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コミュニケーションって難しい

【クリエイティブリーダーシップ特論レポート】
武蔵野美術大学
大学院造形構想研究科
クリエイティブリーダシップコース 

2021年5月10日(月)18:20-19:50
クリエイティブリーダシップ特論 第5回 八田 晃さん


 デザインシンキングという概念の最も根本的な部分が「プロトタイプ」だと思いますが、まさにそれを会社で実践しているのが八田さんでした。とにかくラフでスケッチしてまずカタチにしてしまえ!という一件乱暴そうに聞こえますが、その何ともスピーディで柔軟な考えをベースに、様々な事業を会社で展開しています。

「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」というのがアラン・ケイの残した言葉と、八田さんが講義で紹介されていました。まさに逆転の発想というのでしょうか。 

 もともと黒電話が主流だったころの人が未来を垣間見ることができたなら、いまのスマートフォンの四角い電話機の形にびっくりするでしょうね。このように未来の姿を的確に予測するのは本当に難しいからこその適応方法といった感じがします。

 さて、頭に浮かんだイメージのアウトプットとしては言葉として発するのに加え、①文字に起こす方法②スケッチする(or モノを作る)方法が主にあると思います。デザインの世界では後者が主に使用されていますが、ビジネスの世界では前者が一般的です。そして文字VSスケッチという見えない対立構造が存在している。これが双方本来発揮できる力に制限をかけているような気がしてならないのです。

 私はここでの学びを通じてどっちがいいというのではなく、両方使いこなせる能力が必要だと感じるようになりました。あるいは得意を持ち寄った人たちの融合というのでもいいと思います。なぜならこの二刀流は相当器用でないとできないから。単純です。ごく少数の二刀流になれるのか、あるいは融合を促す人になるかを見極めることができるのも現在の大学院での学びの一つです。


 ①文字に起こす方法でも②スケッチする(or モノを作る)方法でも共通していることがあります。それはアウトプットを「伝える」ということです。ソフトデバイスのHPにはこんな文言がトップページにありました。

”わたしたちは、モノや情報と人の対話 = インタラクションの中で生まれる価値づくりを目指すヒューマン・インタフェース・デザインを核として、未来の製品やサービスのあり方を考え創造するデザインコンサルティングファームです”

 なぜデザインの価値がいま認識されているのか、と考えてみるとやっぱりコミュニケーションというのは単なる記号のやりとりに過ぎず、本当に難しいことなんですね。バベルの塔の時代から人間はコミュニケーションをシンプルにしようと企んでいたことを考えると、情報の量が圧倒的に増えている現代ではなおさらです。

 言語を操るのは私たち人間だけですが、ペットやAIスピーカーなど、対モノでさえ私たちは日々コミュニケーションをとっています。これからはテクノロジーを介してコミュニケーションがシンプルになるのか、あるいは対象が増え過ぎてより複雑になっていくのか。。過去の人とコミュニケーションが可能になるならば、是非バビロンの人と議論してみたいです。

■八田 晃
株式会社ソフトディバイス代表。ヒューマン・インタフェース・デザインを核として、未来の製品やサービスのあり方を考え創造している。


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