書評:『エコハウスのウソ』(前 真之)

書評:『エコハウスのウソ』(前 真之)
http://goo.gl/gBYcWj

※Kindleで買ったんですが、イラストやグラフがたくさんなので、白黒ではなくて、iPadで読むのがおすすめです。

最近密かに家を探しておりまして(高いので買いませんが)、少し気になって買ってみました。私、スマートハウスだなんたらを事業として考えていた事があるので、ある程度知識がある前提でこの本を買ったのですが、この本は、素晴らしいです。

「エコ」という詐欺は結構ありまして、高校で習う程度の物理で十分嘘が分かるような詐欺案件が世の中多くありまして、「そういうことは、きちんと分析して、誰かまとめてくれないかな」と思っていたのですが、正にそれを日経新聞で見つけて、購入しました。著者の前さんは、東大の准教授なので、安易な嘘は無いでしょうし、反証可能な本の書き方をしています。

エコハウスというのは、環境にいいはずなんですが、おいしいものが健康に良いように、「本当のエコハウスは快適で、経済的で、環境に優しいはず」と私は考えております。で、その環境性や快適性は、科学で検証できます。で、しているのがこの本です。

ポイントをおさらいしておくと、まず前提として、
・人間はアフリカ起源なので暑さには強い。家は、寒さ対策が大事
・気候にあわせた家を造ろうね
・日本の断熱基準は甘い
・エアコンの除湿は電気代高いから無駄。温度を低くした方がエコ
・ツーバイフォーは鉄骨だから実は断熱にふり。作る人大事
・スーパー工務店が実は良い。似非エコ建築家を相手にするな

家としては、
・気密が大事。すきま風が一番意味が無い
・断熱材が大事。特に、天井の断熱をしっかりやる必要がある
・窓から熱が逃げる。ガラスもあるが、アルミサッシから熱逃げる。
・南の窓からは光をいれろ。東と西の窓は近赤外線入れるな。
・南の大きな窓を作るなら、部屋に蓄熱材が必要。
・夏の南の遮蔽大事。すだれでいいけど、ひさしは有効
・トップライトはハイリスク。光を入れたいなら、北向きの窓からいれろ
・電球大事。LEDにすべき
・お湯はエコキュートにしとけ。でも、深夜に炊かないのがエコ
・エコキュートは、タンク大容量買った方がエコ
・風は管理するのが難しい。日本の気候では一瞬しか使えないから期待すんな
・暖房はエアコンが良い。床暖房は効率悪い
・エアコンはハイパワーのものはいらない。フル稼働が一番効率が良い
・マキストーブは難しい。暖房もエアコンが無難
・日本は、太陽光発電はのっけとけ。でも、メガソーラーでもいいかも

個人的に一番感心したのは、「夏の日差しは天井に来る。冬の日差しは南窓から来る。冬に東と西の窓から光が入る時間は少ない(すぐ沈んじゃうので)」と言うもの。確かに、南窓が大きい今の家は冬の昼間はあったかい。昔住んでいた最上階のマンションは夏、暑かった。

よくよく考えると、東や西に窓がある角部屋は、景色がいい意外は、あまり意味が無い。

あと、「LEDにかえると、照明の電気代が減る効果より、電球からの発熱が少なくなり、エアコンの代金が減ると言う効果もあるので大きい」に納得。オフィスが暑いのは、PCが熱出してるからなんだよなと。

個人的には、庇(ひさし)をつけた上で、南に大きな窓を作りたいのだが、これをやると、冬でも暑くなりすぎるらしい。鉄筋コンクリートなら蓄熱されるから、昼間の暖かさが夜に出てきて良いのだが、木造だと昼暑く、夜寒くなっちゃう。家の中に蓄熱材になるものがあれば良いんだなと思った(水とか、ワインとかたくさんおいておけば良いんだな)。

この前、大手メーカーのモデルハウスを見に行ったら、風通しをしない前提の家だったんだけど、それは正しかったということが分かった。「数字出せ」って言って、出てこなかったけど、Q値とかR値を知っていれば答えたはずだし、気密の話もちゃんとしてくれればいいんだろうけど、エコハウスは難しいから、ちゃんとこっちも勉強する必要あるなと思いました。

私は、世の中どうなっても、快適に家で暮らしていたい人なので、家を買うのであれば、エネルギー安全保障上、エネルギーをあまり使わないでも快適な家に住みたいと思っているので、この本は大変役立ちました。

家に興味がある人は、一読の価値があると思います。

書評:『エコハウスのウソ』(前 真之)
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