見出し画像

「海のはじまり」が始まった

2024年7月期月9「海のはじまり」
めめ担のみならずドラマウォッチャーからも大注目されているドラマ、一話からすでに大激論の嵐(楽しい苦しい)。
また週に一度の眠れない夜がやってくる。


1.テーマは「家族」

あらすじは、かつての恋人との間に子どもがいたことをその人のお葬式で知ることとなり、その子の父親になれるのか…?というお話。

このドラマには色々なかたちの家族が出てくる。

①血のつながった家族

②再婚
主人公・夏の家庭はステップファミリーで、夏の母は、妻に先立たれたシングルファザーと再婚し、夏は義理の弟ができた。
(1話で、夏の弟が「母が亡くなった時」の話をしている)

③これから家族になるかもしれない二人
夏の交際相手、弥生さんとは3年ほど関係があり、弥生さんは心の中ではなんとなく将来を考え始めているようだ。

④血の繋がりはあるけど会ったことがなかった親子
これが今回のドラマの軸、夏とその娘「海」ちゃんだ。
夏と海が家族になろうとするならば、弥生はどうするのか。
海と今まで同居してきた祖父母との関係は、どうなるのか。
正解がないからこそ気になる。
(どう転んでも賛否両論必至)

2.夏という人

まず、「夏」という名前。
人名としては割とめずらしいこの役名のおかげで、物語をフィクションとして一歩引いて見ることができる気がする。
もしこれが「航」「陸」「湊」のような「あるある」な名前だったら、もっとリアルで苦しかっただろうな…

性格は、優しい・考えてから言葉が出るので話すのゆっくり・気遣いすぎて自分の意見を言えない・「無難」「ほどほど」の人生を目指している、という感じ。
大学生のときに水季というハイパーマイペース天真爛漫頑固ちゃんに惹かれたのは若さなのか、あこがれなのか。
大人になってから出会った弥生さんは、絶妙な距離感を演出してくれるしっかりお姉さん。現実味のある人選(?)。

まず1話で一番「いい」と思ったところは人の気持ちに繊細に気づけるところ。
水季が妊娠を打ち明けた時に真っ先に心配したのは体調。これは普通の人でも気づくかな。
次に、水季が妊娠に気づいてから一週間経っていたと聞かされると「一週間も一人で不安にさせてごめん」というようなことを言うんだよね。
それを言える男性がこの国にどれだけいるだろうか…。(でも目黒蓮なら言ってくれそうな気がする。なんか納得感がある)

それから、娘であるとわかった海ちゃんが一人で訪ねてきた時、陽を避けて玄関に座らせるがドアを開け放したままにしているところ。
これ私はリアタイで気づかなくて他の人の感想を見て「あっそうだよね」と思った。

この後のドラマの展開、夏くんはこの性格でめちゃくちゃ悩んだり苦しんだり、でも接する人をホッとさせたりもするのかな。

2.水季という人

一話だけの感想だと「よくわからん」。これに尽きる。
「silent」の時は再会したので「あの時実は…」なんて話もお互いできるけど、今回は亡くなっているので難しい。
過去パートは、今後も夏目線だけでいくのか、だとすると水季の気持ちは本当にわからない。(しかしそれがリアル)
水季の過去の日記(もしくは母子手帳の記録)とかSNSの投稿が残ってたとか、そういう形で水季の本音がわかるかもしれない。


3.生殖とリプロダクティブ・ライツの話

これは脚本の生方さんにぜひ書いてほしかったテーマ。
「silent」放送期のインタビューで、助産師として勤務しながらシナリオを書いていた時期がある、と話していた。
大人でも正しい性知識を持つ人が少なすぎるし、女性がとにかく生きづらいこの世で、テレビドラマでこのテーマを扱うことに意義は十分すぎるほどあると思う。

まず避妊について、完璧な避妊は「しない」こと以外にありえない。行為があれば妊娠の可能性は存在する。
避妊具は成功率90%、実際に「破れたり外れたりなど明確に失敗した自覚がなかったのに妊娠した」という話は聞く。

水季が夏に打ち明けた時に「浮気はしてなくて…」「事故というか…」という言い方をしていて、これも水季がそのとき「失敗した」と思っていなかった(=アフターピルを使う発想でもなかった)と考えられる。
でも、早くに気づいたということは、それだけ注意深く自分の身体に向き合っていた証拠。
私は水季のこと、「だらしない子」だったとは思わないし、仮に交際相手が避妊に協力的ではなかったとして、あの性格であれば流されずにビシッと言えるんじゃないかな。

「予期せぬ妊娠」という事実だけで、「避妊もしないで」「だらしない」など冷ややかな目で見られてしまう。
水季の葬儀の場で、水季の母や津野が夏に向けた視線にも、そのような気持ちは含まれていたように見えた。
8年前、お腹の子を抱えたまま帰郷した水季も同じ経験をしたのかもしれない。両親が温かく迎えたとしても、近所の人とか。
何にせよ、事実だけを見てその良し悪しを勝手に判断するのは思いやりのないことだということに少しでも多くの人が気づくといい。

「リプロダクティブ・ライツ」とは、自分の身体のことを自分で決める権利のことで、水季の「産むこともおろすことも夏くんにはできないんだよ、私が決めていいでしょ」という台詞はまさにこれ。
堕胎にパートナーの同意がいる というのはどうなのかと考えてしまった。
そして産むのにはパートナーの署名はいらない。うーん…。
もし堕胎に了承しない上にその後の責任もとらない、という相手だったらどうするんだ。
女性が主体的に選べる避妊方法も、苦痛の少ない堕胎も、無痛分娩も、なぜこんなに手の届かないところにあるのだろう。(すみません、愚痴でした)

テレビドラマで法律が変わったりはしないけど、女性が何となく「こんなもの」「仕方ない」と我慢してきたことについてもっと敏感になった方がいいと思った。


4.主題歌と劇中歌


ドラマの世界観を考えると、Snow Manはないかな、と予想していた。
発表されたのはback numberの「新しい恋人達に」という新曲。
この曲も良かったのだけど、一話の劇中にスピッツの「渚」が使われてめちゃくちゃグッと来た。
ドライブデートに砂浜、海。青春。
透明できらきらした思い出にぴったりだった。
また印象的な場面でスピッツが使われるかもしれないので、注目していたいと思う。


5.落ち着けみんな、まだ一話だ!!

まだ放送前、あらすじが出た時から「賛」も「否」も飛び交って、「見れないかも」という意見も。。
一話終了後のSNSも予想通り荒れ模様で、まだ説明されてない事柄も含めて決めつけるような感想も多かった。
わかる、わかるよ…
テーマがセンシティブすぎる。
しかし、全10話としてもまだ1/10。これからどうなっていくのかわからないではないか。
毎週ああだこうだ言うことにはなりそうだけど、私は楽しみだ。

主軸はあくまで「家族の話」。
どのような関係を「家族」と呼ぶのか、というところから始まって、「家族」ならではのあたたかい気持ちのやりとりや、反対に苦しさ、面倒くささまで描かれそうな予感。
脚本の生方さんは「家族はいいものだ、ということを伝えたいのではない」と語っているが、その考えに救われる人ももしかしたらいるかもしれない。

後半に向けて、少しでもホッとするシーンがあるといいな。
一人のめめ担として、ドラマチームと伴走するつもりで最終話まで見届けたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?