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オンラインがリアルを覆う時代

【クリエイティブリーダーシップ特論レポート】
武蔵野美術大学
造形構想研究科造形構想専攻
クリエイティブリーダシップコース

8月10日(月)18:10-19:40
クリエイティブリーダシップ特論 第14回 藤井保文さん

 デジタルに包まれる

 私は出張で中国へ何回も行ったことがありますが、毎回行くたびにその勢いに驚かされます。そして常々、合理的にモノゴトを進めていくなというような印象を持っていました。それはスマートフォンの普及に伴うもので、まさに「デジタルがリアルを包括する時代=アフターデジタル」という藤井さんの言葉が相応しかったと思います。今回、下記のような具体例を挙げられていました。

- 現金利用が3%以下
- シェアサイクルの一般への普及。
- 飲食店QRコード決済
- 信用スコアリング

 これまでもビッグデータと呼ばれる情報は多くの企業が活用・利用してきましたが、これからはリアルとデジタルの区別なく一体化していくというのが藤井さんの説明です。IoT時代などとも呼ばれる現代ですが、今回の講演を聞いて改めて自分の周りにあるオンライン(オンラインに絡んで手に入れたモノも含む)の数を再認識させられました。

 アフターデジタルの社会では人がデータに接続・蓄積されることで「行動データ」の取得が可能となり、その活用により最適なターゲットだけではなく、最適なタイミングやコンテンツまでも提供可能となります。その結果、企業競争の焦点が「製品」から「体験」へと変わり、体験全体での価値提供が重視されるようになります。

人とデジタルの関係は

 日本では個人情報保護などの考えが中国より圧倒的に強いため、中国のようにはならないとは思いますが、これについても言及があり、中国では「不からの解放」という表現をされていました。一方で日本では、個人の生き方の手助けを促進するような方向がよいとの提案がなされておりましたが便利さと危険さは表裏一体なのかと個人的には感じてしまいます。
 藤井さんは「責任と努力」を忘れてはいけないとの言葉があったのも印象的でした。如何様にも悪用できてしまうこうしたデータの利用に関する警鐘も必要だと感じます。一方でますますデジタルに覆われる社会は避けられないので、「モラル」あるこれからの世界を構築するために、自分もしっかり責任の一端を担っていきたいと思います。


■藤井保文
東京大学大学院修士課程修了、後にビービット入社。台北・上海支社など海外勤務を経て、現在デジタルトランスフォーメーションを支援するエクスペリエンス・デザイン・コンサルティングを行っている。著書「アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る」「アフターデジタル2 UXと自由」など。

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