からミサイルが発射されれば、すぐに探知されて(おそらく北朝鮮のミサイルも)、中国の弾道ミサイルも撃ち落とされるという話。あと、米国の巡航ミサイル用の潜水艦(戦術核兵器を搭載)が中国沿岸まで漂っていて、いつでも中国沿岸の都市を破壊可能(今の潜水艦は、無線で通信ができ、いつでも指令が出る)また、戦略空軍というステルス爆撃機群がグアム島にいて、いつでも高高度から中国の任意の都市を爆撃できるようになっている。中国は完全にトランプ大統領の米国に軍事的に封じ込められた。ちなみに、空母打撃群はすでに時代遅れで、潜水艦の独立部隊に太刀打ちできない。空母打撃群が常に海に浮いているのではなくて、通常は港にいて、非常時に戦場に向かうという方式に改められたらしい。

米国には無人潜水艦がいたりで、偵察まで無人化。ミサイルを打ち込むのも無人でできてしまう。乗用車並みのスピードで海を走る超高速艦艇もできて、ミサイルをかいくぐりつつ、中国沿岸で巡航ミサイルを撃つらしい。中国の空母も艦隊も対艦ミサイルも、全く意味がない。

日本の空軍基地にもF35、F22で完全武装されていて、潜水艦の哨戒機もうじゃうじゃいる。それでいて、グアムからステレス戦略爆撃機も飛んでくる。中国を攻撃するときの指導部は横田基地になるらしく、指揮の問題もない。

中国は完全に軍事的に封じ込められたようだ。台湾海峡へのイージス艦の頻繁な往来は、その事実が成り立ったことを示している。オバマ大統領時代の弱気な米国とは大違いである。

ちなみに、在韓米軍は軍事的には意味がないらしい。現在は、ハワイのヒッカム基地から陸軍が輸送機で飛んでくるので、前線に海兵隊をおく意味がないらしい。C17Aという輸送機が107人乗れるので、いざという時は海兵隊をそれに乗せてくれば良いので、韓国に陸軍を駐留させる軍事的な意味がなくなったとのこと。朝鮮半島から引き上げたい人ばかりなのに、韓国は米国を挑発している状態で、いつでも米国は引き上げる可能性がありそうだ。米国の韓国パッシングもありそうだ。在韓米軍の引き上げを日本人が心配する必要もないらしい。むしろ、日本の基地が強力になっているので、抑止力は強くなっている。

ロシアのS400という迎撃ミサイルは強力で、ステルス戦闘機でも撃ち落とすらしい。ところが、ロシアと中国の仲もよろしいわけではないようで、ロシアは古い兵器を中国に売る一方、最先端の巡航ミサイルや核ミサイルはきちんと整備している。ロシアの中距離の核兵器を積んだミサイルは中国の各都市を向いている。ロシアと米国はシリアなどで実戦に新兵器投入している。なので、張子の虎たる中国軍と、実戦経験豊富な米軍、ロシア軍は雲泥の差があるらしい。

と、ここまでが軍事のお話。

通商の話

通商的にも、「共産主義を破壊するしかない」が持論のボルトンが国務大臣、ナヴァロが通商を握る。

そもそも、習近平の経済政策は間違っていて、国有企業を重視し、うまくいっている民間企業に共産党員をぶち込んでめちゃくちゃにしているので、自由な調節が聞かず、経済が自滅気味とのこと。中国の外貨は、もともと国庫に入り、中国国債を銀行に入れる形で、銀行融資が出ているとのことだが、外貨が流出して、国債が出回らなくなっているので、融資がつかないらしい。銀行の調達金利は安いけど、債権金利が上がり、貸し剥がし状態なので、銀行は利回りだけで儲かる昔の日本みたいな状態になっていて、銀行以外は、経済が回っていないらしい。外国もすでにお金を貸す投資家も少なくなっており、という状況らしい。

最近の中国テックも、金に困った中国政府の資金調達用の宣伝なのかもしれない。迂闊な経営者以外は、中国企業にお金を貸しちゃダメだよなと。

ちなみに、アジア・アフリカからも、一帯一路といって融資はしたけど、「地下資源よこせ」と全部下心があるものだから、すっかり嫌われて味方がいないそうだ。


日中経済圏構想は、日本経済を滅ぼす

チベットやウイグル地区で、中国が監視社会をひいた上で虐殺をしているのは周知の事実である。これをやめさせようと米国はしている。

米国は、この虐殺に対して、経済制裁をかけていて、中国企業に国際金融決済、SWIFTを使えないように制裁をかけている。

上記のように、通商的にも軍事的にも中国は米国の敵である。その敵と日本は仲良く対話しようというわけのわからない政策を進めようとしているのが、安倍政権と経団連である。実に、間抜けだ。と日高さんも言っているし、私もそう思う。

敵の敵は味方になるが、敵の見方は敵になるわけで、これだけ日中が激しく戦争しているときに、中国と仲良くしてはダメだ。目の前の小さなお金に目が眩んで、大国同士の関係が見えていない。

尖閣諸島にしても領海を侵犯してくるような国であるし、小笠原あたりの海も荒らして行くし、日本企業の知財は盗むし、日本のアニメーションをはじめとした様々な著作権も無視してやっている国に、ヘラヘラしているのが、安倍政権である。韓国に対しては、ちゃんとした態度を取るのに、どうして中国に対してはあんなあほな態度を取るのか、全く理解に苦しむ。愚策である。

しれっとしていて、ささっと米国について行けば良いものの、中国と握手をしてしまうというのは、実にセンスがない。そんな中国外交は、二階氏にでも任せておいて、経団連と日本政府はちゃんと米国の味方になっておけば良いものを、それができない。中国と話しておきながら、安全保障としては米国とべったりしているのであるから、実にアベコベで危ない政策を日本はとっている。すでに、米国共和党からは不満が上がり、顰蹙を買っているとのこと。

TAGも見事にFTAにされそうな勢いで、中国というテロリストに協力する日本は、米国から経済制裁を受けてもおかしくなくなるわけだ。自動車関税などをかけまくられるのも目に見えているわけで、中国は切るに限る。

今後の駆け引きとして中国と仲良くするのを進めるのもお勧めできない。


感想

まとめてみると、

・中国は米国の軍事力に完全に封じ込められた
・中国経済はもうダメだ
・中国は通商的にも、軍事的にも米国の敵である。ロシアと中国の関係も微妙で、中国の味方はいない
・中国政府と仲良くしようとしている経団連と安倍政権は、米国共和党から顰蹙を買っている。米国の敵は中国で、中国と仲良くするものは敵視される。おかげで、自動車関税などいらぬものまでもらわれそうな勢いである

中国がこんなに短期間で軍事的に封じ込められていることは驚きだ。そして、中国はもうダメで、いつ崩壊するのかを見ておいたほうが良さそうな段階だ。個人的には、今年中に中国という国家が崩壊しても、驚かない。

そして、そういう感覚が日本人の多くにはなくて、今だに、CNNが垂れ流すフェイクニュースを信じているものだから、おめでたい気分になっている。おかげで、中国崩壊に巻き込まれて、日本の自動車産業の地位さえ危なくなっている。

安倍政権は、中国寄りの政策をすぐに変えるべきだ。これから経済的に伸びるのは、インドシナ半島・インドネシア・インドでしかない。そっちに外交をシフトして、中国とは距離をとって、米国との距離を近く生きて行くべきだ。

もう少し、この日高さんの本は多くの人に読まれても良いと思う。元NHKの記者であるわけで、NHKニュース程度以上の情報の信ぴょう性はあるだろうに。






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