徒然 #04
ラストシーンで
『死んだあと、最後に思い出すものは何か』
みたいな会話が出てくる、わたしのお気に入りの映画。
(とはいえめちゃめちゃ暗くてジメジメの梅雨みたいな映画なんだけど)
わたしは人生の最期が来た時、一体何を思うのかということに興味がある。
記憶と結びつきやすいものとしてわたしが思うのは、匂いと、音だ。
生きている今ですら、匂いや音の記憶がとても色濃いということを実感することが多い。
人の家の匂い、好きな給食の匂い、実習室の匂い、知らない街の匂い、柔軟剤の匂い、シャンプーの匂い、好きな人の匂い
匂いと結びつけられた記憶は、多分記憶として憶えるよりも容易くよみがえる。それと、その時の感情まで紐づいて思い出せる気がする。
良くも悪くも鮮やかに思い出すものだから、良くも悪くも、鮮やかによみがえってしまうのだ。
(((THE・小泉構文)))
忘れたいことも匂いひとつで思い出すし、あくまで消し去ったつもり『だった』のだなと実感させられる。ときたまこういうことにばったりと遭遇して、某2頭身くらいの優しい方のおばーさんのセリフを思い出す。
『一度あったことは忘れないものさ、思い出せないだけで。』
(良くも悪くも)
よくない気分の時、音楽を聴くのはやめたほうがいい。匂いの理屈と同じで、もうその曲を聴くとそのことしか思い出せなくなる。
高校の通学時に聴いていた曲を、わたしは今でもふと耳にすると一瞬、身体が強張るのだ。
フレーズとして脳内で思い出してしまうことは避けられないけれども、もはやこれは一種の自傷行為だとすら思う。
イッタイゼンタイ何十年前のことをまだ後ろめたく思っているんだろう、、、
後ろめたく、思っているんだな…
安心だとか癒しだとか、そういうあたたかなものをいつだって感じていたいのに。
その時のシチュエーションで好きなものをひとつ失ってしまうことが、心の底から残念だと思う。
とはいえ、とても良い気分の時や綺麗な景色を見た時、一人旅のワクワクしている気持ちの時なんかに音楽を聴けば、いつだってその記憶をよみがえらせることができることもある。
匂いや音は、簡易タイムマシンだなと思う。
ちなみに冒頭で書いた映画の最後のセリフは
あーいいにおい。
(だったと思うんだよな、たぶん)