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地方からの熱量

【クリエイティブリーダーシップ特論レポート】
武蔵野美術大学
大学院造形構想研究科
クリエイティブリーダシップコース 

2021年4月25日(月)18:20-19:50
クリエイティブリーダシップ特論 第3回 森 一貴さん

 昨年、「うなぎの寝床」の白水さんにお話をいただいた時を思い出しました。地方 VS 都市のような構造が存在している現代の日本社会のなかで、どのように地域を持続可能なかたちで発展させていくか。この大きなテーマに対するヒントが白水さんであり、今回の森さんであったのではないかなと感じます。

 「ゆるい移住」という言葉。とても面白いなと思いませんか。「移住」というと仕事や家族のことなども考え、人生の一大決心になるのが一般的です。興味はあるものの、なかなかこうした足枷から決意できない人も多いのではないでしょうか。

 一方で時代を捉えた活動のようにも思います。コロナ禍によって広がったノマドワーカーという人がいたり、最近ではリモートワークの拡大によって移住を決めた人がしばしば特集されていたりもします。そもそも日本では憲法で「居住移転の自由」が明記されていて、つまり自分が納得さえできればどこに住んでもいいのです。

 またRENEWという活動。こちらも鯖江市の地場産業をどのように消費者へ見せ届けるか。その仕掛け作りをしているのが森さんです。いいものを作っても自己満足で終わっていては発展はできません。またそれを発信する媒体がないとこれもまた現状以上の発展は望めません。いままでの作って売るというモノづくりの在り方をまさに”リニュー”するものです。

 森さんは「民主化」という言葉を使っていましたが、自らの手で能動的に活動されているのが印象的でした。「できるんじゃないか」という感覚や確信を大事にされ、行動を起こしてきた結果が数多くのプロジェクトや取り組みという形になっています。

 先にお話しした白水さんもそうなのですが、地方で課題を目の前にしている人でそれに対して活動している人の熱量は毎回感服させられます。それも皆さん正義感や使命感というよりは、ひとつの趣味のように楽しんでおられるように感じられるのはたまたまなのでしょうか…?

 自分と同じ世代の人がこのように活動されている姿を見ると、とても刺激を受けます。自分とは何が違うのだろうかと考えてしまうのと同時に、自らの視野の狭さをまじまじと認識させられますね。森さんもこれから海外の大学院にいかれるようですが、刺激を受けたあとの更なる活躍を期待しています。


■森 一貴
山形県生まれ、福井県鯖江市在住。「社会に自由と寛容をつくる」がテーマ。福井県鯖江市をフィールドに、誰もが変化していけるための小さな階段づくりを手がける。 半年間家賃無料でゆるく住んでみる、全国連携移住事業「ゆるい移住全国版」プロデューサー。職人に出会い、ものづくりを知る、福井のものづくりの祭典「RENEW」事務局長。


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