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シンプルイズザベスト

【クリエイティブリーダーシップ特論レポート】
武蔵野美術大学
大学院造形構想研究科
クリエイティブリーダシップコース 

2021年5月17日(月)18:20-19:50
クリエイティブリーダシップ特論 第6回 堺 大輔さん

 さて今回はリモコンの話からです。以前ムサビの長谷川敦士教授からも授業内でお話がありましたが、なんとボタンが多いことか。。下記の写真はまだ少ない方で、現在はネットTVなどともリンクしたボタンも追加され益々肥大化していっています。

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 多機能 is ベストとでも言わんばかりにメーカー側は多くの機能を詰め込みましたが、一度も触ったことのないボタンもまあ多いことでしょう。こうしたメーカーの気持ち自体は嬉しいのですが、ではそれが本来ユーザーが求めている機能かというと果たしてそうなのでしょうか。一部のユーザーにとっては必要なのでしょうけれど…

 私はどうもこのような技術至上主義、機能至上主義が日本の産業の低下を招いた気がしています。「技術競争」というと聞こえはいいですが、実際に多くのユーザーにとってtoo muchであり、結果シンプルでスタイリッシュな「デザイン」の力を用いた欧米製品が大ヒット。こんな流れが日々起こっているのではないでしょうか。

 私はメガバンクの口座は持っておらずメインはネット銀行なのですが、ネット銀行はまだ使えないケースもたまにあるため保険用としてりそな銀行の口座を保有しています。そしてりそな銀行のアプリを作っているのがチームラボだったと今回の講演を聞いて初めて知りました。

 金融系のアプリにしては使いやすいなとは前々から思っていましたが、チームラボのパワーとセンスが入っていたんですね。堺さんはりそな側と打ち合わせを重ねる上で「徹底的に無駄を削ぎ落とした」と仰っていました。そしてマイナーアップデートを短い期間で相当数行っているようです。

 そして、りそな側の窓口の方だった方が現在は社長になられ、こうしたデザインマインドは着実に銀行側にも伝染し、改革のスピードも早くなっているということでした。

 最後に「0→1といったひらめきでなく、2→3といった小さな積み重ねが大切」という言葉がとても印象に残っています。どうしてもデザインには人々の概念を覆すような瞬発力爆発力が世の中から求められている気がしますが、決してそれだけではないようですね。日々目の間にある細かいバグや不都合をちょっとずつちょっとずつ改良していくこと。そして世の中にある「余計」を削ぎ落としていくこと。昨今は壮大なスケールで語られることの多い「デザイン」ですが、もしかしたらこうしたことに過ぎないのかもしれません。

■堺 大輔
1978年北海道出身。チームラボ取締役、Director、Co-Founder。
東京大学在学中、ヒューマノイドロボットのウェアラブル遠隔操作システム関する研究を行った後、大学院卒業後にチームラボを起業。


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