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森は生きている

【クリエイティブリーダーシップ特論レポート】
武蔵野美術大学
大学院造形構想研究科
クリエイティブリーダシップコース 

2021年4月11日(月)18:20-19:50
クリエイティブリーダシップ特論 第1回 足立 成亮さん、陣内 雄さん

 「環境問題」という概念自体は私たちの日常生活においてとても身近になりました。特に深く意識しなくてもゴミの分別をしたり、モノを買うときには「エコ〇〇」という商品も頻繁に目にします。

 しかし「環境を大切にすべし、守るべし」という発想は無論正しいのですが、木や草などの植物も生きていて、私たち人間と共にこの地球上に共存しているという発想は乏しいように感じます。

 そんな中今回、足立さんと陣内さんのお話を聞きました。「森」に対してあたかも子供のように優しく丁寧に、でも親に対するような尊敬の念を持って接している姿勢がとても印象的でした。

 「森の息吹」という言葉が日本語にはありますが、まさに我々と同じように呼吸をしている森。我々人間が「守らなければ」といういわば上から目線ではなく、同じ地球に生きる生物として対等な目線に立った活動をしているところに感銘を受けました。

 少し歴史を遡ると、明治以前までの日本は自然と共存した循環型社会だったといわれています。豊かな自然に覆われ、かつ囲われている日本の国土において、木や水などは生活以前に切っても切り離せない存在だったのでしょう。「自然を神」として崇める神道の考えだったり、自然信仰もこうした思想に成り立っています。

 つまり本来の日本に住む私たちの生活はもっと自然密着型であるはずなんですね。地震、火山、洪水、大雪など自然災害も多い国ですが、その反面、豊かな景色が広がり、温泉を楽しみと、私たちは常に自然と触れ合って生きてきました。

 「脱プラスチック」や「脱二酸化炭素」など現在の環境運動は欧米起点で始まっています。しかし日本の原点に立ち返った時に、いまのような資本主義で経済一辺倒でなく、自然と「我々の生活はこうですよ(環境問題なんて意識せずとも生活できていますよ〜)」と世界にお手本を見せてあげるような国にしていきたいですね。自然だけに。


■足立 成亮(林業アーティスト)、陣内 雄(林業建築家)
アウトウッズという団体を創設し、北海道で林業を営みながら、山を自分たちの表現と捉え、林道の整備や、建築、ウッドデッキの整備、遊び、学びの場所として、美しいランドスケープをデザインしている。そして、そこには、それを愛する、沢山の人々が山に学び、楽しみに訪れている。山を木材生産地として考えるのではなく、山という自然資本をデザインし価値に変えている。2021年林野庁主催「WOOD CHANGE賞金賞」受賞。



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