死者の祭りと魔獣について

前回の考察…もとい妄想で、異界の狭間は煉獄と呼ばれる死者の魂の待機場なのではないか。といった仮説が浮かんできたので、今回はその辺りについて考えを巡らせてみたいと思う。


まず手始めに異界の門から出て来るもの。魔獣について考えてみたい。

魔獣は異界の門から出現する。また、モルトメサイアの放つ負の感情のマナの影響を受けた人々や、異界の狭間に留まり続けたアーケオル王など、人間が魔獣へと変化してしまった例もいくつか確認されている。

また、プロローグで出てきたアギトらしき仮面を被ったゼシアも魔獣を呼び出し使役していた。

アギトの仮面はヴァルクスが被せられた際の描写から察するに、使用者の負の感情を増大させ、それによって生じたマナを力に変える機能を持っていると思われる。

これらの情報を整理すると、どうやら魔獣は負の感情のマナと密接な関係があるようだ。

アギトが獣の属性を有していることも魔獣と同様の力を利用しているからだとすれば頷ける。


続いて、異界にまつわるであろうアイテムについて触れてみたい。

【異界のかけら】
力ある魔獣が落とすかけら。強いマナを宿し、異界への手形となる。魔獣の魂とも言われるが、その正体は不明

【虚無の落葉】
黒いマナの溢れる地に存在する謎の葉。異空間から落ちてきた葉とも言われるが、植物ではなく力の集合体である

【虚無の種】
黒いマナを宿す謎の物質。異空間に通じているとも、黒いマナを生み出す種とも言われるが、真偽は不明。

気になる単語がいくつか見える。
共通しているのは、異界、異空間、黒いマナ。
異界の門から魔獣が出現することを踏まえると、どうやら異界の狭間というのは負の感情によるマナで溢れ返った場所であるようだ。

次に、力の集合体という単語。これはメインストーリー10章で、アルベリウスがモルトメサイアを純粋な力の集合体だと言っていた事と関係しているように思われる。

モルトメサイアが戦場に渦巻いていた負の感情によるマナが集合して生まれたことを考えると、虚無の落葉というアイテムも同様に、複数の負の感情によって生じたものと想像出来る。

モルトメサイアといえば、モルティスもまた魔獣と同じく、イリアによって異界の門から出現した存在だ。

煉獄は死者が天国に至るために罪を浄化する場所だといわれている。もし、天国に至る=転生であるとするならば、モルティスは負の感情に塗れた死者の魂が浄化により、まっさらな無垢の魂へとリセットされた存在だったのかもしれない。
(転生に伴い記憶が失われることはミドゼロのドラストに記載されている)

死者と魔獣の関係について、ここで個人的に興味深かった過去のイベントを振り返ってみたい。

それはダンシング☆ボンオドリだ。

ボンオドリのエピローグにおいて、マーベラス☆ナオトが実はセイメイの命によって暗躍していたという描写があった。
その内容は、周辺の魔獣を呼び寄せる術を仕掛けていたというものだった。

読んだ当初は、そのあまりにも不穏な幕引きにただただ驚くしかなかったが、死者と煉獄について想ううち、ふとあることに気がついた。

ボンオドリ……盆踊りという祭りはそもそも死者の為のものではなかったか?

盆踊りは夏の夜祭、男女の交流や出会いの場といった娯楽的な要素も持つが、本来は先祖供養の為に行われるものであり、慰霊や鎮魂といった宗教的な意味合いが強い。おかめやひょっとこの面を被るのはハロウィンと同様に、死者が生者の中に混ざっても分からないようにする為とも言われている。

そういった背景を基に考えると、ボン踊りも負の感情を発する死者の霊…魔獣を呼び寄せ、慰めることを目的としていた可能性がある。

カトリーヌとユージンの交流を陽の側面とするなら、魔獣供養は陰の側面。セイメイが陰陽師だといわれていることを踏まえると、実にそれらしい形ではないだろうか?

ゼーナのキャラストでは祈りのマナによって負の感情のマナを中和出来ること。99年に一度の周期で巫女が儀式を行わないと、世界で災害が発生してしまうことが示唆されていた。

イベントで異界の狭間が頻繁に開かれている様子、アストラルのような存在が現れていることを考えると、何らかの問題によって、異界の狭間の負の感情が容量を超えて溢れ出しかけているようにも思える。

ひょっとしたらセイメイは、それらの危機を察知して各地で厄祓いをしているのかもしれない。

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