命短し夢見よ乙女

今から綴るのは、私の幼い頃からの夢である。

私は、昔から歌が好きだった。
テレビを見ては一緒に口ずさんでいた。
六歳のときに私は
テレビで輝く一人の女の子に出逢う。

前田敦子さんだ。

彼女の煌めく笑顔と踊り、そして何より歌に
当時の私は惹き込まれていった。
小学校一年生のときの夢は二個下の妹と共に
AKB48に入ることだった。しかしその夢は
年齢制限というものに阻まれた。

2012年に彼女が卒業してから私はめっきり
AKB48には興味がなくなっていた。
多分それは
「あっちゃんがいないとAKBじゃない」
という、強い憧れの念からだと思っている。

時は流れ、2017年。
私は地元のご当地アイドルにハマった。
そのグループのリーダーに運命を感じ
推すようになっていた。
2019年。
新メンバーのオーディションの発表があった。
そこで私は、かつて夢見ていたアイドルという
職業になる為に履歴書を送った。

結果は落選だった。

理由を考えた。ファンからメンバーになった
女の子もいるから「ファンだから」という
理由ではないことは確かだ。
幾度も考えているうちに
ひとつの結論に辿り着いた。

私が障がい者だからだ。

そのグループは厚底の靴を履き
激しい曲でダンスをしている。
障がい者の私には到底無理な話だ。
それで運営は私を落選させたのだろう。

私はこのとき、自分の障がいを恨んだ。

健常者であれば私も入れたのかもしれない。
「本当の私」なら入れたのかもしれない。
そう考えたら悔しさしかなかった。

今でも厚底やヒールを履いている
女の子を見ると悔しさと嫉妬で泣きたくなる。
私も経験するはずだった「可愛い」が
すぐ目の前にあるのに手に入れられない。

なんで?なんでなの?
私もできたはずなのに!!

そんな感情が私の身体を駆け巡る。
そういう感情を現在応援しているアイドルにも
抱いてしまうのをやめたいのだが
私の中の「何か」が邪魔をしてしまう。

借り物の身体、借り物の人生。
その中でキラキラできるのはほんの僅か。
そんな時期に抱いた夢は泡となった。
来世でまた女に生まれられるのならば
そのときの私には夢を叶えてほしい。

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