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使えねぇ奴

 わたしの 魔法は正直よわくて
 こんなんじゃ だれも すくえねぇの。

 だけど さ。 あるとき。
 気が付いてしまったんだ。

 そのこ が きらってる ひと。
 ひとりくらい いる でしょう。

 その あいてを、
 その わるくちを。
 一緒になって 言う。それだけ。

 そのこの はなしを
 たとえ 自分が すんごく みたいTVとか
 あっても 放り出して、
 何時間でも 聞き続ける。
 丁寧に 相手を する。それだけ。

 寄り添う って なんなんだろうね??

 あたしは そのころ
 たくさんの ともだち未満の、
 弱味を探して 集めて 抱え込むことに
 必死になっていた。。

 もう にどと ひとりぼっちは いやだ。

 寂しくなりたくない。
 いちばんじゃなくて いい。
 利用されてても かまわない。。

 悩み相談員みたいなクッション役は、
 あたしは 向いては いた みたいで。

 「理解者」

 「いつも ありがとう」

 「安心する」

 「助かる」

 ………てめぇらよぉ。
 ほんとは、あたしのこと、利用してた。だけだろ?

 知ってたよ、誰ひとりとして
 あたしを 学校外での遊びに
 誘ってこねぇんだからよ。

 だから あたしもさぁ。
 あのころは ひどくてさ。

 おもってもねぇこと ばっかり いってたなぁ。

 「あたしは あなたが いきてて くれたほうが うれしい から そうしてよ。」

  「あたしは みかたでいたい と
   おもってる から。」

   「あたしでよければ はなしきくけど?」

ふふ。思い出しても、笑える。

ぜ〜んぶ偽善じゃん、そりゃ友達できねぇわ。

だって それ その本人の話、
聞いてはいても、 理解しようなんて
それこそ カケラもおもってねぇ。

ぺらっぺらの、どっかで聞いたような励まし。
うっすいしうそくせぇし。なんでそれにした?

はなし ききたい じゃ ねぇだろ?
      てめぇのは
弱味にぎりたい の 間違いじゃ ねぇか??

あ〜当たり前か。だって そうだもんな。
どん底の 人間の口から吐かれる弱味って
持っておくと かなり 便利だもんな。

はなし きいてるふり してる間は、
とりあえず かんしゃ したふり してもらえるし。

でも あたしに つくれたの、
ほんと ただ それだけの

薄っぺらい感情だけ。
薄っぺらい関係だけ。

そんなんなら いらないんじゃね??
って

携帯電話を 川に投げ捨てた なんて
ことも いまは なつかしい。

すっきり きえた。

繋がるための場所  から  離れた
そのとき ずっと
頭の後ろで 激しく明滅していた
うるさい光が 消え失せた。


その日から あたしは。

自分のことを
偽善者だとおもってる。

だけど。ひとつだけ。

あたしが どれだけ なやみを きいても、
あたしの なやみは だれひとりとして。
きこうとは しなかったんだよ。

ま、悩んでる最中の人間なんて
どん底に決まってるんだから、
見返りを求めることなんて
間違ってるってことなんて

あの頃でさえ わかってたし
いまは もっと わかるけど。

けど でも だって それでも
あたしだって 少しくらい 誰かに。

まっくらやみで めのまえが
みえない そんなよるに
せめて て くらいは

つないで いてほしい ときがさ。

たくさん あったよ。

あたしが みんなに かけた ことばは、
確かに 偽善だったと 思うし、

思うけど。

それでも その時々の言葉たちは、
わたしが その瞬間に かけて欲しかった
言葉たち で。

つまり あいてを、
壁打ちの 壁にして、
じぶんとだけ かいわしていた。
じぶんだけ すくわれたかった。

あいてが つらそうで あればあるほど、
あたしは まだ ましだ。って
あたしは まだ まともだ。って
あたしは まだ こわれてない。ふつうだ。って
そう おもえたんだ。

だから あいての 悩みを
本気で 解決しようとは
はっきり言って、思っていなかった。

だって やさしい子でいるためには、
あいてが つらくないと いけなかったから。

あいてのことなんか ちっとも すきじゃなかった。

こいつまた おなじはなししてやがるぜ。
あぁ〜 まったく めんどくせぇ うるせぇ
すこしは 自分の頭 つかえよ。

なに?彼氏に、
「俺には君しかいない。」って泣かれて
うっとうしくて 対応できないから
察して欲しいって??

自分の心を あんたに 直球で伝えてくれる
素敵な人じゃないか。

あたしには、こんな夜中に
グチグチ愚痴を なすりつけてくる
てめぇの相手をするくらいしか
暇つぶしが ねぇのに。

察して欲しい って 傲慢すぎる。

みんながみんな、っていうか
てめぇがまず テレパシー身につけてから言いやがれ。

てめぇは彼氏の気持ち、いちどでも
察して動いたのかよ。

泣いてる彼氏に何をした?
見てただけか?

これで 鼻、かみな。っつって、
ティッシュ差し出してやったか?

これ飲んで落ち着け。っつって、
あったかい 茶、淹れてやったのかよ。

黙って そばにいて、
何時間でも 話、きいてやったり してねぇだろ。


じぶんが、 あいてに なかれると くるしい。
っていう、じぶんの すなおな きもちを、
あいてに ひとこと つたえる。

それすら サボって 怠っている
そんな奴の相手、あたしですら したくねぇよ。

な〜にが、

察しろって呟いてくるわ

だよ。

考えてみろよ!その彼氏、テメェの前でしか泣けねぇかもしれねぇんだぜ!?

その彼氏、テメェのこと 宇宙一大事かも しれねぇんだぜ。

聞きもせず 話もしないのに、

察してほしくて
支えてくれる人が欲しくて

じぶんは、「察しろ」のたったひとことで、
傷つけて、突き放して、泣かせて、
想われていることに 気がつきもしないで。

あんたが だれも 支えないのに、
だれが あんたを 支えるわけ。

こいつだけは ほんとうに
吐き気がするほど
いまでも だいきらい。。

あたしは どんだけ
ぶきようでも へたでも

あぁ つたわってねぇなぁ って おもっても
じぶんのことばで
つたえることを

あきらめたくは ねぇんだけどなぁ。

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