かごのとり

籠の中に小鳥が1羽。
瓶の中に金魚が1尾。。
箱の中に小鼠が1匹。。。

どれだけ必死にしっぽを振っても、
決して誰の眼にも映らない。

どれほど美しく瞬きをしていても、
だれのひとみにも　うつらない。

なぜなら　ここは
海底の　奥底の　そのまた向こう

常人の理解の範疇外。

とおい　はるかなる場所であるから。

誰一人からも　必要とされないのに、
小さき者たちは
今日も必死に媚を売る。

何者も　彼らに　目もくれず、
脇目もふらず　邁進している。

なにに？

どうして？？

………どうしても。

どうしても貴方が、
ここへ来て、
小さき者たちを救いたいのなら。。

あなたの
いちばんちかくの
なみしぶきを

一滴だけ飲んで
透明になって
０gになって
お越しください。

今日も必死に息をしている。
この寂れて廃れた奥底で。

小さき者たちは　永遠に、
貴方の　帰りを　待っているのです。

おしまい。