書評:『ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I』(塩野 七生)

ギリシア人の物語が読みたかったんですが、IIIはまだ出ていないので、ローマの方を読むことにしました。ギリシア人の話より、こちらの話は随分と濃い気がしまして、こっちの本が元気な時に書かれたんだろうなと思いました。

ローマの誕生から、イタリアの統一ぐらいまでがこの本の範囲。勉強になります。私は、今まで政治というのを理解せずに生きてきましたが、このローマ人の物語などを読むと、政治というのは大衆の人気を獲得していく術であることを理解しました。もう一つ、政治は、政略・戦略の世界ですね。戦術ではなく。

世界史を勉強したことを1秒たりとも覚えていない私は、ローマの王というのは血の繋がった一族であると思っていたのですが、そうではなくて、ローマの王様は、選挙で選ばれて死ぬまで王様だったんですね。そういう王様っているんだ。で、サクッと暗殺されて、次の王様になっていく。会社の人事みたいですね。

そのあとの共和制は、ギリシア的ではあります。二人頭領がいて、軍事の指揮権の統一が必要な時は独裁官を6ヶ月だけ選んで、どうにかする。

ローマは、開放的で、どんどん外の人をローマ人に取り込んでしまう。敗者も仲間に入れて市民にしちゃう。それで、敗者を軍役をとって、軍をどんどん増やしていって、軍事力の量を確保し、それが兵站にもなって、戦力の補充可能で、兵士数の多いローマ帝国が出来上がっていくわけです。

戦力が大きくなって、兵站がしっかりして入れば、戦略的に強いわけです。

また、初期のネットワーク型の同盟は弱かったけど、ローマが強くなると、核にローマがいて、あとは個別に結ぶ契約にして強くなるというのも為になる。

それから、直轄地、植民地と同盟国を地域バラバラに散りばめ、要衝を抑えるというのも、大きな国を抑える上でのポイント何でしょう。徳川家康も、大名の配置に気を使っていましたが、政治というのはそういう配慮が大事なんだと思いました。

小泉進次郎さんが、「新聞読むのやめて、塩野七生を読む」って言ってたけど、なるほど、政治家であれば、読んでおかねばならないでしょうね、これは。

コツコツ積み重ねて、街道で兵站を作るローマ。見事です。ただ、街道作るのは、ペルシアが世界初でしたよね。ローマは誰の真似をしたんだろうか。

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