書評:誰も知らない新しい日米関係(日高義樹)

誰も知らない新しい日米関係』(日高義樹)

日高さんの最新作を読んで、「安倍首相が安全保障を分かっているような事を言っているが、実は全然分かっていないのではないか」という懸念を持った。日本の情報網は大丈夫だろうか?軍と自衛隊の意思疎通は本当にちゃんと取れているのかどうか、不安になる一冊だった。

私は、日高さんの安全保障環境の把握が正確なのか確信が無いのだが、この人は、米国の政策ウォッチャーである。共和党よりの人であるが、米国の国会審議をちゃんとみていて、そこでは安全保障政策がきちんと議論されている。昨今の南シナ海の動きや、北朝鮮の核開発等を見ると、私は「日高さんは信じられる」と思っている。

論旨は明確で、「日本に戦える軍隊は無い。」である。米国のように戦える軍隊は、まず病院船を持っている。日本は持っていない。それから、仮想敵国およびその仮想敵への戦略策定、戦術の策定がされている形跡がない。具体的な脅威の定義も見当たらない。米国と共同作戦というのであれば、具体的な脅威の想定が無いと、戦略策定、戦術シミュレーションができない。何をするのか想定が無いのであるから、協力の進めようがない。

安倍政権は軍事的な常識も無い様子である。まず、良く出てくる地雷除去だが、新しい技術できて、日本等いらないらしい。ホルム海の地雷除去に日本軍はいらなくて、米国軍でできてしまうのだそうだ。先ほどの病院船もない。共同作戦の戦略も戦術もない。具体的な脅威も定義されていない。さらに、中国と北朝鮮は核爆弾を使うつもりがある。中国は、通常戦力では米国に勝てないので、戦術的に核兵器を使う計画があるらしい。北朝鮮は、考えることができないので、核爆弾を暴発させる可能性がある。米ソは、どちらかが核のボタンを押すと、確実に地球が核汚染され、人類が滅亡するのが分かっているから、そういう覚悟で核のボタンを押す。実質は押せないのであるので、冷戦下で世界は安全だったが、今はそうではない。

少なくとも、安全保障界隈では、オバマ大統領は史上最低の大統領のようだ。日本の元首相菅直人ばりの最低ぶりで、世界の警察を辞め、爆撃すべきを渋り、勝っていたイラク戦争から陸軍を撤退させ、イラク政府の元高官の残党が地下に潜ってシリアでISで戦うものだから、軍事的に手強くて、シリアで勢力を誇るようになっているわけで、イラク戦争の後始末を間違えた。中国にも間違ったメッセージを送り、台湾が中国に占領されることも容易になり、南シナ海を危険にし、北朝鮮には核開発を許して、極東の安全も滅茶苦茶になった。ウクライナでは戦争が起きて、ロシアに何もしなかった。これは、米国軍が弱いのではなく、オバマに決断がないからだ。世間のイメージは、「平和にする大統領」の様に出て来たは、実体は、戦争難民を増やし、世界に戦争をばらまいたのがこの男である。ちなみに、米国はシェールオイルがでるので、中東から石油を輸入する必要が無い。世界が平和じゃなくても良くなったとも言える。

という、危なっかしい世界の状況と安倍政権の状況がよくわかるので、日高さんの本はおすすめである。

『誰も知らない新しい日米関係』(日高義樹)
http://goo.gl/frfQYF




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